アサーティブコミュニケーション研修

アサーティブコミュニケーションとは「相手の気持ちを尊重しながら、自分の考えを伝えるコミュニケーション」です。良好な人間関係を構築するとともに、一人ひとりの自己肯定感向上や、ストレスの軽減、さらには生産性の向上にもつながります。

本プログラムでは、アサーティブコミュニケーションの基礎的な理論から具体的なスキルまでを効率的に学ぶことができます。職場の要となる中堅社員やリーダーの育成施策としてはもちろん、成長が期待される若手社員の育成、エンゲージメントの高い職場づくりにも活用できます。

対象者

  • リーダー
  • 中堅社員
  • 若手社員

主なねらい

自己表現力を高める

率直かつ適切なコミュニケーション手法を身につけるためのトレーニングを行います。
自分の意見を示したり感情を伝えたりすることに課題を感じている社員も、自信を持って明確に表現できるようになり、職場での存在感を高め信頼を築くきっかけを得ることができます。

信頼と尊重に基づく対話を職場に生み出す

感情を抑え過ぎたり、一方的に主張したりするのではなく、安心して発言し合える関係を築くことで、信頼と尊重に基づく対話が可能になります。
良好な人間関係を築き、相互理解を深める土壌を育む手法を学びます。

ストレスを減らし、パフォーマンスを高める

心理的ストレスや不健全な人間関係を軽減することは、持続可能な職場環境の構築や若手社員の定着を促すうえでも重要です。
アサーティブコミュニケーションの実践により、適切な距離感が保たれ、互いに尊重し合える関係性を築くことができます。その結果、安心して働ける職場環境がつくられ、業務パフォーマンスの向上にもつながります。

プログラム概要

効率的にスキルを習得できる、凝縮されたプログラム

アサーティブコミュニケーションについての基礎的な理解を促す講義、体験的な学びと実践的なトレーニング、そして職場での実践に向けた具体策の検討など、凝縮されたプログラムで効率的にスキルを習得します。

「アサーティブ(Assertive)」は「はっきりと自己主張する」といった意味とニュアンスを持ちますが、アサーティブコミュニケーションとは一方的に主張したり、意見を戦わせたりすることではありません。相手の立場や感情を尊重しながらも、自分の意見や思いを率直かつ誠実に伝えるコミュニケーションのあり方です。

アサーティブコミュニケーションの実践がもたらす効果

  • 相手に自分の意図を明確に伝えることができ、不要な誤解や摩擦を防ぎます。
  • 透明性が高まり、信頼につながります。
  • 自分の意見を述べつつ、相手の立場や感情を尊重しながら関わるため、人間関係を円滑にします。

アサーティブコミュニケーションのスキルは、上司と部下のやりとりやチーム内の連携、他部署や社外との調整といったさまざまなシーンで、立場や利害が異なる相手とコミュニケーションを取る際に活用できます。

職場の活性化と個人のパフォーマンス向上を図るために、論理的なコミュニケーションの基盤となる「ロジカルシンキング」などと併せて、ぜひ身につけておきたいスキルです。

主な内容

基本となる概念を講義で学び、ロールプレーイングやグループワークを通じてスキルを高めます。さらに職場での実践に向けた具体策の検討を行うことで、アサーティブコミュニケーションを体系的に習得します。理論とスキルの両方を身につけ、職場で活用できる状態を目指します。

  1. アサーティブコミュニケーションと「4つのコミュニケーションスタイル」について理解する
  2. 「アサーション自己チェック」で、自分自身の現状を客観的に把握する
  3. 「よい聴き手」になるためのポイントを理解し、傾聴スキルを学ぶ
  4. アサーティブコミュニケーションの「5つのステップ」を理解し実践する
  5. グループでのロールプレーイングを行い、相互フィードバックで実践力を高める

「4つのコミュニケーションスタイル」とは

コミュニケーションは、主に4つのスタイルに分けられます。

  • 開放的……自分の気持ちや考えを正直に、率直に表現し、また相手が自分の気持ちや考えを自由に表現することも受け入れようとするスタイル
  • 攻撃的……自分の主張はハッキリ伝える一方、相手の言い分や気持ちを無視して、相手に自分の意見を押し付けるスタイル
  • 無関心的……「他人は他人、自分は自分」的なコミュニケーションスタイル
  • 受動的……自分の気持ちや考えを表現しなかったり、曖昧な表現をしたりするコミュニケーションスタイル

本研修プログラムでは「開放的」なコミュニケーションスタイルである、アサーティブコミュニケーションに焦点を当てています。

アサーティブコミュニケーションの「5つのステップ」とは

  1. ポジティブストロークから始める……最初に相手への感謝、相手の良いところを伝え、会話の雰囲気を和らげる。
  2. 事実を共有する……お互いの状況や実際に起きている事柄は何かを共有する。
  3. 自分の気持ちを伝える……事実に対して、自分がどのように感じているかを「アイメッセージ」(私は●●のように思います)で伝える。
  4. 具体的な提案を伝える……「●●をやめてほしい」や「●●をもっとしてほしい」「私はこうしたい」など、具体的な行動を提案する。
  5. 今後の予測を伝える……提案の内容を実行してもらえると、私の気持ちがどのように変化するかを伝える。(うれしい、助かる、成果が期待できる、あなたに対してこういう気持ちになる)

実施イメージ

1日版研修の実施イメージ

2つのステップで構成され、研修全体は9:00〜17:00で実施します。
テーマごとに講義と実習を組み合わせて取り組み、それぞれ60〜90分で行われます。

アサーティブコミュニケーションの考え方と手法の理解
  • アサーティブコミュニケーションについて
    ◉ 講義
    コミュニケーションのあり方を4つに分けて理解し、アサーティブ・コミュニケーションの考え方と重要性を学びます。

    【コミュニケーションの4つのスタイル】
    開放的(アサーティブコミュニケーション)/攻撃的(自己中心のコミュニケーション)/無関心(無関心なコミュニケーション)/受動的(他者中心のコミュニケーション)

    ◉ 実習
    アサーティブコミュニケーション自己チェック
    受講者自身のアサーティブ・コミュニケーションの実践度合いを、診断ツールを活用してチェックします。
  • お互いのコミュニケーション上の課題共有

    ◉ 実習
    コミュニケーション上の課題共有
    「課題検討ワークシート」を用いて、受講者それぞれが職務経験のなかで感じたコミュニケーション上の課題について検討します。その後、グループで情報共有を行います。

    ▹ 検討する課題例
    1. 他の社員や取引先の担当者に「言いにくいことを伝えなければならない」場面を振り返る
    2. その際に「うまくいった点」「うまくいかなかった点」を整理、把握する

    ※研修後半の実習ではこのシートで把握した課題をサンプルとして、アサーティブコミュニケーションを用いることでどのように改善できるかを体験的に学びます。
  • よい聴き手になるためのポイント

    ◉ 講義
    よい聴き手になるための5つのポイント
    アサーティブコミュニケーションを実現するうえで重要な要素である「よい聴き手になるための5つのポイント」を理解します。

    【よい聴き手になるための5つのポイント】
    1. 非言語のコミュニケーションがとれる
    2. 相手の話を遮らずに聴ける
    3. 相手の立場に立てる
    4. 結論を急がず一緒に考える
    5. あいづち・質問・確認

    ◉ 実習
    傾聴実習
    「傾聴の5つのレベル」を基に、2人1組で傾聴力を鍛える実習を行います。実習を通じて傾聴力の重要性を学習します。

    【傾聴の5つのレベル】
    レベル1「無視」/レベル2「否定」/レベル3「指導」/レベル4「興味・関心」/レベル5「心情理解」
アサーティブコミュニケーションの実践
  • アサーティブコミュニケーションのステップ

    ◉ 講義
    アサーティブコミュニケーションを実現するための、5つのステップについて学びます。

    ◉ 実習
    アサーティブコミュニケーションを行うためにSTEP1で作成した「課題検討ワークシート」で挙げた「うまくいかなかった点」を、講義で学んだ「5つのステップ」に照らして整理し、次の実習で使用する資料とします。
  • アサーティブコミュニケーション実習

    ◉ 実習
    これまでに学んだことや「課題検討ワークシート」から作成したシナリオを基にしたロールプレーイング実習を通じて、アサーティブコミュニケーションの実践的なトレーニングを行います。3人一組で、本人役・相手役(上司役)・観察者役を交代しながら実施し、本人役には毎回フィードバックを行います。
  • まとめ
    研修全体の振り返り

※ 複数日程での実施や、他の研修プログラムと組み合わせた人材育成プログラムの設計、ご提案も可能です。

よくある質問

ほかのコミュニケーション研修とは何が違いますか?

話し方や伝え方のテクニックを学ぶのではなく、相手を尊重しながら自己主張を行う。アサーティブ・コミュニケーションについて理解し、実践的に身につけることを目的としています。また講師によるサポートで、受講者の主体的・積極的な取り組みを促すプログラム設計も特徴の1つです。

1日のみの研修で、アサーティブコミュニケーションが身に付くでしょうか?

1日での集中的研修でも、「知識の習得」にとどまらず、体験的な実習や振り返りを通じて気付きや行動変容へつなげ、職場実践に向けて準備する内容となっています。研修での学びの成果を実際の業務ですぐに実践できるため、アサーティブコミュニケーションのスキルを定着させることができます。

またご要望に応じて研修後のフォロー研修や、「ロジカルシンキングプログラム」など他のプログラムとの組み合わせによる継続的な育成支援も可能です。

話すことが苦手な社員が、ロールプレーイングなどの実習を行えるか心配です。

研修は受講者の特性に配慮しながら進め、実習の際も講師が各グループの状況を観察し適宜サポートします。本研修プログラムは話し方や自己主張の技術を競うのではなく、他者との関係性を築きながら、自分の意見や気持ちを整理し適切に伝える方法を学ぶものです。個人による検討から少人数でのグループワークへと段階的に展開する構成となっているため、苦手意識がある方も安心して取り組むことができるよう設計されています。

階層別の研修ができますか?

若手社員向け、中堅社員・リーダー向けなど、それぞれの役割や課題に応じたカスタマイズが可能です。異なる階層の方々が受講される場合には、グループ分けやワークのテーマ設定により各受講者が効果的に学べる内容を提供します。組織と受講者の状況や目的に応じて、最適な研修をご提案いたします。

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