リーダーシップへの思い込みから自由になる 「異業種×女性限定」の学びの場|異業種女性リーダー研修

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制度や研修を整えても、なぜ女性リーダーの活躍が思うように進まないのか。その背景には、職場に根付く無意識の思い込みや、チャレンジの機会が偏る構造的な課題があります。

本コラムでは、そうした課題をひも解きながら、異業種×女性限定という環境がもたらす気付きと成長のプロセスに焦点を当て、自分らしいリーダーシップを育むための実践的なプログラムをご紹介します。

組織の枠を超えた対話や、多様な価値観との出会いが、女性の可能性を引き出し、リーダーとしての一歩を後押しします。

目次
    株式会社ビジネスコンサルタント

    株式会社ビジネスコンサルタント

    組織づくり・人づくりを支援する専門家集団として、組織開発や人材育成に関する情報を発信しています。Well-being経営の共創パートナーを目指し、現場で役立つ知見や実践事例をわかりやすくお届けします。

    近年、ダイバーシティ推進の流れの中で、企業には女性リーダーの登用がこれまで以上に強く求められるようになっています。働き方改革の進展や、仕事と家庭の両立を支える制度が整備される中で、女性を対象とした研修や育成プログラムに取り組む企業も増えてきました。それでもなお、「思ったほど女性リーダーが増えていない」と感じている企業が少なくありません。
    その背景には、リーダーシップへの無意識の思い込みが影響している可能性があります。女性自身の自信のなさや、上司からの仕事のアサインの在り方が、女性リーダーの成長と活躍を妨げています。こうした状況を変えるためには、思い込みに気付くことから始める必要があります。その気付きを促す方法として、社内とは異なる価値観や環境に身を置いてみることが有効です。

    そこで今、注目されているのが「異業種×女性限定」の研修プログラムです。業界や組織文化の異なる人たちと交流することで、自分の中にある“当たり前”を客観的に見つめ直すことができ、新たな視点の獲得や自信につなげていきます。
    本コラムでは、女性リーダーの活躍が思うように進まない要因と向き合いながら、異業種交流型研修がもたらす効果や、実践的なプログラム設計のポイントについてご紹介します。

    活躍につながる女性リーダー育成研修とは

    女性リーダーの活躍を広げるためには、個々の能力や意欲の向上だけに目を向けていては、大きな変化につながらない場合があります。ここでは、活躍につながる女性リーダー育成について整理していきます。 

    乗り越えるべきは、個人の能力や意欲の不足ではなく、組織と個人に根付くアンコンシャスバイアス

    女性リーダーの活躍に大きく影響を与えるのが、職場環境や、組織と個人の双方に根付いたアンコンシャスバイアスです。 例えば、リーダーの多くを男性が占めてきた組織では、「リーダーは男性が担うもの」「前例のない役割に女性を登用するのは不安だ」といった前提が、無意識のうちに共有されていることがあります。また、「家庭との両立が大変だろう」といった配慮から、チャレンジの機会が見送られることもあり、その結果、女性は成長の機会を得にくくなってしまいます。 

    このような環境の中では、女性自身も「理想とされるリーダー像は自分に合わない」「自分にリーダーが務まる自信がない」「今の生活と両立できる気がしない」と感じてしまい、リーダーを目指すという選択肢を遠ざけてしまいます。 
    このように、職場の文化や過去の経験が積み重なってできたアンコンシャスバイアスが、女性のリーダーシップの発揮をためらわせてしまう要因になっています。 
    だからこそ、研修を増やしたり制度を整えたりするだけでは不十分で、まずは自分の中にある思い込みに気付き、実際にチャレンジする中で「私にもできる」と思えるような自信を育てていくことが大切です。

    思い込みに気付く「異業種×女性限定」という学びの場 

    職場に既にある関係性の中で、自分自身にあるアンコンシャスバイアスに気付くことは容易ではありません。 そこで有効なのが、普段とは異なる立場や背景を持つ人たちと交流しながら学ぶ「異業種×女性限定」のリーダーシップ研修です。業界も企業文化も異なる参加者が集まることで、それぞれの「当たり前」が大きく異なることを実感できます。例えば、「仕事に対する考え方」や「キャリアの築き方」「意思決定の進め方」など、わずかな違いこそ、自分の中の思い込みに気付くきっかけになります。 

    また、女性限定という環境は、性別による期待を意識せずに参加できるため、「なんとなく感じていた違和感」や「これでいいのかな?」という普段は言語化しにくい迷いも、素直に言葉にしやすくなります。 このように、「異業種×女性限定」という組み合わせそのものが、自分の中にある思い込みに気付き、心理的安全性の高い環境で新しい行動にチャレンジしやすい場になります。
    こうした気付きは、単発の学びや一時的な対話だけで定着するものではありません。 異なる視点に触れ、自分自身の前提を問い直しながら、実践を通じて少しずつ行動に落とし込んでいくプロセスが必要です。 

    次章では、「異業種×女性限定」の環境を生かしてリーダーシップの実践力を高めるプログラムの全体像をお伝えします。 

    「異業種×女性限定」研修のプログラム例

    異業種かつ女性限定という特徴を生かした、6カ月間のプログラム例をご紹介します。

    プログラムのねらい

    • リーダーシップへの思い込みに気付き、リーダーシップの発揮に必要なスキルを啓発する
    • 他社の女性社員と共に課題に取り組むことで、異なる企業文化に触れながら視野を広げ、リーダーに求められる実践的なスキルを身につける 

    プログラムの流れ 

    STEP1:事前課題 

    参加者は、会社ごとに自社紹介資料を作成し、自社のビジネスや組織構造、女性活躍の状況について整理します。これにより、自社理解を深めるとともに、異業種メンバーとの協働に向けた準備を行います。 

    STEP2:集合研修 

    2日間を通じて、リーダーシップへの思い込みに気付き、リーダーシップスキルを啓発 します。

    ・女性が計画的に磨くべき6つのスキル
    ・診断ツールを活用し、自分自身の強みに気付く
    ・ビジョンを語るためのストーリーテリング
    ・各社の女性リーダーによるパネルディスカッション
    ・中間課題に向けたグループ編成と準備

    受講者同士のネットワークを築くとともに、実践への意欲を高めることを目指します。

    STEP3:中間課題 

    メインプログラムで編成された異業種混合グループごとに、実践課題に取り組みます。 
    グループでテーマを決めて調査・分析を行い、フォロー研修での発表に向けて準備を進めます。 

    〈テーマ例〉 
    リーダーに求められる資質とは何か 
    リーダーシップを発揮するうえで自信を高める方法 
    DE&Iを実現するための提案 
    社会課題解決に向けた提言 

    意見の違いに向き合いながら協働し、組織の壁を越えて情報収集などに取り組む経験を通じて、リーダーシップを体験的に学びます。 

    STEP4:フォロー研修(成果発表) 

    各グループが中間課題の成果を発表し、相互にフィードバックを行います。 
    その際、オンラインの学習プラットフォームを活用し、リアルタイムで感想や評価を共有することで、学びを深めます。 成果を形にして発表する経験は、達成感や自信につながります。また、研修参加者全体の一体感を高める機会となります。  

    ここからはリーダーシップの実践につなげるために、本プログラムで重視している3つの観点をご紹介します。

    1. リーダーシップの発揮を促す2つの視点
    2. 周囲を動かすために必要なビジョンを語る力
    3. 多様なロールモデルから描くキャリアの描き方

    プログラムの特徴1:リーダーシップの発揮を促す2つの視点

    女性がリーダーシップを発揮するためには、「リーダーとはこうあるべき」という思い込みを見直すとともに、自分らしさを生かしつつ、時代に合ったリーダーシップのあり方を理解して取り入れる必要があります。 

    リーダーシップへの捉え方を広げる「全員発揮のリーダーシップ」

    リーダーシップは、公式な役職に就いている人だけが発揮するものではありません。 
    本研修では、チームメンバー全員が、それぞれの強みや専門性を生かして発揮する「全員発揮のリーダーシップ」という考え方を重視しています。 

    変化の激しい時代においては、上司が指示し、メンバーが遂行するという従来型の運営だけでは、十分な成果を上げることが難しくなっています。互いの強みを認識し合い、状況に応じて役割を担うことで、チームとしての力を最大化することができます。 公式なリーダーには、自らがすべてを導くのではなく、メンバー一人ひとりの力を引き出し、全員が活躍できる環境を整える視点が求められています。 

    自分らしさ、自分の強みに気付く 

    自分の強みを自覚することは、自分らしいリーダーシップを発揮する重要な手がかりとなります。そのため自己診断ツールの活用が効果的です。本研修では、自分の「徳性の強み」が把握できる診断ツール(VIA診断)を活用します。自分の強みが発揮できている状態では「自分らしさ」を実感でき、満足感や充足感を得られると言われています。研修では、診断結果、自身の認識、他者からのフィードバックという3つの視点から自分らしさを多面的に捉えます。 

    プログラムの特徴2:周囲を動かすために必要な「ビジョンを語る力」

    リーダーとして、ビジョンを語る力が必要な理由を理解し、その手法としてのストーリーテリングを実際に体験し、学習します。 

    女性がビジョンを語る力を身につける意義 

    大前提として、女性にビジョンを描く力がないわけではありません。ただし、一般的に女性は「周囲との調和」を大切にしながら物事を進める傾向があると言われています。そのため、リーダーとしての考えや方向性を強く打ち出すよりも、メンバーとの対話や合意を重視することが多くなります。また、自分の意見を明確に示すことで、必要以上に強い印象を与えてしまうのではないかと慎重になる場面もあるようです。こうした姿勢は、結果として「リーダーとしての方向性が見えにくい」「何を考えているのかが伝わりにくい」と受け取られてしまうことがあります。

    しかし、リーダーシップを発揮するうえでは、自分の考えや方向性を明確に示し、周囲を巻き込む力が欠かせません。  ビジョンを語る力を意識的に育むことは、自分らしいリーダーシップを確立するための重要な要素なのです。 

    ストーリーテリングで伝える力を磨く 

    ストーリーテリングとは、自分の伝えたいことを自分の経験や他者のエピソードを交えながら語ることで、聞き手の関心を集め、共感や行動を促す手法です。ストーリーとして語られることで、聞き手はそれが実現したイメージを自分の中に描くことができ、自分事化しやすくなります。ストーリーテリングには、題材の選び方や構成、伝え方といった実践のポイントがあります。研修では、グループ単位でこの手法を用いたプレゼンテーションを実施し、実践的に学びます。 

    ここまで、自分の強みを起点にしたリーダーシップの発揮や、周囲を動かすためのビジョンの伝え方について見てきました。プログラムの3つ目の特徴は、キャリア形成に関する観点です。

    プログラムの特徴3:多様なロールモデルから学ぶキャリアの描き方

    女性が、今後どのような働き方ができるのかを模索する際、社内に目標となる先輩社員がおらず「ロールモデル不在」という悩みを持つ場合が少なくありません。本研修では、他組織の女性リーダーからも学ぶ機会を設けています。

    パネルディスカッションから学ぶ 〜リーダーになるまでと、なってから〜

    研修に参加している各社から、活躍している女性リーダーをパネリストとして迎え、これまでの経験や選択について語ってもらいます。さまざまなストーリーに触れる中で、気付きや働き方のヒントを得ます。 

    パネリストから語られるのは、自身のキャリアで苦労したプロジェクトへの挑戦や、パートナーの転勤で海外に行く、家族のケアで一時的にキャリアを中断したなどの具体的な体験です。自社とは違う環境で活躍する先輩女性のリアルな声に触れることで、キャリアに「正解はひとつではない」という視点が生まれ、多様な働き方への理解が深まります。 

    直線的ではないキャリアへの向き合い方

    女性のキャリアは、さまざまなライフイベントの影響を受ける可能性があります。 
    本研修では、女性のキャリアは直線的ではなく、いろいろな方向に可能性が広がるジャングルジム型であると捉え、多様な進み方があることをご紹介します。その中で、「今よりももっと仕事にエネルギーを注げるタイミングが来たらこんなことをしたい」「そのために必要な準備は」など、次の働き方を模索する重要性についても、考える機会を提供します。 

    パーツモデルという考え方 

    多様な働き方を受容する視点として、本研修では、部分的に参考にしたい要素を取り入れる「パーツモデル」という考え方を紹介します。これは、社内外を問わず「この部分は取り入れたい」「この人のような経験をしてみたい」と感じる一部(=パーツ)を参考にする方法です。

    異業種交流を特徴とする本研修では、パネリストの体験や考え方に触れたり、参加者同士の交流を通じて、多様なロールモデルに出会う機会があります。身近に完璧なロールモデルがいなくても、自分にとって参考になる要素を柔軟に取り入れていくことが可能になります。

    それでは、これまで紹介してきた学びの要素をふまえて、プログラムの全体像を振り返ってみましょう。 

    まとめ 

    本研修は、「異業種交流」と「女性限定」という二つの要素を生かし、自分らしいリーダーシップの在り方を実践的に学ぶプログラムです。 強みの理解やビジョンの言語化、多様なロールモデルからの学びを土台に、中間課題では「全員発揮のリーダーシップ」を体験し、協働や葛藤を通じて実践力を養います。  自分の強みを起点にリーダーシップを発揮することは、特別なことではありません。 変化の時代において、自分らしさを生かしながら周囲に働きかける力は、今後ますます求められるでしょう。 

    次回は、研修を実際に導入・活用している取り組み事例をご紹介します。 

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