VLPご参加者の声:「10年先の礎」を創出する長期視点と マネジメントの在り方を改めて学んだ

株式会社ニッセン
セールス&コミュニケーション本部
サイズモール事業 Alinoma 事業責任者
大橋 さと美 様

婦人服を中心としたインターネット・カタログ通信販売を展開する株式会社ニッセン。レディースファッション、インナーウエア、インテリア雑貨、化粧品など幅広い品目を扱う総合通販を行っています。公開講座「VLP」にご参加いただきました大橋様は、大きいサイズのファッションを専門に扱うECサイト「Alinoma(アリノマ)」を運営する、サイズモール事業を統括されています。社会変化の著しい今、未来を見据え、新たな視点と発想で事業を生み出すためのマネジメントについて学ぶVLPに参加された感想をお聞きしました。

※情報は2023年9月のものです。

  1. 組織の事業と、お仕事について教えてください。 …… 総合通販の会社で、プラスサイズ・ファッションのECモール事業を統括
  2. 参加に際して、どのような課題がありましたか? …… 長期視点の持ち方と日々のマネジメントの在り方を模索
  3. VLPに参加した目的を教えてください。 …… 「10年先の礎」の創出と既存事業の強化、異業種間交流にも期待
  4. 特に印象に残っていることを教えてください。 …… 異業種のリアルな課題認識、マネジメントの活路を見いだせた実習
  5. 課題解決のヒントになったことは何でしょうか? …… 視点を変えることをいかに意識するか
  6. 講座での気付きや学びをどのように生かしていますか? …… 週1回のミーティングの中心が「売上」から「お客さまの声の検証」に変化
  7. この講座をどのような方にお勧めしますか? …… ピンチの時に、つい短期志向になってしまうプレイングマネジャーの方へ

組織の事業と、お仕事について教えてください。総合通販の会社で、プラスサイズ・ファッションのECモール事業を統括

株式会社ニッセンは総合通販事業を展開しており、衣料品については、Lサイズから10Lサイズまでの「プラスサイズ・ファッション」も業界に先駆けて幅広く扱ってきました。

私は現在、プラスサイズのお客さま向けアイテムに特化したECモール「Alinoma(アリノマ)」の運用を手掛ける部署の責任者を務めております。「Alinoma」には多くの人気ブランドが出店しており、お好みに合わせて、さまざまなスタイルのファッションを楽しんでいただけます。

参加に際して、どのような課題がありましたか?長期視点の持ち方と日々のマネジメントの在り方を模索

「Alinoma」は、2023年で立ち上げから5年になります。当初からずっと売上高で前年比約130%の成長をしてきましたが、今期は前年比約110%。少し伸び悩んでいる状況もあり、既存事業をさらに成長させると同時に、サイトの可能性をさらに広げる、新しい展開を考えるタイミングを迎えていました。また全社的にも「10年先の新規事業を作っていく」ということが課題になっていました。

でも、やはり直近の課題に集中し過ぎてしまうんですよね。長いスパンで物事を考えなくてはいけないと、頭では分かっているんです。でも「今月の売上目標が達成できない、今期の売上が足りない」といった状況で、今すぐ売上につながらない施策に着手するのは困難でした。なかなか先のことまで考えられないということが悩みでしたね。

大きいサイズ レディース通販【アリノマ】のロゴ
サイト「Alinoma」はL~10L展開の大きいサイズレディースファッションモール。着られる服ではなく『着たい服』が見つかります。お客さまファーストの意識で運営しています。

また私自身の性格として、何か気になることがあると細かく指示し過ぎてしまうところがありました。「それぞれが任せられた仕事に、責任を持って取り組んでもらいたい」という思いからではあるのですが、部署の責任者としては課題だなと思う部分でした。

部署や事業全体を見る役割なのに、メンバーに任せている業務が気になって介入していってしまう。そうすると、全体の課題に気付きにくくなります。結果として、どこかにひずみができていたり、問題の発見が遅れてしまったりというような悪影響が出たこともありました。

全体を俯瞰することをおろそかにすると数字への悪影響やサービスレベルの低下を招くことを実感すると同時に、自分自身の立場に応じた役割を果たすことが非常に大切だと感じていました。

VLPに参加した目的を教えてください。「10年先の礎」の創出と既存事業の強化、異業種間交流にも期待

以前から、弊社の人事部が主管するBConの研修を長期で受講していました。その中で期待されていたのは「10年先の会社の礎」となる事業を創出することでした。

ですからVLPに参加した第一の目的は、その目標に向けてしっかりと取り組んでいくことでした。同時に「既存事業の強化」という、もう一つの軸の実現が社としての期待であり、私自身の目的でもありました。

また異業種、他企業の皆さんと交流することで、新しい刺激を受けながら学べる機会はなかなか無いので、緊張しつつも楽しみにしていました。

特に印象に残っていることを教えてください。異業種のリアルな課題認識、マネジメントの活路を見いだせた実習

大きいサイズ レディース通販【アリノマ】のサイトイメージ
サイト「Alinoma」のTOP画面。一人ひとりの「あったらいいな」を叶えて、誰もが自由にファッションを楽しめる。そんな多サイズ展開の商品づくりがニッセンの強みです。

まず思い出すのは「どの会社も、共通する課題を持っているのだな」という印象を受けたことです。

当社はファッションをメインにした総合通販会社です。競合が多く、特にコロナ禍では外出の機会が減り、新しく服を買う方も減少しました。人との出会いの場もアプリなどオンラインが主流になって、例えば「合コンのために服を買う」など、たくさん服を買うシチュエーションが減ってきているんですよね。そうした変化の中にあって「通販で、アパレルが主体」というビジネスモデルに不安を感じるところもありました。

しかし、他の参加者とお話ししてみると、ガソリンスタンドであれば、エネルギーが変わることによって何かしなくてはいけない、自動運転になったらタクシー業界はどうなるのか分からない、建築会社では設計がAIに変わるかもしれない、といったお話があって、それぞれに課題があるのだと分かりました。

ニュースや記事で知るのではなく、実際にその業界に身を置く参加者の皆さんからリアルな声が聞ける貴重な場でした。

もう一つ、とても印象に残っているのが寸劇をしたことです。あるテーマに沿った脚本を皆で作り上げ、2~3分の劇を発表する準備を20~30分で行います。最初は「そんなこと本当にできるの?」と思いましたが、普段の業務で組織やチーム運営をする上でも、短期間でチームを作り上げていく、チームで一緒に何かを作っていくためのプロセスはとても重要ですよね。

研修でこうした課題に取り組み、短時間でゴールに向かってやり遂げるという体験は勉強になりました。チームの目的やゴールがはっきりしていないと、メンバーがまとまりづらいということが、改めて理解できました。だからこそ目的やゴールを明確にし、全員が目標を理解して、たどり着けるようにしなくてはいけない。そこが散漫にならないようにすること、そしてチームが目指すゴールや目的を把握できていない人が出ないようにする大切さを学びました。

新鮮で、分かりやすい学びでした。「全員が方向性を理解すると、短時間でも何かを作り上げることができる」という実体験から、業務上の細かな指摘をするよりも、もっとパワフルな問題解決への活路を見いだすことができたんです。

課題解決のヒントになったことは何でしょうか?視点を変えることをいかに意識するか

VLPに参加して一番良かったのは「視点を変えなくてはいけない」と実感できたことです。社内で受けてきた研修でも言われてはいましたが、VLPは2泊3日という短期の研修でありながら、繰り返し気付かされる場面がありました。

時間軸であれば、短期だけでなく、長期でも見ること。サービスであれば、会社側の視点ではなく、お客さまが何を求めているかという「お客さまの視点」で見ること。あるいは時代によってマネジメントは変わるということなど、自分の中で、視点をスイッチさせるための気付きや転換を研修の中でいただいたと思います。

担当講師の方から研修の最後にいただいた「責任感はあるし、短期でゴールに到達する力はある」「視座を上げることが今後の課題ですね」というフィードバックは今でも覚えています。会社から求められているのは長期的な視点を持つことですが、私はどうしても短期の視点になりがちなので、改めてハッとさせられました。業務に追われるとついおろそかにしてしまいがちなので、意識し続ける必要があるのだと思います。

こうした指摘をいただけたのは「長期視点の話になった時、考える時間が長かった」など、研修中の私の行動をきちんと見てくださっていたからだと思います。自分自身でも思っていたことを指摘され、自らの課題がより明確になりました。

また研修が終わったのは、ちょうど社内で次期の中期計画を検討するタイミングだったので、VLPでの学びを早速活用することができました。現状から積み上げていく考え方ではなく「こうなりたいから、そのために何が必要であるのかと考える」というバックキャスティングのフレームワークは、5カ年計画を作る際にとても役に立ちました。

講座での気付きや学びをどのように生かしていますか?週1回のミーティングの中心が「売上」から「お客さまの声の検証」に変化

オフィスのイメージ
本社オフィスは京都駅から徒歩5分の便利な立地に。大橋様もふだん仕事をする東京のオフィスと定期的に行き来されます。

VLPの学びを取り入れて変えたものの一つに、週に一度行う企画ミーティングがあります。

以前は業績や数字へのこだわりをそのまま進行に反映していたため、冒頭から売上の現状など数字面について話をしていました。しかし、今は「お客さまの声」に関する話から始めるように進行を変えました。

売上を示す数字は、お客さまからの答えであり、今後につながっていくものだと意識するように視点を変化させたのです。お客さまの満足度や、ご期待に応えられたことの結果が売上につながってくる。ですから売上が伸びていなかったり、少なかったりするのは、お客さまからの期待に応えられていなかったということなのです。

実店舗で直接お客さまと接していれば、リアルなお声を聞くこともできます。しかしインターネット通販の場合、お客さまの声は文字でいただくことがほとんどです。そのため、時間を取ってしっかり読まなくてはいけません。

モールに出店されているブランドの方と接する機会が多いので、以前は出店側の思考に寄りやすくなっていたところもありました。研修後は、顧客価値を顧客の心理的な背景から捉える手法をチームで共有したことで、お客さまの声をよりしっかりと聞くことができるようになりました。お客さまから不満の声があった商品をチーム全員で確認し「これはサイト上分かりにくい表現だから、別の伝え方を考えよう」など話し合った上で改善しています。

マネジメントする立場からすると、数字を追う方が分かりやすくて簡単なので、ついそのようになりがちです。しかしVLPでの経験を通して痛感したのは「理念やビジョン、目的、お客さまに対する思考が動機づけになるようにしなければいけない」ということでした。

短期視点にとらわれてしまいやすい時こそ、半自動的に視点を切り替えられるように、仕組みにすることが大事だと考えています。

この講座をどのような方にお勧めしますか?ピンチの時に、つい短期志向になってしまうプレイングマネジャーの方へ

プレイングマネジャーの方々にお勧めです。

私自身もそうですが、プレイングマネジャーは日々の業務が忙しく、直近の課題を解決することが重要なミッションであるとも思います。早く結果が出て自分も安心できますから、どうしてもそこに時間を費やしてしまいがちですよね。でも、そうした短期的視点から脱却する必要がある方は、VLPを受講されると良いのではないかと思います。

今回の研修で良かったことは、半分が実習などの実践的な学びで、他の参加者とグループワークをする機会が充実していたところです。

書籍や動画、オンラインの研修など、見るだけ・聞くだけという方法であれば自分一人で学べるツールもあります。好きな時間に取り組めるので、日々の業務が忙しいと、その方が良いと思うかもしれません。でも動画で学んで、実践することまで一人で行うのはなかなか大変ですよね。

VLPでは短期間にアウトプットを繰り返す経験を通して、多くの気付きを得ることができました。また他の参加者と一緒に体験して刺激を受けることで、さらに実際の業務に落とし込みやすくなったように思います。研修期間中は学習に没頭できる環境が用意されていたことも、ありがたかったですね。

あらかじめ要点をまとめたメモを準備し回答される大橋様。「まだ学んだことでできていないこともあるが、これから取り組んでいきたい」と明るく話す。

研修後も参加者の方々と連絡を取り合って「これができていなかったから、職場に戻ったらこうしたい」「実際にこういうことに取り組みました」という声を共有することができました。VLPでの学びを、実践の場で活用している方が多くいらっしゃいます。全く異なる業種の、同じような課題を抱えた人たちと交流が持てたことは本当に良かったと思います。

BConは、株式会社ビジネスコンサルタントの登録商標です

株式会社ニッセン

株式会社ニッセン
本社所在地
京都府京都市
事業内容
婦人服を中心とした衣料品、インテリア雑貨などのインターネット・カタログ通信販売、通販ノウハウを活用したビジネスサポート事業
従業員
1061名(パート・契約社員含む。2023年2月28日現在)
ウェブサイト(HD)
https://www.nissen-hd.co.jp/
ウェブサイト(Alinoma)
https://alinoma.jp/