新入社員の接し方|主体性を引き出す関わり方のポイントとNG例

新入社員との接し方においては、「任せる」だけでなく、安心して挑戦できる関係性や環境づくりが重要です。

本記事では、ビジネスコンサルタントのアンケート結果をもとに、新入社員の主体性を引き出す接し方の土台から、場面ごとの具体的な接し方、現場で起こりがちなNG例までを整理しました。任せ方やフィードバック、見守り方など、日々の関わりの中で迷いやすいポイントを体系的に理解することで、再現性のある育成につなげることができます。

目次
    伊藤 直子

    伊藤 直子

    総合製紙メーカーと不動産デベロッパーでの勤務を経て、2019年にBConへ入社しました。
    WEBマーケティングに携わって5年目となり、現在は自社のサービスや取り組みをより多くの方に知ってもらうための事例記事の制作に力を注いでいます。日々、読者の皆さまに伝わる言葉を模索しながら、発信を続けています。

    「新入社員との接し方がわからない」

    人材の獲得が難しくなっている昨今、せっかく入社した新入社員をやめさせてはならないという思いから、新入社員との接し方に悩む上司・先輩社員が増えています。人事のご担当からは「管理職や先輩社員が新入社員との接し方に戸惑い、十分な指導をできていない」「新入社員、若手社員が失敗を恐れる傾向が高くなっている。どんな接し方をしたら、主体性を引き出せるのだろうか」といった課題をお聞きします。

    近年は価値観や働き方も多様化しており、「これさえやれば正解」という接し方が存在しないのも難しいところです。何気ない声かけや接し方の違いによって、新入社員が「安心して挑戦できるか」「萎縮してしまうか」が大きく変わります。

    新入社員が組織に定着し、主体性を発揮して活躍するためには、本人の努力だけではなく、接し方や関係性のあり方が大きく影響します。では、どのような接し方が主体性を引き出すのでしょうか。まずはその背景となる考え方から整理していきます。

    新入社員の傾向から見える、求められる接し方

    主体性とは、本人が安心して考えや意見を表現できる状態があって初めて生まれるものです。そのため、主体性を引き出すには、心理的安全性を土台とした関係性づくりが欠かせません。

    新入社員がどのように働きたいと思っているか?
    ビジネスコンサルタントの新入社員アンケートから言えること

    ビジネスコンサルタントが2025年に実施した新入社員を対象としたアンケート結果によると、2025年入社の新入社員には、大きく以下のような傾向がみられました。

    • 自分がこの組織で成長していくことへの高い期待感
    • 実務的・心理的な支援への高い期待
    • ミスを恐れず挑戦することを推奨してほしい
    • 上司が話しかけやすく、個性を認めるかかわりをすることへの高い期待
    • 自ら先回りして行動することへの自信は高いといは言えず、ばらつきがある

    2025年度新入社員アンケートの詳細はこちらから
    https://www.bcon.jp/news/2025_newcomer_report/

    この結果から、新入社員が目指しているのは、単に業務をこなせる状態ではなく、上司・先輩にフォローをしてもらう場合でも、「自ら挑戦し、成長を実現する状態」であるといえます。

    ただし、先を見通して自ら積極的に情報を取りに行く、指導をお願いするといった行動には不安を抱いています。 こうした傾向を踏まえると、新入社員が入社時に抱いている成長への期待、挑戦への前向きさを日々の業務において引き出し、主体的な行動に結びつけるためには、上司・先輩社員による指導や支援といった日々の接し方が重要になると考えられます。

    大切なのは個人を尊重しながら関わること

    新入社員は、会社で活躍したいという意欲をもって入社しています。一方で、初めての環境に対する不安も同時に抱えているケースが少なくありません。

    だからこそ、まずは個人を理解しようとする姿勢をもち、その人に合ったコミュニケーションを通じて、安心して関われる関係性を築くことが重要です。安心して話せる環境があることで、新入社員は自分の考えや悩みを言語化しやすくなっていきます。

    主体性を引き出すには接し方が重要

    アンケート結果から見えてきたのは、新入社員が目指しているのは、単に業務をこなせる状態ではなく、「状況に応じて自ら考え、周囲と協働しながら行動できる状態」であるという点です。こうした姿の実現に向けては、「どのように関わるか」が重要になります。主体性は、単に任せることで発揮されるものではなく、関係性や関わり方のあり方によって大きく左右されるためです。

    そのため、新入社員との接し方においては、「正解を教えること」だけでなく、本人が自ら考え、試行錯誤できる余地を残すことが大切です。

    また、安心して挑戦できる環境があってこそ、新入社員は自分の考えを表現し、行動に移すことができます。こうした土台があることで、「任せること」と「支えること」が機能し、主体的な行動が引き出されていきます。

    新入社員の主体性を引き出す効果的な接し方

    心理的安全性を高めながら主体的な行動を引き出す接し方を、場面ごとにご紹介します。

    1.【会話をするとき】
     話しかけやすい雰囲気と傾聴の姿勢

    新入社員との会話では、まず気軽に話しかけやすい雰囲気をつくることが重要です。日頃から声をかけやすい関係性があることで、新入社員は安心して自分の考えや悩みを伝えやすくなります。新入社員から話しかけられることを待つだけでなく、「わからないことはないですか?」「今何か気になることは?」などの声掛けをしましょう。
    そのうえで、相手の話を最後まで聴く姿勢が求められます。途中で結論を急いだり評価したりするのではなく、「どう考えたのか」「なぜそう感じたのか」に関心を向けることで、より深い対話が生まれます。傾聴の姿勢で関わることで、新入社員は自らの考えを分かりやすく伝える練習を重ねることができ、よりコミュニケーションが取りやすくなります。

    2.【仕事を依頼するとき】
         「一緒に仕事を進める」という伴走の姿勢で横に並ぶ

    仕事を依頼する際は、「任せる」だけでなく「一緒に進める」という姿勢を示すことが大切です。最初のうちは段階的かつ具体的に、仕事の進め方を明示し、期待される成果が何か、方向性や考え方をすり合わせながら伴走することで、新入社員は安心して取り組むことができます。最初は支援を厚くし、徐々に任せていくことで主体性が育まれます。

    3.【ミスをしたとき】
        できている部分に目を向けながら、次なる課題を考えてもらう

    ミスが起きた時こそ、学習の機会として一緒に振り返ることが重要です。「なぜそうなったのか」を表面的に捉えて終わってしまわないよう、「どのタイミングでどのような判断、行動をしたのか」「それがどのように結果に影響したのか」など具体的に振り返るよう促します。
    その際、できていない点だけでなく、できていることにも目を向けましょう。「次はどうすればよいか」を考え、上司・先輩としてどのような支援やアドバイスができるかという姿勢が重要です。

    4.【褒めるとき】
       「結果」だけでなく「過程」まで称賛する

    成果だけでなく、そこに至るまでの工夫や取り組みの過程に目を向けて称賛することが大切です。 「この資料、〇〇の点がいいと思います。どういう考えで作成をしたのですか?」などと、良い点を具体的に述べるとともに、新入社員がそのような行動を選択した理由を質問し、本人の振り返りを促すことで、再現性のある行動につながりやすくなります。結果だけを評価するよりも、挑戦する姿勢を後押しすることができます。

    5.【成長させたいとき】
         過干渉せず、孤立もさせない「適度な見守り」をする

    新入社員が特定の業務に慣れ成長を促すタイミングが来たと感じたら、細かく指示しすぎず、かといって放置もしない、成長を促すための「適度な距離感」が重要です。困ったときに相談できる状態を保ちながら、自分で考えて動く機会を確保することが求められます。見守りと支援のバランスが、主体的な成長を引き出します。

    ここまでの接し方は、新入社員の主体性を引き出すためのポイントです。一方で、接し方を誤ると、その成長を妨げてしまうこともあります。

    新入社員の主体性を下げるNGな接し方

    新入社員は、挑戦や成長の意欲を持って入社してきます。その意欲を損なわないためには、日々の接し方が何より重要です。

    ここでは、「計画(P)→実行(D)→振り返り(C)→改善(A)」という基本的な仕事のサイクルにそって、現場で起こりがちな「良かれと思って行ってしまいがちなNGな接し方」と、その背景について解説します。

    新入社員の主体性を下げるNGな接し方

    「自分で考えて」と仕事を丸投げする

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    主体性を育てたいという意図であっても、前提知識や判断基準がない状態で「自分で考えて」と任せてしまうと、新入社員は何をどう考えればよいのか分からず、行動が止まってしまいます。

    本来、仕事は「計画する(P)→実行する(D)」というプロセスを通じて進んでいきますが、

     

    新入社員はまだこの進め方自体を学習している段階です。そのため、 考えるための視点進め方の型 が示されないまま任せられると、適切に行動することが難しくなります。

    最初は「どのように考えればよいか」「どのような手順で進めるか」といった枠組みを示しながら伴走し、徐々に任せる範囲を広げていくことが大切です。主体性は、丸投げによってではなく、適切な支援のもとで育まれていきます。

    失敗させないように仕事を取り上げてしまう

    ミスを防ごうとするあまり、業務を途中で引き取ってしまうと、新入社員は経験を積む機会を失ってしまいます。その結果、「任せてもらえない」という受け止めにつながり、成長意欲が低下することもあります。

    「自分で考えて」と丸投げする関わりが進め方(P・D)の支援不足につながるのに対し、 仕事を取り上げてしまう関わりは、 やり切った後の 振り返り(C)や改善(A)の機会を奪ってしまいます 。本来、うまくいかなかった経験こそが、「なぜそうなったのか」「次はどうすればよいのか」を考える学びの機会になります。

    そのため、小さな失敗は成長のプロセスと捉え、最後までやり切らせたうえで振り返りを支援することが大切です。任せることと、その後の内省を支えることをセットで行うことで、新入社員は次の行動につながる学びを得ることができます。

    フィードバックをしない

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    新入社員に対してフィードバックがない状態は、「何が良くて、何を変えるべきなのか分からない」という不安を生み、行動の改善や成長の機会を失わせてしまいます。

    フィードバックは、PDCAにおける振り返り(C)と改善(A)を支える重要な関わりです。特に新入社員の段階では、「どのような観点で振り返ればよいのか」自体がまだ十分に身についていません。

    そのため、適切なフィードバックを通じて、振り返りの視点を提供することが重要になります。

    フィードバックとは、 相手を評価するためのものではなく、相手の行動が周囲にどのような影響を与えているのかを伝え、次の行動を考えるきっかけを提供する“援助的なコミュニケーション” です。

    例えば、「良かった/悪かった」と抽象的に伝えるのではなく、「あの場面で○○と発言してくれたことで、議論が前に進んだ」といったように、具体的な行動とその影響を結びつけて伝えることが重要です。これは、自身の行動を振り返る(C)視点を提供することにつながります。

    さらに、「次はどのようにすればより良くなるか」を一緒に考えることで、改善(A)につなげることができます。

    また、フィードバックはタイミングや伝え方によって、その効果が大きく左右されます。行動から時間が経過すると振り返りが曖昧になり、逆に一方的な伝え方では相手の内省を促すことができません。適切なタイミングで、相手が受け止められる形で伝えることが、行動の見直しや変化につながります。

    そのため、フィードバックは一方的に伝えるのではなく、「相手の成長を支援する」という意図で関わることが求められます。

    組織全体で新入社員への接し方を改善するための施策

    新入社員と接するのは教育担当者だけではありません。 現場では、上司や先輩、周囲のメンバーなど、さまざまな人が関わる中で育成が進んでいきます。だからこそ、「自分なりにやっているけれど、これでいいのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。新入社員の安心感や成長は、こうした日々の関わりの積み重ねによって大きく左右されます。そのため、個々の経験や感覚に任せるだけでなく、組織全体として接し方の方向性をそろえていくことが重要です。

    ここでは、新入社員が安心して成長できる環境を整えるために、企業として取り組みたいポイントをご紹介します。

    接し方のガイドラインを作成する

    新入社員との接し方は、担当者や現場ごとに任せきりにするのではなく、組織として一定の方向性をそろえることが重要です。接し方にばらつきがあると、新入社員は戸惑いや不安を感じやすく、安心して挑戦できる環境が損なわれてしまう可能性があります。

    そのため、「どのような姿勢で関わるのか」「どのようなコミュニケーションを大切にするのか」といった基本方針をガイドラインとして言語化し、組織内で共有することが有効です。例えば、「まずは傾聴する」「行動と影響を具体的にフィードバックする」といったポイントを明確にすることで、誰が関わっても一定の質が担保される状態をつくることができます。

    ガイドラインは細かくルール化しすぎるのではなく、現場で活用しやすいシンプルな指針としてまとめることがポイントです。共通の土台を持ちながら、それぞれの現場で柔軟に実践されることで、新入社員にとって一貫性のある安心できる環境が実現されていきます。

    社員研修で体系的に学習し、接し方の質を高める

    新入社員との接し方は、個人の経験や感覚に委ねるだけでは、どうしてもばらつきが生まれてしまいます。実際の現場では、「指導の仕方が分からない」「担当者によって接し方に差がある」といった課題も多く見られます。特に重要なのが、配属後のOJTにおける日常の関わりです。新入社員の成長や定着は、この日々の関わりの質に大きく左右されるため、OJT担当者が適切な接し方を理解し、 実践できる状態をつくることが欠かせません。

    そのためには、OJTを「現場任せの育成」ではなく、体系的に学ぶ機会を設けることが有効です。例えば、OJT担当者に求められる役割は、単なる業務指導にとどまらず、「成長支援(内省の促進)」や「精神支援(安心感の醸成)」まで含まれます。こうした複合的な役割を理解し、実践的に学ぶことで、関わりの質は大きく向上していきます。

    ビジネスコンサルタントでは、こうしたOJTトレーナーの役割理解から、相手に応じた指導方法、フィードバックの実践までを、講義とロールプレイングを通じて学ぶプログラムを提供しています。
    OJTリーダー育成研修(公開講座) などを通じて、現場での再現性を高めることが可能です。

    このように、OJTを体系的に学び、現場で実践できる状態をつくることが、新入社員の成長を支えるだけでなく、組織全体の育成力向上にもつながっていきます。

    AIコーチングを活用する~接点自体を増やす~

    近年は、AIコーチングを活用して新入社員の振り返りを支援する取り組みも広がっています。例えば、Reflect(リフレクト)のようなツールでは、日々の業務内容を入力することで、AIが即時に問いかけやフィードバックを行い、内省を深めることができます。

    従来のように日々の業務を振り返って記録する日報は、「書くこと」へのハードルや、忙しい上司からの反応が得られないといった課題がありました。AIを活用することで、気軽に入力でき、即時に反応が得られる環境が実現されます。また、質問設計が工夫されているため、振り返りに慣れていない新入社員でも自然に思考を深めることが可能です。

    さらに、振り返り内容は上司や先輩とも共有されるため、新入社員の状態や考えをタイムリーに把握でき、適切な関わりにつなげることができます。AIを活用することで接点そのものが増え、本人と周囲の双方にとって学びが加速する環境をつくることが可能です。

    まとめ

    新入社員との接し方に「これさえやれば正解」というものはありません。しかし、本コラムでご紹介したように、「個人を理解すること」「安心して挑戦できる関係性を築くこと」といったポイントを押さえることで、新入社員の主体性を引き出し、成長を後押しすることができます。

    特に重要なのは、日々の何気ない関わりの積み重ねです。ちょっとした声かけやフィードバックの仕方、任せ方ひとつで、新入社員が「挑戦しよう」と思えるかどうかが変わってきます。目の前の一人ひとりと向き合い、その人なりの成長を支援していく姿勢が、信頼関係の構築につながります。 また、新入社員の育成は、現場の工夫だけでなく、組織としての取り組み方によっても大きく変わります。ガイドラインの整備やOJTのあり方の見直し、AIの活用など、接し方を支える方法は一つではありません。自社の状況に合わせて、さまざまな手段を組み合わせていくことが求められます。

    新入社員が安心して挑戦し、成長していく環境を整えることは、将来の組織の力を高めることにもつながります。自社に合った接し方を模索しながら、できることから取り組むことが大切です。

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    ※本コラムページには、株式会社ビジネスコンサルタントと株式会社ビジネスリサーチラボによる共同著作物を含みます。