新入社員研修導入事例:15年以上続く“主体性”を育む3日間

数多くのスポーツ・アウトドアブランドを展開する株式会社ゴールドウイン。同社が実施する新入社員研修について、ビジネスコンサルタント(BCon®)は15年以上にわたって支援してきました。
本記事では同社の新人育成に対する想いと、その実現に向けてBCon®が伴走し、新入社員の定着とプロ意識の醸成を図る研修プログラムについてご紹介します。
背景:新入社員の「プロ意識」を引き出す導入研修
入社前後に実施される新入社員向けの導入研修では、学生から社会人への意識転換を進め、業務に関する基礎的知識とビジネスマナー習得が図られます。こうした研修は、社会人としての基礎力を養うことで環境の変化や業務に対する新入社員の不安を軽減しつつ、成長を実感する機会を与えるための施策ともなっています。
ゴールドウインの導入研修においては、さらに3つの視点を新入社員が啓発できることをねらいとしています。
・現場の先輩や上司から“可愛がられる”存在になる……組織の一員として、受け入れられ、成長する姿勢を養う。報連相を徹底し、分からないことは素直に質問できるといった、社会人としての基礎を確実に身につけ、実践する姿勢を持つ。
・社会の荒波を乗り越えるレジリエンスを身につける……業務内でうまくいかないことや、自分の能力や経験では対応しきれないような状況においても、自ら困難から立ち直り、やり抜く力を養う。
・主体性を持って行動できる「プロ」への意識転換……上記の2つを基に、自ら課題を見つけ、責任感を持って行動できる、「プロ」としての意識を育む。
3日間の導入研修は、新入社員を対象とした育成フローの土台となるものです。社会人として求められるものは何か。そして、ゴールドウインの一員として仕事をするとはどのようなことなのか。その本質を学ぶ第一歩となる研修を、BCon®は15年以上にわたって支援してきました。
ソリューション:「仕事の本質」を学ぶ、濃密な3日間
ゴールドウインでの新入社員育成のねらいに対して、BCon®が提供するのは「壮大なビジネスシミュレーション」ともいえるプログラム。新入社員の意識と行動の転換を促し、各配属先での新しい経験に向けた自信を育む、濃密な3日間です。
3日間をかけるからこそ得られる学び
1日目から始まる仕事としての学びは、2日目は前日の内容を基にした実習、そして3日目には研修の集大成となるロールプレイングへと展開します。
現場で求められる姿勢と基礎的なスキルを学び、体験しながら理解していく3日間。一つひとつのワークがつながり、次第に濃度が上がっていくプロセスを通して、参加する新入社員の視野は「個人での学び」から「チームでの協働」へと広がっていきます。
単なるビジネススキルやビジネスマナーの講習ではなく「仕事をするとはどういうことか」という本質への理解を目的とした研修に、省略できる部分はありません。
主体性と気付きを生み出す「意図された失敗」
研修でのハイライトの1つともいえるのが、2日目に行われるビジネスシミュレーション「取引先からの急な依頼」です。このワークでは「取引先からの依頼に応えるため、イベントへの参加メンバーの名簿を整え、先方に報告する」という課題にチームで取り組みます。
ワークが進むにつれ、BCon®のコンサルタントは「取引先役」としてさまざまな要求を示します。実社会においては、いくつかの業務やタスクが同時に進行することは少なくありません。優先順位を判断しながら、その時々の状況に対応しながら目的を果たすことが求められます。
課題への取り組みを通して、取引先の要望に応えるためにはどのような行動が必要かという視点を獲得することが、このワークでの大きな目的です。ワーク終了後の振り返りではコンサルタントからの厳しい指摘を受け、多くの参加者が「大事なこと、本来の目的を見失っていた」という気付きを得ます。
この「意図された失敗」の体験と、それに対するコンサルタントからの的確なフィードバックと振り返りは、仕事の厳しさと本質、本来の目的について見失わないことを学び、自らの課題を認識する重要な機会となっています。
こうした研修でのBCon®のねらいは、参加者自らの体験を通した主体的な「気付き」を促すことにあります。その工夫は、研修のあらゆる場面に組み込まれています。たとえば「研修に使用している部屋が暑すぎる」と感じても、研修事務局(人事担当者)が先回りして対応することはありません。こうした小さな問題であっても、新入社員自身が課題に気付き、窓を開ける、エアコンを調整するなど、自ら行動し解決する視点・姿勢を養うための機会になると考えているからです。
成長を促すコンサルタントのスタンスと「理由ある厳しさ」
もう1つ、研修全体を貫いているのが、「プロとしての意識、行動とは何か」を徹底して考え、身につける機会をつくりだそうとするコンサルタントならではの「厳しさ」です。
研修の開始と終了の際には毎回「起立、気をつけ、礼」という一連の挨拶が行われます。声の大きさや動作が揃うまで何度も繰り返されることに、はじめは驚かれるかもしれません。しかし、これは単なる精神論や根性論、あるいは旧態依然としたしきたりをなぞるものではありません。
コンサルタントは「仕事は、すべて準備である」といい、研修中に求められる一つひとつの行動の背景にある目的や理由を明らかにしていきます。挨拶をするために「起立する」ことが決まっているのなら、事前に椅子を引き立ち上がる準備をしておくのが「仕事」といえるでしょう。研修中に行われる取り組みは、いずれも体験を通して「仕事との関わり方」を学び、身につけるための機会なのです。
またコンサルタントが、研修中の限られた時間内にカリキュラムをこなす「講師」ではなく、あたかも「新入社員の上司のように」関わるという点もBCon®ならではの特長といえます。人材育成のプロフェッショナルとして客観的な視点と専門的知識・ノウハウを用いると同時に、一人ひとりの新入社員が職場で求められる基礎的な力を養い、「我が社」の一員として踏み出すその第一歩に、強い責任感を持って伴走しています。
お取り組みの成果とご評価
ゴールドウインでの人材育成施策に携わるご担当者に、BCon®による新入社員導入研修の成果とご評価を伺いました。
15年以上BCon®の研修を継続いただいています。どのような部分に価値を感じていただけているのでしょうか。特にコンサルタントの「厳しさ」を評価されているのはなぜですか?

人事部 人的資本社内推進グループ
社内推進チーム リーダー
文 淳美 様
文:時代や社会の変化に応じて変えた方がよいことと、変えなくてよいものがあると思います。理不尽な厳しさであればもちろんやめるべきですが、BCon®の研修では、すべての行動や課題について「なぜそうすべきか」という理由や目的をきちんと伝えられるので、参加者も納得してその厳しさや指導を受け止めることができていると思います。また研修の端々で、どのような姿勢で学ぶべきか、社会人としての立ち位置を明確に教えてくれるところにも価値を感じています。近年は「正しく叱られた」という経験がない新入社員も多いように感じていますが、そうした指導はちゃんと伝わるものですし、引き続き期待したいと私は思っています。

人事部 人的資本社内推進グループ
社内推進チーム
小澤 悠 様
小澤:プログラム全体を通して、参加者がまず自分たちで考えて行動し、それを踏まえてコンサルタントがフィードバックを行うという組み立てになっているところにメリットを感じています。参加者が自らの行動を振り返り、本当に正しかったのか、適切だったのかと立ち戻って考えることで、研修での経験や学びが身になっていくと思います。
文:また長年にわたって見ていただいているからこそ、「今年の新入社員はこういう傾向がありますね」といった客観的な評価、コメントを伺えるのもよいところだと思っています。採用活動をしていくうえで、弊社が求める人材を採用することができたのかという振り返りの指標にもなっています。
新入社員に対し「上司」のように真剣に関わるコンサルタントと、人材育成ご担当者との連携についてはどのように感じていらっしゃいますか。
文:研修中の存在感や、新入社員との関係性の築き方に、BCon®のコンサルタントならではの価値を感じています。私たち人事担当者が優しい伴走者だとしたら、BCon®のコンサルタントは一段違う、指導者としての立ち位置を明確に保ってくれます。ですから、研修中に厳しいフィードバックを受けて落ち込んでしまう参加者がいても、私たちはケアに徹することができる。人事担当者がいることで生まれる安心感と、コンサルタントだからつくれる緊張感の両方があることで、参加者の学びにとてもよい環境をつくることができていると思います。
研修を経て、新入社員の皆さんにはどのような変化が見られますか。
文:特に大きく変わるのは、高卒で入社する社員たちです。もちろん大卒や専門卒の同期社員たちからのフォローがあってのことですが、臆せずにチャレンジし、厳しいフィードバックにも向き合う。3日間の研修で、桁違いに変わります。特に営業や店舗での接客ではそうした姿勢が重要ですから、大きな成長の機会になっていると思います。
小澤:営業部門の上長からは、新入社員について「すぐに取引先に連れて行っても恥ずかしくないレベル」「基礎ができているから、教えるのが楽だ」という声が届いています。詳細な業務のスキルは実務のなかで養われるものですが、基本的な姿勢や社会人としての意思・姿勢がすでに身についているというのは、BCon®の支援を受けた導入研修の成果です。
文:研修直後に行われる入社式での立ち居振る舞いも毎年見事です。研修中に覚えた社歌を、先輩社員に負けずに大きな声で歌う姿も誇らしいですね。
今後の研修について、どのような期待を持たれていますか。
小澤:1年目の終盤に実施する「ステップアップ研修」は、入社以来の取り組みについての振り返りや、2年目に向けた目標設定、今後の課題を考える機会になります。いわば「2年目の走り出し」に向けた研修として、参加した社員自身もよい感触を持っているようです。時代的な変化に合わせてプログラムの内容は相談しつつも、研修の根幹にある「変わらない軸」は守り、BCon®と一緒に社員を育てていけるような関係を続けていきたいと思っています。
文:私たちはその時々の課題に最適な研修はどのようなものかを考え、BCon®だけに限定せず、さまざまな研修会社を比較検討しています。そのうえで明らかにいえるのは、BCon®と取り組んでいる新入社員導入研修、そしてステップアップ研修は「大成功」しているし、私たちの育成方法は間違っていないという確信がある、ということです。弊社の3年以内の離職率は非常に低く、これも大きな成果です。
16年目に入って担当コンサルタントが交代されましたが、それでもねらいや本質がきちんと伝わる研修が継続されていることに安心しました。社会人としての第一歩を踏み出すとき、そして一年目から二年目へと進む社員たちの土台をしっかりと支えていただいています。その新入社員がやがてゴールドウインのリーダー、幹部候補になっていくときに、どんな支援ができるのか、一緒に模索していきたいですね。
共に、未来のリーダー育成を
新入社員の定着率向上は、多くの企業にとって重要な経営課題です。そして「私たちの育成方法は間違っていないという確信がある」というご担当者の言葉の通り、BCon®と共につくり上げる導入研修は、同社の3年以内の離職率が非常に低いという確かな成果につながっています。
しかし、新入社員研修はあくまで人材育成のはじめの一手です。3日間の導入研修で得た基礎と成長を土台に、約1年後に参加するステップアップ研修を経て、若手社員は次のステージへと進んでいきます。その後のキャリアにおいても段階に応じた適切な支援があることで、社員一人ひとりが自らの成長を実感することができるでしょう。継続的な取り組みが、個人の成長と組織の発展を結びつけるカギになります。
「当社の歴史を深く理解しているBCon®だからこそ、将来のリーダーとしての育成も一緒に模索したい」。ご担当者からのこの言葉は、BCon®が単なる研修の提供者ではなく、人材育成のパートナーとして信頼をいただけていることの現れだと、私たちは考えています。
BCon®は、ゴールドウインの人材戦略に寄り添い伴走するパートナーとして、これからも研修をはじめとした最適なソリューションをご提供してまいります。
BCon®では、人材育成に関する多くの知見とノウハウを基にしたコンサルティングと研修により、企業の人材育成に関するビジョンや課題に応じたソリューションをご提供しています。新入社員や若手社員の定着、エンゲージメントの向上、人的資本経営の実践など、企業の持続的な成長を目指したご支援が可能です。
研修等のサービスに関するご相談や詳細な資料をご希望の場合には、下記のお問い合わせフォームからお気軽におたずねください。
BConは、株式会社ビジネスコンサルタントの登録商標です
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新入社員研修
社会人として早期に活躍するためには、基本的なビジネススキルに加えて、組織内外で好ましい人材として受容され、成長につなげるためのマインドを啓発することも重要です。BCon®では昨今の新入社員の傾向を踏まえ、実践的なシミュレーション型のプログラムをご提供しています。受講生同士で学び合い、主体的に考える癖付けをすることができます。
BCon®では、お客さまの課題やニーズに基づき、プログラムをカスタマイズしご提供します。
株式会社ゴールドウイン

- 本社
- 東京本社:東京都港区 / 本店:富山県小矢部市
- 事業内容
- アウトドアスタイル、アスレチック、ウィンター関連などスポーツ用品の製造および販売
- 従業員
- グループ 2,930名(2025年3月現在)
- ウェブサイト
- https://www.goldwin.co.jp/