経営戦略を実現するための人事戦略とは
企業の成長と成功の鍵は、優れた経営戦略にあります。しかし、その戦略を実現するためには、人事戦略との緊密な連携を欠かすことはできません。
経営戦略と連動した人事戦略を策定するためには、自社が置かれている経営環境や社内の状況などを押さえておく必要があります。
本コラムでは、変化が急激な時代において、人事部門が経営層から期待される役割と、経営戦略を達成するために人事戦略を策定するメリットや、押さえておくべきポイントをご紹介します。
サステイナビリティとは「持続可能性」。
ビジネスにおいては、地球環境・社会・経済活動という3つの観点すべてにおいて「持続可能な状態」を実現する経営が、今後の企業の競争優位性を左右します。このページでは、サステイナブル経営の概要と、実践する上でのポイントをご紹介します。
加速する地球温暖化、人口の爆発的増加、貧困格差など、地球規模のさまざまな問題は、拡大し、複雑化しています。さらに問題が悪化すれば、経済活動や人々の生活を維持できなくなることが危惧されています。
こうした問題に対処するための動きが世界的に活発になっています。
2015年のCOP21(気候変動枠組条約締約国会議)では、温暖化対策の国際的な枠組みとなる「パリ協定」が採択されました。同年には、国連サミットでもSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)が採択されています。
また環境や社会課題に対する認識・取り組みから企業価値を測り、投資先を選択するESG投資が欧米を中心に拡大しています。環境や社会課題に積極的に取り組んでいる企業への投資が拡大する一方で、石炭や石油などの化石燃料、武器など環境や社会、健康に害を及ぼすとされる企業へは投資を撤退する、取引を中止するといった動きが活発化しています。
国内では、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っている、年金積立金管理独立法人(GPIF)がESG指数(企業を環境・社会・企業統治の3つの観点から評価する)を定めて、優れた企業を対象に年間1兆円の投資を行うと発表しました。GPIFは世界第2位の規模を誇る機関投資家として知られており、市場に大きなインパクトを与えました。日本企業の間でも「サステイナブル経営」に対する関心が高まり、今後さらに経営の枠組みに取り入れていく企業が増えていくと考えられます。
この数年で、企業を取り巻く環境は大きく変化しました。その影響は上場企業に限らず、未上場企業や小規模な組織にも広がっています。取引先企業がサステイナブル経営に取り組んでいる、あるいは調達基準にサステイナビリティの観点を入れている場合、サプライチェーンの一部を担う企業にも、同様の取り組みが求められることになります。
こうしたなか、サステイナブル経営を実践することで新たな価値を生む出すことに成功し、事業成長につなげている企業もあります。
化石燃料をはじめとする資源の過剰使用や、森林破壊、乱獲などによって自然資源が減少していくのに対して、人口の増加による資源需要はさらに大きくなっています。企業を取り巻く制約条件は、いわば「漏斗の壁」となって、その行く手を阻んでいます。外部環境の変化への適応は、生き残るための必須条件といえます。
この狭まる「壁」の間を駆け抜けるには、ビジネスの在り方を変化させることが必要です。
しかし、他社・業界の動きに追随し、変化に対処するだけの企業は、ビジネスのシェアを争うメンバーに過ぎません。
これからのビジネスにおいて競争優位を獲得するためには、他社にさきがけてサステイナブル経営を実現し、「漏斗の壁」を駆け抜ける方法をデザインすることです。そうしてビジネスにおける新たな競争基準(デファクトスタンダード)を再構築することで、市場における優位性を築くことができます。
では、漏斗の壁にぶつからず、駆け抜ける「持続可能な」経営とはどういうことをさすのか。
その羅針盤になるのが、持続可能性4原則8項目です。
この原則は、国際NGO:The Natural Stepの創設者であるカール=ヘンリク・ロベール博士が科学的な根拠に基づいて提唱した科学的フレームワークです。
ロベール博士は、自然環境及び人間社会を持続可能でない状況にしているメカニズムを解明しました。それをもとに、ビジネス・パーソンが持続可能な社会を作ることができるサステイナビリティを考えるチェックリストとして、「持続可能性原則」を提唱しました。
私たちの自然環境内および社会に
原則1.自然の中で地殻から取り出した物質の濃度が増え続ける活動に加担しない
原則2.自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続ける活動に加担しない
原則3.自然が物理的な方法で劣化する活動に加担しない
原則4.人々が自らの基本的なニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出す活動に加担しない
4-1 健康
物理的、感情的、精神的に良好な健康を維持するか、もしくは創ること
4-2 影響力
所属する社会システムに対しての影響力を維持するか、あるいは影響力を確立すること(意思決定に参画する、発言権を持つ、民主的な権利)
4-3 能力
学び、能力を高める可能性があること(学習、適応力、個人の成長、知識へのアクセス)
4-4 公平
公平に取り扱われること(公平な処遇、公正、尊重、多様性)
4-5 意味・意義
社会システムの一員であることの意味・意義を経験すること(目的を感じる、思いやり、改革の機会がある)
Copyright© The Natural Step All rights reserved
現在、私たちの経済活動や日々の生活は、持続可能な社会を阻害する問題を抱えています。
例えば
持続可能性4原則8項目は、上記のような問題を引き起こすことなく、自社の事業活動を行うためのチェックリストになります。
戦略を決める、商品を開発する、取引先を決める、人材育成をするなど、ビジネスを展開する上での方向性をこの持続可能性原則に照らし合わせて進めていく事ができます。
そして、持続可能性原則で自社の事業活動をチェックして、方向づけができたら自社がサステイナブル経営の道を進むための目標設定と具体的なアクションプランが必要になります。
目標設定とロードマップ作りに役立つのが、「バックキャスティング」の考え方です。バックキャスティングとは将来を検討する際に「持続可能な社会の姿」を想定し、その姿から現在を振り返って今何をすればいいか、目標とロードマップを考えることができる手法です。この考え方は、長期的視点にたち、利益を出しながら戦略的に組織変革を行うのに効果的な方法です。具体的には以下のような4つのステップで進めます。
ステップA(Awareness)
4つの持続可能性原則、自然のサイクル、ABCDプロセスの方法を理解する。その上で、4つの持続可能性原則に反しないビジョンを作成する。
ステップB(Baseline)
現状を4つの持続可能性原則に照らして分析する。
ステップC(Creative Solutions)
サステイナブルビジョン、戦略を実現するためのイノベーティブなアイディアを案出する。
ステップD(Decide on Priorities)
プランの優先順位をつける。
① そのプランで最終目標に近づくか。
② プランに柔軟性はあるか。
③ 経済的に実行可能か。
このステップは将来あるべき姿を目標として先に定めるので、ロードマップづくりが最大の難所になります。多くの場合、目標を掲げた時点でシナリオが十分でないので、現状とのギャップを可視化し、課題をあぶりだし、行動に移します。チャレンジすることで技術の向上や成功、イノベーションにつながります。
弊社、株式会社ビジネスコンサルタント(以下BCon®)がサステイナブル経営の必要性をお客様に伝え始めたのは2010年でした。その後、サステイナブル経営を実践的にサポートするために専門家とパートナーシップを築いてきました。弊社は長年にわたり、組織開発のノウハウを生かしてお客様組織の変革支援をおこなってきました。その知見と経験を生かして、サステイナブル経営の実践を支援しています。
専門的知見を持つ先端的なパートナーとのネットワークが、国連でのSDGsの採択(2015年)にも先んじた取り組みの基盤となっています。これらのパートナーシップにより、最新のサステイナブル経営の情報や実践に役立つ知見を持つことができています。またサステイナブル経営の実践をサポートするeラーニングなどのツールも充実しています。
1989年設立された、世界13か国に拠点を持つ国際NGOです。環境・社会・経済の観点から持続可能な未来を実現するためのビジョンや戦略策定を支援しています。サステイナビリティについてのフレームワークを開発し、1,000名以上の実践者がそのメソッドを共有し、組織・コミュニティのサステイナビリティ実践事例は何百にものぼる。
ブレーキンゲ工科大学教授。持続可能な社会の姿を想定し、その姿から現在を振り返って何をすれば良いか考える「バックキャスティング」の考え方の発案者。2000年に地球環境問題のノーベル賞といわれる「ブループラネット賞」を受賞。
英国に本拠地を置く非営利団体。人類やその他の生命が地球上で永遠に繁栄し続けられる社会を実現することをビジョンとしています。ビジネスの第一線で厳しい競争をしているリーダーたちが持続可能な経営を進めるのに役立つKPIツール:Future-Fit Business Benchmarkを開発し、無料で提供しています。
サステイナブルを分かりやすく理解するeラーニング。サスティナビリティの基本理解から実践段階で役立つ事例やフレームワークまでトータルで学習できるコンテンツが85コース以上あります。1コースが10分以内で構成され、インタラクティブな学習体験ができます。
製品・サービスの種類に関わらず、すべての企業がサステイナビリティを実現するために持続可能性4原則8項目をもとにビジネスとして取り組むべきアクションを導き出したKPIツール。Future-Fit Foundationが無料で提供しています。ザ・ボディショップ(英/化粧品製造販売)、デビアス(南ア/宝飾品)、ノボノルディスク(デンマーク/医薬品製造)等さまざまな業種の企業が実際に活用しています。
サステイナブル経営の実現には、経営者の思いや、リーダーシップだけでは足りません。各部署が連携し効果的に機能する組織をつくり、従来の在り方から脱却するための組織変革が必要です。
BCon®が蓄積してきた「組織づくり」や「組織文化の変革」に関する豊富なノウハウは、サステイナブル経営の実現にも役立てられるものです。
サステイナブル経営の実現を目指して組織全体が変革に向かうためには、組織の一人ひとりが当事者として行動を起こし、それを継続していくための「動機付け」が欠かせません。
BCon®は、55年以上にわたって多くの研修やコンサルティングを手がけてきました。その中で培われた経験と知見によって変革を推進するチーム作り、組織の土壌づくりをサポートしています。
サステイナブル経営の実現に向けた取り組みや、SDGsを活用した事業展開についてなど、お悩みやフェーズにあわせてサポートいたします。こちらのフォームからお問い合わせください。
サステイナビリティの基本理解から実践段階で役立つ事例・フレームワークまでトータルに学習できます。
20〜30年後も競争力ある自社のビジョンを描くためのプロジェクト支援をします。
サステイナブル経営をサポートする際の弊社のお手伝い内容や事例を紹介しています。
BConは、株式会社ビジネスコンサルタントの登録商標です
組織開発や人材開発の最新の情報やソリューションのご案内をお送りしています。
企業の成長と成功の鍵は、優れた経営戦略にあります。しかし、その戦略を実現するためには、人事戦略との緊密な連携を欠かすことはできません。
経営戦略と連動した人事戦略を策定するためには、自社が置かれている経営環境や社内の状況などを押さえておく必要があります。
本コラムでは、変化が急激な時代において、人事部門が経営層から期待される役割と、経営戦略を達成するために人事戦略を策定するメリットや、押さえておくべきポイントをご紹介します。
ビジネスを取り巻く環境が、これまで以上に急速に、複雑に変化する時代を迎えています。将来を担う「次世代リーダー」(経営幹部候補者)に求められる力も変化しているのではないでしょうか。
これからのリーダーとなる人材が身につけるべき能力として注目しておきたいのが「ラーニングアジリティ」です。激しい変化や経験のない状況に対して、素早く、柔軟に適応し組織を導くリーダーには欠かすことのできない力といえます。
このコラムでは、「ラーニングアジリティ」について解説し、向上するためのポイントをご紹介します。
ビジネスにおけるエンゲージメントとは、従業員と企業の関係性を表す言葉であり、エンゲージメントが高いということは、従業員と企業が結束し互いに高め合える対等な関係、状態のことを指します。
エンゲージメントを高めることは、従業員にとっても企業にとっても双方に大きなメリットがあり、今後永続する企業を目指す上で欠かすことのできない課題となっています。