アサーション研修とは?目的・効果・おすすめの内容を解説
- アサーションとは、自分の気持ちや意見を、相手を尊重しながら率直かつ誠実に伝えるコミュニケーションのこと
- アサーション研修を活用することで、職場全体の雰囲気改善やエンゲージメント向上につながる
アサーションとは
アサーションとは、自分の気持ちや意見を、相手を尊重しながら率直かつ誠実に伝えるコミュニケーションのことです。一般的に「アサーティブコミュニケーション」とも呼ばれます。アサーション研修は、このスキルを体系的に学び、実践できるようになるための研修です。
例えば、納期の調整が必要なときに「忙しいからできません」とすぐに答えるのでも、「迷惑をかけたくない」と無理をするのでもなく、「現状では難しいため、納期の再調整についてご相談させてください」と丁寧に伝える。これがアサーティブコミュニケーションの一例です。
では、なぜアサーション研修が重要なのでしょうか。
アサーション研修はなぜ重要か?
アサーション研修が求められる背景には、現代の職場が抱える課題があります。
- 自分の意見や感情を率直に伝えることに苦手意識を持つ新入社員や若手社員が増えている
- 価値観や働き方が多様化する中で、互いの考えや背景を理解しきれず、職場でのコミュニケーションがうまくとれない
- コンプライアンス問題につながることを恐れて、管理職が部下に適切なタイミングや伝え方でフィードバックができず、育成・指導がうまくできない
このように、自分の意見や考え、その背景や感情をうまく相手に伝えられないことが職場の悩み、生産性の低下や離職につながっているため、アサーション研修は重要な取り組みといえます。
アサーション研修の目的
アサーション研修の目的は、以下の3つに集約されます。
- 自己表現力の向上
自分の意見や気持ちを率直に伝えられるようにする。
-
信頼関係の構築
相手を尊重しながら関わり、互いに安心できる関係性を築く。
- 業務パフォーマンスの向上
心理的安全性のある職場環境がつくられ、業務パフォーマンスの向上につながる。
では、アサーション研修を実施することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
アサーション研修を実施することで得られるメリット
アサーション研修を通じて、個人や職場に次のような変化が期待できます。
- 自己表現力の向上と主体性の強化
自信を持って明確に表現できるようになり、主体的な姿勢やリーダーシップの発揮につながります。
- 上司・先輩との信頼関係の強化
適切な伝え方ができるようになり、報連相の質が向上し、信頼関係が築かれます。
- 職場内の対話の活性化
「言っても大丈夫」という心理的安全感が高まり、チームの風通しが良くなります。
- 対人ストレスの軽減
我慢せずに伝えられることで心理的負担が減り、前向きに働けます。
研究でも、アサーティブコミュニケーションの向上がリーダーシップ発現を促すことが示されています。
(参照:Lu et al., 2025 Breaking Ceilings:Debate Training Promotes Leadership Emergence by Increasing Assertiveness https://www.jacksonlu.net/_files/ugd/0ce794_3a33dbed3f5449d4aa94e54ceb9accc8.pdf)
アサーション研修の効果は「話し方がうまくなる」だけにとどまりません。職場全体の雰囲気改善やエンゲージメント向上にまで広がり、特に新入社員や若手にとっては、報連相や相談をためらわず行える自信を育み、積極的な職場参画を促します。
つまり、アサーションスキルを高めることで「個人の成長」と「組織の健全な文化づくり」の両面に貢献することができるのです。
では、アサーション研修では何を学ぶべきでしょうか?
アサーション研修では何を学ぶのか?
アサーション研修で取り入れるべき内容は大きく5つあります。
4つのコミュニケーションスタイルについて理解する
アサーティブコミュニケーションがどの位置づけにあるか、そして他のスタイルとの違いは何かについて理解することが大切です。
「4つのコミュニケーションスタイル」とは
コミュニケーションは、主に4つのスタイルに分けられます。
- 開放的……自分の気持ちや考えを正直に、率直に表現し、また相手が自分の気持ちや考えを自由に表現することも受け入れようとするスタイル
- 攻撃的……自分の主張はハッキリ伝える一方、相手の言い分や気持ちを無視して、相手に自分の意見を押し付けるスタイル
- 無関心的……「他人は他人、自分は自分」的なコミュニケーションスタイル
- 受動的……自分の気持ちや考えを表現しなかったり、曖昧な表現をしたりするコミュニケーションスタイル
自己チェックシートを用い、自分自身の現状を客観的に把握する
チェックシートを用いて、自分のコミュニケーションの癖を客観的に振り返ることが大切です。
「よい聞き手」になるためのポイントを理解し、傾聴スキルを学ぶ
「よい聞き手になるためのポイント」を実習形式で学び、傾聴スキルを強化することが大切です。相手の話をただ聞くだけでなく、共感や確認を交えながら聴く力が、信頼関係の土台になります。
アサーティブコミュニケーションの「5つのステップ」を理解し実践する
Iメッセージなど、具体的な表現方法を学びます。
グループでのロールプレーイングを行い、相互フィードバックで実践力を高める
実際の職場を想定した演習を通じ、実践力を磨きます。
アサーション研修のタイムスケジュール例
アサーション研修は、上記の5つの内容を取り入れ、理論のインプットと実践的なアウトプットをバランスよく組み合わせることが重要です。以下は1日のタイムスケジュール例です。

基本となる概念を講義で学び、ロールプレーイングやグループワークを通じてスキルを高めます。さらに職場での実践に向けた具体策の検討を行うことで、アサーティブコミュニケーションを体系的に習得します。理論とスキルの両方を身につけ、職場で活用できる状態を目指します。
ビジネスコンサルタントのアサーション研修の特徴
ビジネスコンサルタントでは、アサーティブコミュニケーションを学べる研修を実施しています。以下は弊社の研修の特徴です。
効率的にスキルを習得できる、凝縮されたプログラム
アサーティブコミュニケーションについての基礎的な理解を促す講義、体験的な学びと実践的なトレーニング、そして職場での実践に向けた具体策の検討など、凝縮されたプログラムで効率的にスキルを習得します。
ご要望に応じてカスタマイズが可能
弊社のプログラムは、パッケージされたものではありません。各社の状況や希望する姿をお伺いしながら、柔軟に内容をカスタマイズしています。こんな要素を取り入れたい、ここはもう少し丁寧にしてほしい、1日ではなく2日で実施したい等、ご要望に応じて対応させていただきます。
最後に
アサーション研修は、単に「話し方」を学ぶ研修ではありません。相手を尊重しながらも、自分の思いや意見を正しく伝える力を育てることで、若手社員はより自信をもって職場と関われるようになります。
また、その変化は個人にとどまらず、チームや組織全体の風通しや心理的安全性の向上にもつながっていきます。
人材育成における第一歩として、アサーション研修は非常に効果的なアプローチです。現場で活きる実践的なスキルを身につけさせたいとお考えの人事・教育ご担当者さまは、ぜひ導入をご検討ください。