COVID-19が起こす変化、私たちが起こすべき変化とは?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大にともなって、働き方が大きく変わった方も多いのではないでしょうか。
筆者も仕事環境の変化に馴染んできたところですが、コミュニケーションツールの多様化に慣れるにはまだ時間がかかりそうです。新型コロナ終息後も、コミュニケーションの変化は続き、働き方やビジネス自体が変化してしまうことが予想されます。
パンデミックの後には、社会のパラダイムが変わると言われています。これからどのような変化が起こり、あるいは起こしていく必要があるのでしょうか。
(初出:BCon Info 2020年4月号)

目次

    社会やビジネスは、どう変化するだろうか?

    在宅勤務も2週間を超えてくると、かなり自分なりの工夫が出来るようになってきました。
    仕事に集中する時間と、少し身体を動かす時間を分けると、身体が少し楽になり、また集中力も高まります。オンラインで飲み会を企画して、ゆったり雑談をする時間を取ることもリフレッシュに繋がりますね。

    仕事環境の変化に馴染んできた一方で、まだ慣れない変化も存在します。例えば、コミュニケーションのツールが多様化したことです。今までは口頭とメールでやり取りしていたことが、LINEやFacebook Messenger、WhatsAppやSlackなど様々なツールでやり取りすることが増えました。PCを見ながら、携帯を見ながら・・・コミュニケーションが1つのデバイスでできていた時から比べると、私にとっては煩雑になったように感じてしまいます。

    しかし新型コロナ終息後もコミュニケーションの変化は続くと思います。メールよりもクイックにやり取りができるコミュニケーションツールが普通に使われることになるでしょう。このように働き方やビジネス自体が変化してしまうことが予想されます。

    パンデミックの後には、社会のパラダイムが変わると言われています。今あらためてカミュ著『ペスト』(新潮社 1969)が読み直されていますが、1918年のスペイン風邪は第一次大戦を終結させるほどの影響がありました。

    これからどのような変化が起こり、あるいは起こしていく必要があるのでしょうか。今回は、新型コロナウィルス感染症によって変わるであろう、これからの社会やビジネスについて個人的に考えることを書いてみたいと思います。

    変化の兆しその1:企業と地球のサステイナビリティ

    今回のようなパンデミックが再び発生してもビジネスが継続できるようにと、多くの企業では、事業継続計画を練り直しているところではないでしょうか。

    弊社もオンライン講座を開催するなど、さまざまな工夫をしているところです。こういった目の前の問題解決も生き残るためにとても大切なことです。

    一方で今こそ考える必要があるのは、私たちがどのような未来を選択するかということです。つまり何が今の状況を引き起こしたのか、根本原因に目を向け、みんなでどのようにアプローチをするか模索していくときです。「新型コロナウイルスのせいで・・・」と言っている限りは、対処療法でしか対策を考えることはできません。

    COVID-19のように、ウイルスが宿主を殺してしまうほどの猛威を振るう理由はさまざま考えられるでしょうが、科学的には地球環境の変化が1つの要因として挙げられています。

    例えば、地球上の生物多様性がどんどん失われていますが、それがどのように影響するのでしょうか。実は生物多様性は環境変化に対する緩衝・調節機能を持っているのです。多様性が十分に保たれている環境では、一つの病気が簡単には拡散しないと言われています。開発の進んだ都市や街では風が吹くたびに塵とともに病原体が舞い上がりますが、森林では湿った土壌に捕まります。そこでは多くの微生物が住んでおり、病原体はすぐに多くの微生物との競争・共生関係にはいります。植物の多様性の程度が微生物の多様性に影響を与え、ウイルスも含めた複雑系として働きます。

    ※複雑系…多くの要素からなって、部分が全体に、全体が部分に影響しあい複雑にふるまう系。

    これは1つの例にすぎません。COVID-19はこれまで先送りにしてきた課題を顕在化させています。この数年でプラスティック問題に関しては「レジ袋の有料化」などで身近に感じる方が増えてきたのですが、これも局所的な問題にすぎません。いま一度、地球全体がどのように成り立っているのか、私たち人類が、どれほどに長い年月をかけて育まれた地球や生態系からの恩恵を受けているのかを再確認するときです。

    そして、これから地球が持続し、人類や社会が持続し、そして企業が持続するために私たちの暮らし方、企業としての在り方においてどんな選択をすべきかゆっくり考え、舵をきりなおすべきタイミングではないでしょうか。

    世界的には経済は一時不況に陥るでしょうが、企業はますますサステイナビリティを経営戦略に取り入れ、パーパス駆動型の経営が加速するように感じます。

    ※パーパス駆動型…パーパスとは「社会における存在意義」ともいわれ、経済価値だけでなく社会価値の追求を定義するものです。企業においてはビジョン、ミッション、戦略だけでなくパーパスが必要とされ、このパーパスを企業と共に追求する先によい未来が待っているという感覚を社員に与え、働く動機となります。

    変化の兆しその2:“信頼”の新しい積み重ね方

    直接会ったことのない人に、どこまでの仕事をあなたは依頼することが出来ますか?
    今は、クラウドソーシングを活用したことがある方も多いかもしれません。それでも私は10万円未満の仕事しか頼んだことがありません。そして、その出来栄えに少なからず不満をもった経験があります。今考えると、業務そのものの難易度を正確に把握できていなかったり、指示の仕方に問題があったのかなと感じます。

    現在は、オンラインでのミーティングが当たり前になってきています。リモートで会うことには大きなメリットがありますね。移動時間が無くなり、時間効率がかなり良くなるだけではなく、交通費もかからないのです。

    仕事の依頼は信頼関係あってのものですが、オンラインで信頼は築けるのでしょうか。

    レイチェル・ボッツマン著『TRUST 世界最先端の企業はいかに<信頼>を攻略したか』(日経BP社 2018)では、デジタル時代には信頼の形が大きく変化しており、今はその過渡期だと主張しています。

    分かりやすい例として紹介されているのは、アリババ社が中国においてeコマースを普及させるうえでとった戦略です。中国では人脈やコネが商取引のベースだったところを「エスクロー」という商取引の際に信頼の置ける第三者を仲介させて、取引の安全を担保する第三者預託を取り入れた、決済サービス(アリペイ)を生み出し、売り手の信用度を「トラストパス認証」を設けて、差別化することで信頼を構築していきました。

    新型コロナ終息後に向けて、ますますテクノロジーの進化は加速しています。まだブロックチェーンの信頼性は担保されているとは言えませんが、こういった技術を使って企業や個人の信頼をはかることが出来るようになる未来はそう遠くはありません。これまでのような人と人による信頼の蓄積は変わらないでしょうが、新しい信頼の形についても考えておく必要があるのかもしれません。

    変化の兆しその3:オフィス2.0

    多くの会社で2020年の入社式がなくなりました。新入社員の配属が決まっても実際の配属先にはまだ行っていないという会社も多いのではないでしょうか。
    新入社員を育成するプロセスもリモートになり、OJTスキルを獲得するのもオンラインになっています。

    そして、在宅勤務を約3週間続けている私は、すでに東京方面へ向かう非人間的な、幸せとは程遠い満員電車には耐えられないと強く思います。多くの方がそう思いはじめているのではないでしょうか。満員電車に乗っているだけで、インフルエンザなど何らかのウイルスに感染するリスクは高いのですから。

    今後はリモートで働くことや在宅で働くことは当たり前になるのではないでしょうか。そうなると、採用の条件もリモートワークを前提にしたものに変わってくるでしょう。そして、今あるオフィスの役割も変わってくるでしょう。坪単価が高い都心の一等地にオフィスがあることの意味は何でしょうか?

    オフィスに来るからこそ得られる価値がなければ出社する意味がないのです。オフィスはますます、通常業務をこなすための場所ではなく、在宅では得られないセレンディピティを期待したり、クリエイティビティが触発されるから集まる場になるのではないでしょうか。

    そうなると、オフィスのレイアウトやファシリティをそれを目的としたものに作り変える必要があります。今はまさに次のオフィスの在り方を考えるタイミングではないでしょうか。

    今回は、私が気になる変化の予兆について書いてみました。何かの参考になれば幸いです。

    次回からは、弊社がお世話になっている海外の学者や実践家からのメッセージをお届けします。

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