
顧客の「体験」を価値に変える! 「DCXLSモデル」と「SXP」の実践
顧客体験のフローを可視化し価値を共創するための「DCXLSモデル」と、それを活用して新たなビジネスエコシステムを導く「SXP」について詳しく紹介します。

ビジネスコンサルタントでは、2025年度より新入社員アンケートを刷新し、独自の「適応モデル」に基づく調査を実施しました。本調査では、新入社員が組織に適応し成長していくうえで、自身の現状をどのように認識しているか、また組織・上司・同僚にどのような期待を抱いているかを把握しています。
第1弾では全体傾向、第2弾では傾向と対応策をご紹介しました。第3弾となる本稿では、分析から見えてきた新入社員の適応・活躍の鍵となる「変化対応力」に焦点を当て、その重要性について解説します。
※本コラムページには、株式会社ビジネスコンサルタントと株式会社ビジネスリサーチラボによる共同著作物を含みます。
変化対応力とは、環境や状況の変化に柔軟に適応し、適切に考え行動できる能力を指します。
その学術的背景には、サビカスが提唱するキャリア構築理論における「キャリアアダプタビリティ」の概念があります。
※キャリアアダプタビリティの定義:予期される、あるいは予期せぬ仕事やキャリア上の移行・トラウマに対処するための個人が持つ心理社会的資源(Savickas & Porfeli, 2012)
本アンケートの分析結果からも、新入社員の早期適応や定着の背景には、この「変化対応力」が重要な要素として関係していることが示唆されました。
BCon®ではこれまでの様々な支援の経験と学術研究を踏まえ、新入社員・若手社員の適応と成長を説明するモデルを検討しました。
まず、成果指標となる「先回り行動」「ニーズ充足」「長期勤続意欲」の3要素が連鎖的に影響すると仮定。
「先を見て自ら進んで行動する」ことが促されることで、「自分のニーズがこの組織では満たされる」という充足感が高まり、その実感が「この組織で働き続けたい」という意欲につながるという仮説を立てました。
次に、それぞれの成果指標に関連する影響指標を2つずつ、合計6項目定めました。これらは、「本人の能力開発」「上司や同僚の関わり」「組織的支援」によって変えることができる要素です。新人・若手社員の適応を促すための総合的なアプローチの重要性を前提として、初期モデルを作成しました。
成果指標……新入社員の適応と成長には、「先回り行動」「ニーズ充足」「長期勤続意欲」という3つの要素が連動しています。
影響指標……影響指標は成果指標に影響を与える要因です。本調査は、入社時点で測定(回答)可能な指標に限定しています。
しかしアンケート結果の検証をさらに進めたところ、理論的には妥当であるものの、より実態を説明できるモデルとして、改良モデルの方が適合度が高いことが分かりました。
理論的には妥当であると考えられた「初期モデル」と、その後の統計的な検証を経て作成した「改良モデル」との最大の違いは、影響指標「変化対応力」の位置づけです。
分析の結果、初期モデルでは成果指標のうち「ニーズ充足」に対してのみ影響すると考えられた「変化対応力」が、実際には「先回り行動」「ニーズ充足」「長期勤続意欲」のすべてに影響を与えることが分かりました。つまり「変化対応力」が3つの成果指標と他の影響指標とをつなぐ中心的な媒介要因として機能している可能性が示されたのです。
「変化対応力」が、組織への適応やその後の活躍に向けた成長過程で中心的な役割を果たします。「仕事のやりがいの予測」「目標実現への自己効力感」「心身の負担」「対人サポートへの期待」は、変化対応力に影響を与える要因であり、これらに働きかけることで、結果として成果指標の向上が期待されます。いずれも、本人への育成支援、上司・同僚の関わり、組織的な施策によって変えていくことができる要素です。
その背景には、市場環境や働き方が急速に変化する、いわゆるVUCAの時代にあることが挙げられます。
このような環境では、従来のように決められたキャリアパスを歩むのではなく、一人ひとりが変化を受け止め、自律的にキャリアを形成していく力が求められます。
多くの研究でも、キャリアアダプタビリティが高い人材は、不確実な状況でも心理的な安定性を保ち、高いパフォーマンスやキャリア満足度、高いエンゲージメントを示す傾向があることが報告されています。
こうした背景を踏まえると、「変化対応力」は現代のビジネス環境において、個人と組織双方の持続的成長を支える重要な能力と言えます。
変化対応力は、新入社員に限らず、組織に適応し活躍するために重要な力です。特に新入社員にとって変化対応力が重要となる理由として、背景には以下のような新入社員特有の状況があります。
新入社員は、社内に確固たるキャリアパスや専門性がまだ確立されていない状態です。予測のつかない初めての業務や環境の変化に直面した際に、拠り所となる経験が少ない中で、変化に柔軟に対応する力がキャリア形成を推進していくための「エンジン」となります。
入社前の期待と実際の仕事とのギャップ(リアリティ・ショック)は、多くの新入社員が経験する課題です。このギャップを乗り越え、学習・成長していくプロセスは、まさに「変化への対応」の連続であると言えます。変化対応力が高いことは、この初期の困難を成長の機会として捉え、会社との結びつきを強くしていくことにつながります。
入社初期に変化を乗り越え成功体験を積むことは、「自分はこの会社でやっていける」という自己効力感や自信に繋がります。この初期段階で形成されたスタンスは、その後のキャリア全体における逆境への強さ(レジリエンス)や、継続的なパフォーマンスの土台となります。
では、変化対応力を高めるには、どうすればよいのでしょうか。
本アンケートの分析結果から、新入社員の変化対応力を高めるためには、以下の4つの観点からの支援が重要であると考えられました。
これらは個人の努力だけで高まるものではなく、組織・上司・本人の三者の関わりによって育まれるものです。それぞれの具体的な支援策について、詳細を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
今回の新入社員アンケート分析から、早期適応と定着の鍵となる要素の一つとして「変化対応力」の重要性が改めて確認されました。
変化の激しい時代において、新入社員は未知の業務や環境に直面しながらキャリアを築いていきます。その中で、変化を前向きに受け止め、自律的に学び成長していく力は、本人のパフォーマンスだけでなく、組織への定着やエンゲージメントにも大きく影響します。
重要なのは、変化対応力を個人の資質として捉えるだけではなく、組織・上司・本人の三者が協働して育んでいく視点です。仕事の意味づけ、適切な挑戦機会、心理的安全性の確保、そして心身のコンディションへの配慮など、多面的な支援が求められます。
新入社員が安心して挑戦し、成長を実感できる環境を整えることが、結果として組織の持続的な成長につながります。本アンケートの分析が、若手育成や職場づくりを見直す一助となれば幸いです。

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