自分らしさとリーダーシップをつなげる、異業種女性リーダー研修

大手企業が連携し、女性リーダーの育成を目的とした異業種交流型研修を実施しています。女性活躍推進の取り組みが進む一方で、女性自身がリーダーシップの発揮に前向きになるための支援は、継続的に取り組まなくてはならないテーマとなっています。

本プログラムでは、異業種の参加者との対話や実践課題を通じて、リーダーシップの捉え方を見直し、自分らしい発揮のあり方を見いだしていきます。本記事では、その変化のプロセスをご紹介します。

組織名
亀田製菓株式会社、大王製紙株式会社、大成建設株式会社、東海旅客鉄道株式会社、株式会社東芝(※五十音順、掲載許可企業のみ記載) 
カテゴリー
  • 人材開発

ビジネスコンサルタントでは、複数の大手企業が連携して毎年実施する、異業種交流型の女性リーダー育成研修(以下、異業種女性リーダー研修)を、2021年から運営面で支援しています。

各企業では、長年にわたり女性活躍推進に取り組み、さまざまな施策を展開しています。一方で、女性自身がリーダーシップの発揮に前向きになる意識を引き出すことに課題を感じています。そこで、異業種交流という普段とは異なる環境での学びに着目し、5か月間のプログラムを実施しました。2025年度は、6社より33名が参加しました。

各企業のご担当者さまからは、次のような評価が寄せられています。

「異業種の女性との対話を通じて、自身の強みを肯定的に捉え直し前向きにキャリアを考える姿勢が育まれている」

社内では得られない経験を通じて、リーダーシップやチームビルディングを実践的に学べる点に価値を感じている」

(事務局アンケートより)

本記事では、異業種の女性同士が学び合い、中間課題に取り組む中で、リーダーシップの捉え方をアップデートし、自分らしいリーダー像を見いだしていくプロセスをご紹介します。

実施概要とプログラム詳細

本プログラムは、複数の企業が連携し、継続的に実施している異業種女性リーダー研修です。2025年度は、亀田製菓株式会社、大王製紙株式会社、大成建設株式会社、東海旅客鉄道株式会社、株式会社東芝が参加しました(※五十音順、掲載許可企業のみ記載)。

参加企業はいずれも、長い歴史と確固たるビジネス基盤を持つ、業界を代表する存在です。各社では、女性活躍推進をさらに前に進めるため、以下の3点を目的としたプログラムを実施しました。

  1. 異業種交流という越境的な関わりを通じた視野の拡大 
  2. 中間課題への取り組みを通じた、新たなリーダーシップ像への転換
  3. リーダーシップの発揮に必要な実践的スキルの習得

プログラム詳細

事前課題・集合研修・中間課題を通じて、自分の強みを生かしたリーダーシップの発揮につながる学び・気付きを促します。さらに異業種混交のグループで課題に取り組む、実践重視のプログラムです。各ステップの詳細は、こちらの記事をご参照ください。

リーダーシップへの思い込みから自由になる
「異業種×女性限定」の学びの場|異業種女性リーダー研修

リーダーシップ観はどう変わったのか|参加者に起きた姿勢の変化

研修全体を通して、参加者に見られた具体的な変化は次の通りです。

リーダーシップに対する違和感の変化と捉え直し

Before

リーダーシップに対する違和感や前向きになれない気持ちを抱えていた

After

リーダーシップへの捉え方が変わり、自分なりに発揮するきっかけを得た

参加者の多くは、リーダーシップに対して言語化しきれない違和感を抱えていました。背景にあったのは「リーダーとは、先頭に立ってチームを力強く引っ張る存在である」という従来型のイメージです。そのイメージに自分を重ねたとき、「自分には当てはまらない」「リーダーを目指さなければ価値を発揮できないのだろうか」といった戸惑う様子が見られました。

こうした認識は、研修を通じて変化していきます。参加者からは、「リーダーシップは特定の人が担うものではなく、それぞれの立場や強みを生かして発揮できるものではないか」といった捉え方が共有されました。その結果、リーダーシップを「特定の役割」ではなく、「日常の関わりの中で発揮できるもの」として捉え直す動きが見られました。

女性活躍推進への捉え方の変化と広がり

Before

女性ばかりに焦点をあてる取り組みに、疲弊感やプレッシャーがある

After

誰もが活躍できる組織を作るための取り組みであり、これからどうありたいかを主体的に考えられるようになった

研修開始直後は、女性活躍推進の重要性を理解しながらも、「なぜ女性だけが対象なのか」「自身のキャリアとどのように関係するのか」など、プレッシャーや負担を感じている様子が見られました。こうした認識は、対話や検討を重ねる中で変化していきます。

参加者からは、「女性に限定した取り組みは、マイノリティの視点や自分らしい働き方を考えるきっかけではないか」「誰もがリーダーシップを発揮できる組織をつくることが本質ではないか」といった気付きが共有されました。また、「自分らしく働いていきたいという気持ちを肯定できた」という声もあり、現在の自身の在り方を前向きに捉え直す様子も見られました。

このように、女性活躍推進は、会社の施策として受け止めるものから、自分自身の働き方やキャリアを考えるための重要な機会として、前向きに捉え直されていきました。

こうした変化を特に促したのが、中間課題への取り組みです。次章では、中間課題においてどのような協働関係が生まれ、参加者の学び・気付きを深めたのかに焦点を当てます。

「自分らしさ」の強みを生かす、チームで取り組む中間課題

本プログラムは約5か月間で構成されており、その中核として約3か月半にわたる中間課題に取り組みます。ここでは、グループごとに設定したテーマについて、調査(アンケートやインタビュー)や検討を重ね、報告資料を取りまとめます。その過程で、それぞれが強みや徳性を生かしながらリーダーシップを発揮するとともに、フォロー研修の場で成果を発表し、他者に共有する機会となっています。

異業種混合のグループで実施する取り組みは、利害関係がないため評価を気にせず、自分らしいリーダーシップを発揮する機会になります。
また、最初の2日間の研修で気付きを深め、互いの「強み」を意識的に認め合い、発揮しようとする行動も自然と生まれやすくなります。

本章では、協働の体験を通じて起こった参加者の変化や気付きに焦点を当てます。

中間課題のテーマ一例:

・過渡期における女性リーダー育成に必要なこと 
・これからのリーダーシップを浸透させるために私たちができること 
・私たちが目指したい管理職の姿について 

中間課題への取り組みの中で直面する“前提の違い”

異業種混合のグループで課題に取り組む中で、参加者は各社における前提や考え方の違いに数多く直面します。例えば、資料のまとめ方や意思決定の進め方といった日常的な業務の進め方一つをとっても、「自社では当たり前」とされていることが他社では異なるケースが見られました。

また、管理職の役割や働き方、制度の運用方法などについても、企業ごとの違いが顕在化します。参加者からは、「自分の会社はこういう風に見られているのだなという客観的な視点が生まれた」という声も聞かれました。

このように、多様な前提や価値観に触れる経験そのものが、参加者にとって自社の慣習や考え方を見つめ直すきっかけとなっていました。

自分らしさを認め、生かすチーム体験

中間課題では、役割を固定せずにチームでの取り組みが進められました。特定の参加者が常に中心となって全体を主導するのではなく、問いかけ、意見の整理、データ分析、関係性の調整など、それぞれの強みを生かした関わり方が、状況に応じて発揮されていました。こうした協働のプロセスの中で、同じグループのメンバーの発言や行動に影響を受けたり、「自分も取り入れてみたい」と感じる関わり方に出会ったりする場面も見られました。異なるスタイルに触れることは、自身の関わり方の幅を広げることにつながります。

このような経験を通じて、参加者の多くに、リーダーシップは特定の個人が担うものではなく、チームの中で多様な形で発揮されるものであるという理解が醸成されていきました。さらに、自身の強みや徳性を生かした関わり方がチームの成果につながるという実感も共有されました。

参加者の中には、この経験を経て「ひとりで決めていくというより、対話を重ねて仲間を信じて成果を出していくというリーダーシップを発揮したい」と具体的なリーダー像に結び付けている姿も見られました。このように、参加者が自らの職場においてリーダーシップを発揮する際のイメージ形成にもつながっています。

協働を通じて構築されたネットワークの広がり

成果発表の場では、多くの参加者がメンバーから受けた影響について言及しています。例えば、「課題への取り組みを通じて、仲間の存在を実感した」「他者と比較するのではなく、自分らしく取り組めた」「チームを支えるリーダーでありたいと考えるようになった」といった声が聞かれました。いずれのグループの発表からも、協働を通じて相互理解が深まり、参加者同士のつながりが強化されている様子が見られました。

また、ここで育まれたネットワークを通じて、研修終了後も参加者同士の交流が継続するケースが見られています。業務に関する情報交換や相談が行われる関係性に発展したり、個人的なつながりとして交流が続いたりするなど、それぞれの形で活用されています。こうした関係性の継続も、本プログラムの重要な成果の一つといえます。

異業種交流で得た学びを職場でどのように生かすのか

研修の終盤では、これまでの学習および中間課題への取り組みを通じて得たリーダーシップの理解を、今後どのように生かしていくかについて整理します。本章では、参加者がプログラムを通じてどのような行動を目指すようになったかについて、研修の最後に発表された行動宣言の内容をもとにご紹介します。

対話を起点としたリーダーシップの実践

多くの参加者から、コミュニケーションを軸としたリーダーシップを発揮したいという声が挙がりました。具体的には、「これからは個人のビジョンを積極的に共有していきたい」「メンバーに対して自分の悩みなども含めて、これまでより自分を開示していきたい」といった声があり、職場における対話機会の創出や、自身のキャリア観・働き方に関する考えの発信、1on1の場における相互理解の促進などが挙げられました。

また、常に強くあることだけを重視するのではなく、自身の悩みや課題を共有する姿勢を通じて、メンバーとの信頼関係を築こうとする意識も見られました。こうした行動は、中間課題への取り組みの中で、リーダーシップを一方向的に発揮するものではなく、関係性の中で発揮していくものとして捉えた体験に基づいています。

現在の立場におけるリーダーシップ発揮の具体化

管理職への昇進にかかわらず、現在の立場においてリーダーシップを発揮するという意識も多く見られました。具体的には、後輩への業務委任による育成機会の創出や、自ら責任ある役割に挑戦する姿勢、自己開示を通じた職場環境への働きかけなどが挙げられました。

「役職に就いたらこうしたい」ということではなく、全員発揮のリーダーシップは今からでも実践できるという学びに基づいています。日常の業務の中で主体的に関わる行動としてリーダーシップを捉える傾向が見られました。

また、こうした行動を継続していく中で、自身のありたい姿を具体化しようとする動きも見られました。研修での気付きを踏まえ、「自分はどのような関わり方をしていきたいのか」を意識しながら、日々の業務に取り組もうとする姿勢がうかがえました。

ダイバーシティに対する視点の拡張

女性活躍をテーマとした学びを起点としながらも、参加者の関心は次第により広いダイバーシティへと広がっていきました。異業種の参加者との対話を通じて、多様な背景や価値観に触れる中で、「特定の属性に限らず、それぞれの強みや徳性を生かして働くこと」が重要であるという認識が深まったのです。

また、こうした気付きを自分の中にとどめるのではなく、職場にも還元していきたいという意識も生まれています。実際に、自社での実践につなげようとする姿勢も見られました。

まとめ

本研修は、大手企業が連携し、女性活躍の推進を目的として継続的に実施されている異業種交流型の取り組みです。参加企業はそれぞれ異なる組織背景を持ちながらも、女性活躍の推進に向けた取り組みを進める中で、女性が自信を持ち、自分らしさを生かしたリーダーシップを発揮できる環境づくりを目指しています。

プログラムの特徴である異業種交流という環境は、リーダーシップに対する固定的なイメージや思い込みを見直し、参加者自身の強みや徳性を捉え直す機会となりました。さらに、中間課題における協働を通じて、リーダーシップは特定の個人が担うものではなく、チームの中で多様に発揮されるものであるという理解が深まっています。また、他社との比較を通じて自社の特徴や価値を再認識するなど、自社へのエンゲージメントが高まる姿も見られました。さらに、研修後も継続するネットワークが形成されるなど、学びは個人の意識変容にとどまらず、その後の行動や関係性にも広がりを見せています。

こうした一連の経験を通じて、参加者一人ひとりが自分らしいリーダーシップのあり方を見いだし、それを自らの職場で実践していくための土台が築かれています。こうした取り組みは、これからの組織におけるリーダーシップ開発の一つの有効なアプローチを示しているといえます。

 


関連ソリューション

【女性活躍推進】リーダーシップ開発プログラム

職場で自分らしいリーダーシップを発揮して活躍していく方法を模索します。ダイバーシティ&インクルージョンの浸透に向けた取り組みの中でも、特に女性のリーダーシップ開発を目的としています。

公開講座:WLP(女性リーダーシップ開発プログラム)

多様性を生かすリーダーシップを学び、実践活動を通じて経験の幅を広げます。参加者同士で葛藤を乗り越える体験と上司の支援により、リーダーとしての自信を深めます。

関連記事(コラム)

リーダーシップへの思い込みから自由になる
「異業種×女性限定」の学びの場|異業種女性リーダー研修

女性リーダーの活躍が進まない背景には、無意識の思い込みや機会の偏りといった課題があります。異業種×女性限定の環境を通じた気付きと成長のプロセスをご紹介します。