海外現地法人「人」と「組織」の変革

過去数十年間で現地スタッフを育成し、現地化を試みてきたと言うものの、実態は日本人駐在員が日常業務まで入り込んでいるという企業が少なくありません。
結果、現地スタッフの自主性は衰え、成長や活性化、変革の機会を失ってきたという状況があります。
この状況を打破するために必要なことは、日本人と現地スタッフが協働して組織運営を変えていく取り組みです。

目次

    海外現地法人の人材を育たないのは、マネジメントスタイルの問題?!

    海外の現地法人のトップとお話すると

    • 将来に向けた事業の種まき(夢のあるビジョン)ができていない
    • 現地スタッフに経営やマネジメントを任せたいが、任せられる人が育っていない
    • 幹部を育成するための海外人材のアセスメントをしたい

    というお悩みをよくお聞きします。

    上記のような経営者・事業管理者の皆様のニーズや現地トップのお悩みの背景には、これまでの日本企業のグローバル進出のマネジメントスタイルが大きく影響しているように感じます。つまり「考えるのは日本人」「指示通り仕事するのが現地スタッフ」というマネジメントです。

    過去数十年間で現地スタッフを育成し、現地化を試みてきたと言うものの、実態は日本人駐在員が日常業務まで入り込んでいるという企業が少なくありません。結果、現地スタッフの自主性は衰え、成長や活性化、変革の機会を失ってきたという状況があります。

    この状況を打破するために必要なことは、日本人と現地スタッフが協働して組織運営を変えていく取り組みです。現地スタッフを幹部登用していくためには、対象となる方々を教育することはもちろん重要です。しかし同時に、日本人幹部のマネジメントに対する考え方と行動を改め、日常の業務の進め方を変えない限り、組織活性化や組織変革、自律して学習・成長する組織文化を根付かせることはできません。仕事の進め方や、評価制度の運用、部下育成のあり方、日々のコミュニケーションの仕方など、日本人幹部が現地スタッフの行動に大きな影響を与えている局面は数多く存在するのです。

    親会社幹部と現地法人の日本人・現地スタッフ、そしてBCon®コンサルタントが一丸となって、上記のような課題に取り組むことで、日本人と現地スタッフが学習・成長し、結果、組織文化が変革していく取り組みがいま注目されています。

    弊社は、東南アジア・東アジア各国で日本人コンサルタントと現地のコンサルタントがタッグを組み活動しています。

    タイのバンコクにBCon® SEA(東南アジア地域統括会社)を設立し、東南アジア~東アジア一帯の組織に対して、「人」と「組織」に関わる弊社のノウハウやテクノロジーを、現地のコンサルタントが各国の言語で提供できるようになりました。

    テーマ【1】新しい価値を生みだす個人と組織文化への変革

    今回は、ご要望が多い2つのテーマについて、ご紹介します。1つ目は、「新しい価値を生みだす個人と組織文化への変革」です。

    例えば、「中所得国の罠」にはまるタイを新たな成長に導こうとする政府の成長戦略、Thailand4.0。この戦略では、タイの産業を高付加価値産業へとシフトさせることが重要な課題として掲げられています。その中でも「イノベーション」というキーワードに対する熱量が高まっています。これまでのタイの経済は、外資製造業を誘致することによって成長してきたモデルであったため、自らの力で新たな価値を創出する機会を逸してきました。その自覚も高まっている中、高付加価値へのシフトするための新商品・新サービスの開発や、新規ビジネスの創出を指向する企業が多くなっています。

    しかしながら、これまでの歴史やマネジメントにより、新たな取り組みを受け入れ難い文化が醸成されてしまっている企業が多くあります。外資資本の企業は特に、駐在するトップからの指示待ち文化があり、「言われたことを言われた通りにする」という思考が強く根付いています。まずはこの思考から脱却すること、そして職場や組織が新たな取り組みを推奨する雰囲気・風土を醸成することが求められます。

    弊社の持つITS(イノベイティブ・シンキング・システム/Innovative Thinking System®)は、個々人のイノベーティブな能力開発を行うことに加え、組織が創発的であるためのシステムを提供することができます。

    また、このITSを活用したワークショップがタイのイノベーション庁で開催されたり、国立大学院大学の授業に導入されたりしていることから、そのノウハウが国内でも話題となり、問い合わせ件数が増えています。

    今回は、タイの例を挙げましたが、各国とも事情は似ています。生産拠点として設立した現地法人が、サービス、開発、マーケティングといった機能を持ち、成果を上げていこうと思うと、これまでの決められたことを決められたようにだけではなく、新しいこと違ったことにも着目し、取り入れていくことが求められます。まさにパラダイムチェンジ。弊社はそのお手伝いを、日本と現地をつなぎながら、きめ細かく取り組んでいます。

    テーマ【2】幹部登用のためのアセスントと育成

    各国の現地化を加速させる反面、ASEAN統括拠点では域内の統一した人材マネジメントシステムを運用して競争力を高めようとしています。しかし、その実態は各国の人材のスキル・経験を可視化できていないところも多くあります。その結果、各国の幹部登用も計画的になされず、サクセッションプランも作ることができていないケースも散見されます。現地化を加速させる中で、現地スタッフの幹部登用は避けては通れない課題です。

    しかし、幹部候補の現地スタッフは日常のマネジメント業務を現地語で行うため、それを日本人は把握することができないのです。

    そこで多くのお問い合わせがあるのが、BCon®のキャリアポテンシャル診断です。Webでの個人回答をベースに個々人のコンピテンシーを把握できる診断で、コスト・労力ともに抑えて実施することができます。診断結果は個人傾向と全体傾向に分かれるため、自社の域内人材マップがどのような現状なのかを把握することができます。診断結果を今後のあるべき人材像策定に活用したり、適切な教育体系の構築に活用することができます。

    さらに本格的になると、管理職登用などでも行われている、アセスメント研修を実施するケースが多くなります。アセスメントは各国のネイティブのコンサルタントがおこない、対象者の意思決定・言動など細かな部分まで実力を把握することができると同時に、レポートを現地語/日本語で提供できることから、特に各国拠点の横串を通した人材評価をすることができる点を評価いただいています。

    また、このようなケースで求められるのは、「査定型」のアセスメントではなく、「育成型」のアセスメントです。特定のポストへの登用の可否を査定するためだけのアセスメントではなく、今後数年間の中でどのような機会を提供すれば、強みを強化し弱みを克服できるのかをフィードバックするためのアセスメントです。

    数ある能力の中でも、啓発できるコンピテンシーに焦点を置いてアセスメントをすることで、その後の能力開発計画も建設的に設計することができるようになります。

    幹部候補人材を選抜したら、いよいよ幹部育成です。人材育成は一朝一夕にはできません。特に幹部育成は、現地経営者と親会社が本気になって取り組み始めないと、いつまでたっても日本人駐在員に依存する組織運営が変わることはないように感じます。本腰を入れて2~3年の時間が必要です。

    弊社に依頼いただくケースで最も多いのは、選抜(場合によってはアセスメント)から始まって、幹部候補研修を年間を通じて実施し、同時にその幹部候補研修メンバーを職場で育成する立場にある現幹部(主に日本人)のマネジメント・人材育成スキルを強化する研修も合わせて実施し、幹部候補研修の場だけでなく、職場での現幹部によるOJTも連携して進めていく方法です。

    研修で学んだことを、職場での実践を通じてやってみて、それを踏まえて上司と振り返り、またその経験から学びを積み上げていく。単なる研修だけでは人は育ちません。特に影響力のある職場の上司(主に日本人)と一緒になってプログラムを進めていくことが大切だと実感しています。

    BCon、イノベイティブ・シンキング・システム/Innovative Thinking Systemは、株式会社ビジネスコンサルタントの登録商標です

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