「よかれと思って……」に潜むリスク。今、気をつけたい職場環境のあり方

目の前の課題や急激な環境の変化により、「何としても業績を上げないと!」という使命感が組織内に広がる一方、このような状況の中では、コンプライアンス上のリスクが潜んでいる可能性があります。

このコラムでは、業績回復に取り組む組織が気をつけておきたい「職場環境のあり方」と、改善施策を検討する上でのポイントを整理します。

  • 「何としても!」という雰囲気がコンプライアンスの大きなリスクになる可能性がある
  • コンプライアンスのリスクが高まる職場環境とは?
  • 自社に合ったコンプライアンス施策を検討するためのポイントとは?
目次

    「何としても!」は危険?

    働き方改革への対応、非対面での営業活動、セキュリティリスクの高まり……さまざまな課題に対処しながら、業績を回復させるための取り組みを同時並行で進めている組織が多いと推察します。

    そうした中で、「上期の赤字を下期に取り戻して、何とか黒字化させるんだ!」「生産が戻り、短納期での仕事が増えてきた。効率をさらに上げていこう!」「今月は売り上げ目標を必ず達成するぞ!」……といった「何としても!」という雰囲気が組織内で生まれるのは、当然のことであるともいえます。

    しかし、実はそこに、コンプライアンス上の大きなリスクが潜んでいるのです。

    リスクを生み出す要因とは?

    目の前の課題や急激な環境の変化にとらわれて、本来やるべきではないことや、コンプライアンスを欠く行動を取ってしまうことはありませんか?

    その背景にあるのは「職場環境」の問題かもしれません。

    職場にはやる気が満ちているが……

    急激な環境変化や危機的状況において、陥りがちな職場環境とは?

    • コスト・納期を優先するあまり、品質や安全が軽視されてしまう
    • 変化への対応にスピードが求められるため、トップダウン型の傾向が強くなる
    • 人の気持ち・感情への配慮が足りず、コミュニケーションが希薄化してしまう

    上記のような職場環境にあると、一人ひとりが会社のために“よかれ”と思っていながら、実際には適切ではない行動をしてしまうリスクが高まります。

    なぜ、そうしたあやまちが起こってしまうのでしょうか。

    社会心理学者のクルト・レヴィンによると、人間の行動(B)は個人の人間性や価値観(P)だけでなく、職場環境(E)にも強く影響を受けます。

    クルト・レヴィンの法則

    B = f(P・E)

    B:行動(behavior)/ P:個人の人間性、価値観(personality)/ E:職場環境(environment)/ f:関数(function)

    このレヴィンの考え方に照らしてみると、個人に対していくら働きかけをしたところで、職場環境にリスクがあると、コンプライアンス違反(適切でない行動)を減らすことは難しいということがわかります。

    つまり、一人ひとりの行動の背景には、個人の考えだけでなく「こういうときはこうするものだ」といった、職場内の価値観・考え方が影響するということです。

    今、自社が採るべき施策とは?

    いわば「非常時」においても組織のコンプライアンスを維持するためには、ルールやマニュアルなどによる個人への働きかけと同時に、職場環境を変えていく取り組みが求められるでしょう。

    • 自社の実態(組織の実態、社員の意識、リスク)を把握したい
    • 働き方の変化に伴うリスクを把握し、対処したい
    • 職場の環境や風土の実態を把握し、リスクを未然に防ぎたい
    • 集合研修以外の方法で、社員のコンプライアンスへの意識を高める施策を実施したい

    まずは上記のような視点から、環境の変化に対応しつつコンプライアンスを高める、自社に合った施策を検討されてはいかがでしょうか。

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