
アサーション研修とは?目的・効果・おすすめの内容を解説
アサーション研修とは、自分の意見や気持ちを率直に伝えながらも相手を尊重する「アサーティブコミュニケーション」を学ぶ研修です。若手社員の意見が出にくい、上司との関係を改善したい、チーム内で誤解が起きやすい――こうした職場課題の解決に有効です。
本記事では、アサーション研修の目的や効果、メリット、具体的なプログラム内容まで詳しく解説します。導入を検討中の人事・教育担当者の方はぜひ参考にしてください。
新しい環境で働き始めたばかりの新入社員や、少しずつ仕事を任されるようになった若手社員にとって、成果を出すうえで欠かせないのが「ビジネスコミュニケーションスキル」です。ただ話す、聞くといった表面的なやりとりではなく、相手の立場を理解し、状況に応じて的確に伝える力が求められます。成果を上げている人ほど、コミュニケーションを単なる会話ではなく「成果を上げるための手段」として磨いているのです。
本記事では、新入社員・若手社員がこれからのビジネスシーンで信頼され、成果を上げるために必要なコミュニケーションスキルについて、基本から具体的な実践法までを解説します。
ビジネスコミュニケーションとは、職場で業務を円滑に進め、目標を達成するために行われる情報のやりとりです。上司や同僚、取引先など、組織内外の関係者と正確に意思を伝え合う力が求められ、単なる会話とは異なり、「成果につながる伝え方」が重視される点が特徴です。
特に新入社員や若手社員にとっては、ビジネス特有の言葉遣いや話し方、メールやチャットの基本的なマナーに戸惑うこともあるでしょう。しかし、これらのスキルは早い段階で意識して身につけることで、上司や先輩、顧客との信頼関係を築きやすくなります。また、指示を正しく理解し、報告・連絡・相談を適切に行うことも、仕事を円滑に進めるうえで非常に重要です。ビジネスコミュニケーションは職場で活躍するための「土台」となる力であり、早いうちから意識して磨くことが、キャリア形成の第一歩となります。
普段のコミュニケーションは、感情を伝え合ったり、関係性を大切にしたりすることが目的になる場合が多く、多少あいまいな言い方や言葉が足りなくても、相手との関係性によっては問題にならないことがあります。例えば、家族や友人との会話では、細かい説明をしなくても気持ちが伝わることが多いです。
それに対して、ビジネスコミュニケーションで大切なのは、「相手に自分の意図を正確かつ効率よく伝え、仕事の成果につなげること」です。相手の立場や状況を考えたうえで、誤解を生まないように筋道立てて話す力が求められます。また、ビジネスの場では社内外のさまざまな人と関わるため、丁寧さや礼儀正しさといったマナーも欠かせません。
このように、ビジネスコミュニケーションは日常会話とは目的や求められるスキルが異なります。仕事を円滑に進めるためにも、意識して身につけることが大切です。
ビジネスコミュニケーションと一般的なコミュニケーションの比較
「成果につながるコミュニケーション力」として、新入社員や若手社員の段階で特に意識したいのが、信頼を得て、周囲と情報共有ができ、仕事を円滑に進めることにつながるスキルの習得です。ここでは、ビジネス現場で新入社員・若手社員がまず習得すべき4つのスキルを紹介します。
まず重要なのは、論理的に伝える力です。ビジネスでは限られた時間の中で相手を納得させ、行動を促す必要があるため、感情や印象に頼るのではなく、筋道の通った説明が求められます。
その際に有効なのが、まず結論を述べ、次にその根拠を述べるピラミッドストラクチャーと呼ばれる組み立てを意識することです。例えば会議で提案をするとき、「私たちのチームでも◯◯を取り入れると良いのではないでしょうか(結論)。なぜなら時間短縮につながるからです(理由)。実際に、他チームで導入した際、資料作成の時間が1時間短縮したという実績もあります(具体例)。そのため、導入は有効と考えております(結論)」と伝えれば、説得力が高まります。
このように論理的な話し方を身につけることは、プレゼンテーションや商談、社内報告などあらゆる場面で大きな武器となります。ロジカルに伝える力は、信頼を得るための基本です。
次に欠かせないのが、「報連相(報告・連絡・相談)」のスキルです。新入社員・若手社員にとって、報連相を適切に行うことは上司や先輩との信頼関係を築く第一歩となります。
例えば、問題が発生した際にすぐに報告すれば迅速な対処ができますが、報告が遅れると、状況が悪化する可能性があります。報連相を習慣づけることで、情報共有の遅れや認識のズレを防ぎ、チーム全体の円滑な業務遂行にも貢献できます。
報連相は単なるマナーではなく、信頼構築やリスク回避のための実践的なスキルです。タイミング、内容、相手に合わせた伝え方を意識することで、職場内のコミュニケーションの質が向上します。
職場で早く成長する新入社員・若手社員にとって、「質問する力」も大切なスキルのひとつです。分からないことをそのままにせず、適切なタイミングで質問することで、理解が深まり、ミスも防げます。
また、ただ疑問を投げかけるのではなく、「自分なりに調べたうえでの質問」や「仮説を立てたうえで確認する質問」は、主体性や思考力の高さを示すことができ、評価にもつながります。質問力は、受け身の姿勢から一歩進み、自分で学び取る力を養う第一歩です。
新入社員や若手社員が職場で信頼される存在になるためには、「話す力」だけでなく「聞く力」も非常に重要です。中でも「傾聴」は、相手の話を受け止め、信頼関係を築くうえで欠かせないスキルです。
傾聴とは、単に話を聞くだけでなく、「あなたの話に関心を持ち、理解しようとしている」という態度を示すことです。表情やうなずき、視線、姿勢などの非言語的サインも含めて、相手に安心感を与える聞き方を心がけましょう。傾聴にはいくつかのレベルがあり、自分がどのように相手と向き合っているかを意識することが大切です。
レベル1:「無視」
聴く人の心情:「あなたの言うことを聞いている暇はない」
聴く人の行動:集中しない
レベル2:「否定」
聴く人の心情:「あなたは間違っている」
聴く人の行動:否定する
レベル3:「指導」
聴く人の心情:「あなたにアドバイスしてあげます」
聴く人の行動:アドバイスする
レベル4:「興味」
聴く人の心情:「あなたのことをもっと知りたい。もっと教えてほしい」
聴く人の行動:“相づち”と“質問”をする
レベル5:「心情理解」
聴く人の心情:「あなたの考えとその背景の気持ちが分かる」
聴く人の行動:相手の言葉で“言い換える”
コミュニケーションスキルの向上には、話し方や言葉遣いだけでなく、「非言語(ノンバーバル)」の要素も含めた全体的なアプローチが求められます。ここでは、個人が日々の仕事や人間関係の中で実践できる、ノンバーバル・バーバルの両面からの改善方法をご紹介します。
コミュニケーションを改善するためには、まず自分自身の話し方や聞き方、態度などの「コミュニケーションスタイル」を把握することが大切です。なぜなら、私たちは日常のやりとりの中で、相手の言葉や態度に対して無意識に反応してしまい、その反応のクセが誤解やすれ違いを生む原因になることがあるからです。例えば、人の話を聞くときに腕を組んでしまう、表情が硬くなりやすい、声が単調になるといった特徴は、自分では気づきにくいです。しかし、これらの行動が「冷たい」「興味がない」といった印象を与えてしまうことがあります。
そこで有効なのが、自分の行動特性や対人傾向を客観的に把握する診断です。こうした診断では、普段のコミュニケーションの取り方やストレスを感じたときの反応パターンを振り返ることで、自分の強みや改善点を明確にできます。例えば、普段は穏やかに対応できる人でも、ストレスを感じると表情や態度が閉じがちになるなど、状況によってスタイルが変わるケースも少なくありません。
このような診断を活用すると、自分の言動がどのように受け取られているかを理解できるだけでなく、他者との違いにも寛容になれるようになります。つまり、自分のスタイルを知ることは、非言語コミュニケーションを磨くだけでなく、対人関係全体の質を向上させる第一歩なのです。
弊社は、自身のコミュニケーションスタイルを把握するための診断ツールとして、「LIFO®」を提供しています。詳細はこちらをご覧ください。
わかりやすく伝えるためには、話の内容だけでなく、伝え方の“型”を身につけることが効果的です。例えば、PREP法(結論→理由→具体例→再主張)のようなフレームを使えば、話に一貫性と説得力が生まれ、聞き手が内容を理解しやすくなります。例えば、「この施策を導入すべきです。なぜなら工数削減に効果的だからです。実際に前回のプロジェクトでは作業時間が30%減りました。よって導入をおすすめします」といった構成は、ビジネスの現場でも非常に有効です。
また、話すスピードや間の取り方、声のトーンなど、言葉以外の要素も伝わり方に大きな影響を与えます。こうした技術は、日常的なトレーニングを通じて向上させることができます。型を知り、繰り返し使うことで、自信を持って伝えられるようになる——それが論理的で伝わるコミュニケーションの第一歩です。
コミュニケーションにおいては、「どれくらい話すか」や「いつ話すか」といったバランスも非常に重要です。話しすぎると一方的に感じられ、反対にほとんど話さないと関心がないように受け取られることもあります。例えば、会議や報告の場面で、必要以上に詳しく話すと冗長に感じられ、逆に要点だけを簡潔に伝えると冷たい印象を与えることがあります。大切なのは、相手の反応を見ながら、適切なリズムで話すことです。これが、信頼される社会人としての第一歩になります。
フィードバックとは、自分の行動が周りの人にどんな影響を与えているかを教えてもらう、大切なやりとりです。自分では気づきにくい点を知るチャンスであり、成長のヒントがたくさん詰まっています。また、信頼関係を深めるきっかけにもなるため、前向きに受け取る姿勢が大切です。
フィードバックをもらった後にそれをどう行動に移すかは、成長スピードを大きく左右します。例えば、「声が小さい」と指摘されたら、声量や話す姿勢を見直す。「説明が長い」と言われたら、内容を要約するよう心がける。こうした改善行動が重要です。
また、フィードバックをもらった際には、言葉で感謝を伝えることも信頼関係を築く一歩です。「ご指摘ありがとうございます」といったリアクションが、受け入れる姿勢を示すサインとなります。
テキストでのやりとりが増えた現代では、文章で意図を的確に伝える能力がより重要になっています。特にメールやチャットでは、表情や声のトーンが伝わらないため、誤解が生じやすい傾向にあります。そのため、敬語の使い方、目的の明示、箇条書きの活用など、読みやすく明確な文面を心がけることが大切です。また、「ありがとうございます」や「よろしくお願いします」といった一言を添えるだけで、文章に温かみが加わり、信頼関係の構築に寄与します。
個人の努力だけでは限界があるため、組織としても継続的にコミュニケーション力を育む仕組みを整えることが重要です。管理職が率先して模範を示すと同時に、組織全体でスキル向上を支援する環境づくりが求められます。
社員のコミュニケーションの力を高めるには、継続的な研修が不可欠です。知識やスキルは一度学んだだけでは定着せず、実践と振り返りを通じて身につくものです。特に、ノンバーバル(非言語)とバーバル(言語)の両面を意識したトレーニングが求められます。
例えば、傾聴姿勢を体感するロールプレーイングや、メール文面をブラッシュアップする演習など、参加型の研修を定期的に実施することで、実務に直結するスキルが磨かれます。実践を伴う研修を継続的に取り入れることで、社員全体の対話力が底上げされ、日常業務の質にも好影響を与えます。
建設的なフィードバックは、組織の成長を加速させる鍵になります。単なる評価や指摘ではなく、相手の行動や成果に対して、改善や成長につながる視点を共有する「対話型のコミュニケーション」が重要とされています。例えば、定期的な1on1ミーティングや振り返りの場を設け、「あの時の対応についてどう感じたか」「よりよくするにはどのような工夫が考えられるか」といった具体的かつ前向きなフィードバックを行うことが重要です。こうした習慣が定着すれば、フィードバックは単なる指摘ではなく、相互理解と信頼の土台となります。
また、上司から部下へのフィードバックだけでなく、部下から上司へのフィードバックも積極的に受け入れる文化を育むことが、双方向の信頼関係を築くうえで効果的です。立場に関係なく意見や改善提案ができる環境は、組織全体の透明性や心理的安全性の向上にもつながります。フィードバックが自然に交わされる職場では、チーム内のコミュニケーションが活性化し、業務改善のスピードも上がります。
職場のコミュニケーションの質は、管理職の日々のふるまいによって大きく左右されます。管理職が日ごろから相手の話をしっかり聞き、共感を示しながら明確に伝える姿勢を持つことで、その行動は自然と周囲に広がっていきます。部下は上司の言動をよく観察しており、無意識のうちに模倣することも少なくありません。
例えば、部下が話したことに対してすぐにリアクションを返す、あるいは「その時どう感じたの?」と意図を尋ねるだけでも、対話の質は大きく向上します。また、相手の成長を意識した建設的なフィードバックを心がけることで、単なる指導ではなく、育成にもつながるコミュニケーションが可能になります。
上司の言葉や態度は、部下のコミュニケーションのあり方に直接影響します。だからこそ、管理職自身が日々のやりとりの中で、模範となる姿勢を示すことが求められます。
安心して発言できる職場環境は、コミュニケーション力の発揮に欠かせません。どんなにスキルがあっても、「否定されるかもしれない」「評価が下がるかもしれない」という不安があると、人は本音を口にできなくなります。
例えば、会議で発言しても否定されずに「なるほど、そういう考え方もあるね」と受け止められる職場では、自然と意見交換が活性化し、メンバー同士の信頼も高まります。こうした安全な空気感は、トップだけでなく組織全体で意識的につくっていく必要があります。心理的安全性があるからこそ、自由な発言と学び合いが可能になり、チームの力が最大化されます。
新入社員や若手社員にとって、コミュニケーションスキルは単なる「話し方・聞き方」の技術ではなく、信頼を得て仕事を前に進めるための大切な土台です。話す順番やタイミング、報連相の方法、フィードバックの受け止め方などは、すべて日々の小さな意識と行動の積み重ねによって培われます。
「自分にはまだ経験が足りない」と感じることがあるかもしれません。しかし、コミュニケーションスキルは生まれつきの才能ではなく、誰でも後から身につけられる力です。伝え方の“型”を学び、相手に関心を持って耳を傾け、受け取ったフィードバックを次の行動に生かす。そうした積み重ねが、やがて「信頼される存在」へと成長することにつながります。さらに、組織としてもコミュニケーション力を育てる仕組みを整えることで、職場全体がより働きやすい環境になります。
組織開発や人材開発の最新の情報やソリューションのご案内をお送りしています。
アサーション研修とは、自分の意見や気持ちを率直に伝えながらも相手を尊重する「アサーティブコミュニケーション」を学ぶ研修です。若手社員の意見が出にくい、上司との関係を改善したい、チーム内で誤解が起きやすい――こうした職場課題の解決に有効です。
本記事では、アサーション研修の目的や効果、メリット、具体的なプログラム内容まで詳しく解説します。導入を検討中の人事・教育担当者の方はぜひ参考にしてください。
「新入社員研修で、どんなグループワークを取り入れるべきか迷っている」「毎年同じ内容になってしまい、ネタ切れで困っている」そう感じている研修ご担当者の方も多いのではないでしょうか。
グループワークは、知識を定着させるだけでなく、主体性・チームワーク・コミュニケーション力など、社会人に必要なスキルを実践的に学ぶための重要な手段です。しかし、目的に合わないワークを選んでしまうと、ただの「作業」や「遊び」で終わってしまうことも少なくありません。
本コラムでは、新入社員研修で効果的に活用できるグループワークのネタを目的別に20個ご紹介します。
「あれ、ちょっと思っていたのとは違うかも…」そんな気持ちを抱える新入社員は、全体の56.8%※1にのぼることが分かっています。
この「ギャップ」には、良い意味で予想外の経験もあれば、期待と現実のズレによる戸惑いといったネガティブなものも含まれています。前向きなギャップは、職場への適応やモチベーションの向上につながることもありますが、特にネガティブなギャップは、理想と現実の落差によって「リアリティショック」を引き起こす原因となることがあります。これは、早期離職や意欲の低下にもつながりかねません。本記事では、新入社員が直面するリアリティショックの段階を順に解説し、それぞれの対処法をご紹介します。新人育成のヒントとして、ぜひご活用ください。