株式会社玉家建設

株式会社玉家建設

  • 持続的成長
  • 組織開発
  • 人材開発

2017年3月掲載

株式会社玉家建設

株式会社玉家建設

本社:
石川県金沢市
事業内容:
自由設計の木造住宅建設
従業員:
120名(グループ全体、2016年11月時点)
HP:
http://www.tamayakk.com/
株式会社玉家建設

株式会社玉家建設は自由設計の木造住宅を特色とする建設会社です。毎年少しずつの成長「一寸上げ(いっすんあげ)*」を実践しながら2017年で50周年を迎えます。「シンプル&リッチ」を設計コンセプトに置き、日本的な美意識を追及した施工実績は、過去に何度も金沢都市美文化賞を受賞しています。本事例では創業から成熟期へと向かう中で玉家建設が取り組んだ2つの課題「成長企業におけるマネジメント力の強化」「部門間・個人間のハイレベルな連携」をどのように成し遂げたのかをお聞かせいただきました。

お話を聞いたのは同社の創業者であり現在は代表取締役会長の神亮一様、ご長男である代表取締役社長の神和成様、そして常務取締役の木村豊様です。

*一寸(いっすん):長さの単位。わずかな、ちょっと、という意味で使われることもある。日本家屋の設計基準で使われている。
少しずつハードルを上げて成長し向上することを「一寸上げ」と呼称し、玉家建設内で大切にしている精神。

プロローグ

創業から30年間は機関車のようなリーダーシップで成長してきました。

株式会社玉家建設 代表取締役会長 神 亮一様
代表取締役会長
神 亮一様
現会長の神亮一氏が玉家建設を創業したのは昭和42年のこと。当時の日本は持ち家ブームで、同じような外観や間取りの規格住宅が次々と建っていた時代でした。そのような時代の中、玉家建設はオリジナルの自由設計にこだわりました。住む人の生活スタイルに合わせた間取り、金沢の風土に溶け込んで、景観をさらに美しくするような様式美が顧客からの支持を集めていったのです。

神社長(現会長)の機関車のようなリーダーシップのもと年間の販売棟数を限定し、品質の向上を追及した結果、玉家建設は売上・社員数共に伸びていきました。「一寸上げ」の精神、「お客様大事」「ものづくりの心」「地域貢献」の3つの基本的価値観を礎に事業を運営していました。

創業30年が過ぎた2000年に、北陸の住宅会社で初となるISO9001規格の認証を取得し、2001年には石川県ベンチャー大賞や建設大臣功労者賞も受賞しました。まさに創業から成熟へと進化を遂げた時代でした。

この頃、ある経営課題が生じていました。社員数が多くなったことで、組織の階層が複雑になり、トップの思いを現場の社員にまで行き渡らせることが難しくなったのです。マネジメントのやり方を刷新する必要がある、と当時の経営層は考えていたのです。

BConとのご縁のきっかけ

価値観を共有できたことが決めてでした。

株式会社玉家建設 代表取締役社長 神 和成様
代表取締役社長
神 和成様

長らく当社は現場で背中を見て仕事を覚えるという職人気質の企業風土でした。しかしISO9001規格取得のタイミングで、職人の技を継承すると同時に今後の組織を支える人材育成をしっかりやって行こう、という経営の意思決定がありました。当時お願いもしないのに(笑)BConの営業の方が足しげく通い、当社の課題を聞き、他社の事例や情報を提供してくれていました。その方を通じてBConは良い会社だろうという印象を持ち、相談したのがきっかけでした。

しかし、良い会社のようだという印象だけで仕事を依頼するわけにはいきません。当然他のコンサルティング会社も検討しました。なぜBConに決めたかと言うと、まず当社が大切にしている価値観とBConが提案してくれた「セルフエスティーム*」という考え方に共通するものを感じたからです。さらに顧客である私たちの思いをじっくり聞いたうえで、一緒になって考えてくれる点に信頼感を持ちました。この会社だったら当社の価値観や方針の浸透を手伝ってくれるのではないかと思いました。

*セルフエスティーム:自分としても誇りに思い、他者からも充分に認められるであろうという自負心・自尊心
http://www.bcon.jp/keywords/selfesteem/

お取り組み

組織が成長するなかでマネジメント力強化の必要性を感じていました。

株式会社玉家建設

ISO9001規格取得の後、本格的にマネジメント力強化に取り組みました。当社には管理職をはじめ家づくりが好きな社員はたくさんいましたが、どちらかというと技術重視でした。しかし組織の成長に伴って社員数が増える状況下において、管理職に求められるのは技術だけではありません。新しく入ってくる社員や部下に対して理念や価値観の浸透がしっかりできる影響力や経営計画を実現に移すためのマネジメント力が求められます。そこでBConに課長研修、部長研修をお願いしました。


一寸上げ管理職研修のある日のことです。BConの講師が「社長(現会長)が日ごろおっしゃっていることの背景や意図を改めて考えてみよう」と投げかけました。そこで、受講者が自分たちなりに社長(現会長)のメッセージや方針を解釈し模造紙に書き出しました。その模造紙を研修の成果として社長(現会長)に見せたのです。「自分たちはこういう風に解釈しています。どうですか?社長(現会長)の思いをくみ取れていますか?」と。

これによって意味合いが通じていない部分が少なからずある事が明らかになりました。社長(現会長)としては社員一人一人が企業理念を理解したうえで、日々の判断や活動をして欲しいという強い思いがありました。そこで社長(現会長)の考えをまとめ上げて「一寸上げ」と題した小冊子を作ることになりました。「一寸上げ」によって社長(現会長)が常々言っている3つの価値観「お客様大事」「ものづくりの心」「地域貢献」がどういうことなのかの行動基準が分かりやすくなりました。現在でも朝礼の中で「一寸上げ」から1人一遍を取り上げ、自分の実践と紐づけて発表するという使い方をしています。
自分事として価値観を解釈する経験を重ねることで、日々の生活や業務の中にまで価値観が染み渡っていくことを期待しました。

上位概念を指標化しマネジメントの解析度が上がりました。

株式会社玉家建設 常務取締役 木村 豊様
常務取締役
木村 豊様

 

次に取り組んだことはパフォーマンス・スコアカード*です。

当社が大切にしている「お客様大事」「ものづくりの心」「地域貢献」という〝価値観”は目に見えないものです。対面でやり取りできる小集団であれば、会話を重ねて価値観を共有することができますが人数が多くなると同じ方法は通用しない。

具体的に何がどうなったらその価値観を体現したといえるのかを可視化して実践の方略を議論するためのツールが必要だと感じていました。

BConに協力してもらって、ブランドの確立や目指したい企業文化などの上位概念を定義し、重点課題に落とし込み、実践していくためのプロセスを明らかにしました。スコアカードを入れたことでマネジメントの解析度が飛躍的に上がりました。結果だけではなくプロセスを分かりやすく、丁寧に管理できるようになりマネジメントの底上げができたと感じました。現在でも毎月事業本部会議の中で目標達成までの状況がどうなっているのかスコアカードの指標をチェックしています。

こうして組織運営の基盤を強固なものにしていきました。その後もBConと一緒に人材育成とマネジメント力強化に取り組み、中堅社員研修や組織診断などを行ないながら、「一寸上げ」を実現できる組織づくりを進めていきました。
*パフォーマンス・スコアカード:企業・組織の業績や成果を測定し、仮説を検証するためのマネジメントツール

ハイレベルな連携を実現したい。

株式会社玉家建設の施工実績
施工した邸宅を地図上にピンで示している

次に節目となる経営課題に取り組んだのは10年後の2011年頃のことです。当社の仕事の進め方は営業・設計・工事・コーディネーターがプロジェクトチームを組み、一邸を担当します。関係者が部門を超えて「お客様大事」の価値観を体現しようとすると型通りのコミュニケーションでは済まないハイレベルな連携が必要になってきます。またOJTを強化するために所属部門に限定せずに後輩の面倒を見るなど部門連携を効果的にする必要性が出てきました。

この時には管理職だけではなく全社員を対象にした協働力研修をBConにお願いしました。率直でオープンな話し合いを促進する方法や、よりよいコラボレーションを生むための接し方をトレーニングしました。この研修以降周りの人のことを考えられる人が増えたという実感があります。たとえば話しづらい印象を周囲に与えている役職者が〝聴く態度“を示したことで社内のコミュニケーションがスムーズになる、上席者相手でも言うべきことは言うといった行動です。またスコアカードを活用した毎月の事業本部会議の中でも、率直に他部門に対して指摘する、自部門についての指摘を受け入れる実践が定着しました。研修後には「協働力」という言葉が社内で流行ったのも象徴的でした。一部の人だけが研修を受けるのではなく、社員全員が受けたおかげで共通言語ができ、協働の充実度が高まったと思います。


事業運営・人材開発で大事にしていること



地域産業として永続する使命があると考えています。

玉家建設には地域産業として永続する使命があると考えています。当社は地場の住宅メーカーとしてこの土地固有の伝統的景観や雰囲気を残し、家づくりを通じて人を惹きつけるような魅力ある街並みをつくる役割を担っています。人が集まると地域経済も活性化します。また、家を建てさせていただいた責任としてお客さまに永遠のサポートを提供しています。当社はお客さまと地域のために永続しなければならないのです。

設計思想は「シンプル&リッチ」

当社には、お客様の居心地の良さを基本とした設計思想「シンプル&リッチ」(デザインはシンプルに、暮らしは心豊かに)があり、お客様と対話を積み重ねながら、どの家にも「シンプル&リッチ」が表現されるように設計デザインし、施工しています。契約後もさらにお客さまの満足度を高める提案を実現する仕組みが「デザイン開発費」です。たとえば、出窓にはこの天板のほうが良いのではないか、玄関前のデザインはコンクリートではなく御影石にしたほうが美しく見えるのではないか、お風呂場にちょっとした収納棚を作ると使い勝手がよくなるのではないか、など。改善案をお客さまに提案し、実行する場合の費用は当社の持ち出しとします。これにより外観はより洗練され屋内の利便性も高まります。この仕組みはお客さまに大変喜ばれます。デザイン開発費は「お客様大事」の価値観を反映した仕組みです。同時に社員のデザイン力や提案力を高める「ものづくりの心」の価値観が事業運営に組み込まれたものでもあります。

お客さまに永遠のサポートを提供します。

施工主様と節目ごとにつながり、お困りごとに対応する仕組みが「響倶楽部」です。施工主様がご加入いただける会員クラブであり、施工主様の安心のくらしをサポートするために住まいに関するお困りごとにお応えするサービスを提供しており当社の競争優位性になっています。ほんの一例ですがちょっとした建具を直す、年齢を重ねたお客さまが脚立に乗れないので蛍光灯交換をさせていただく、エアコンの修理などのメンテナンスや家族構成の変化に伴う間取りの変更の相談などにも迅速に対応しています。お抱え大工のように何でも相談され頼られる存在としてかゆいところに手の届くアフターサービスを提供しています。

自律・創発・協働の組織を創りたいと思っています。

これらの競争優位を生かし永続するために当社は自律・創発・協働の組織を創りたいと思っています。
自律・・大きな方針や方向性をもとに自らの頭で考え、問題の発見と解決ができる
創発・・環境変化や組織状況の変化を感じ、基本戦略を柔軟かつ機敏に実践できる
協働・・それぞれが独立した人材・集団がともに活動する中でプラスのシナジーを生み出すことができる

株式会社玉家建設 代表取締役会長 神 亮一様肝になるのは幹部のレベルアップです。
創業の精神を行動に移し影響力を発揮できる幹部を増やしていきたい。「一寸上げ」の精神や「お客様大事」「ものづくりの心」「地域貢献」は言葉だけでは曖昧なものです。これらを現場で行動に落とし込むことが必要になります。

一寸上げからの一遍 一寸上げからの一遍

たとえば華やかなネイルをつけた女性社員や今風のおしゃれなあごひげを生やしている男性社員がいるとします。そのファッションはダメではないしプライベートでは好きな格好をしても良い。「だけど、うちの会社の方針とは違うよ」と言ってその社員の行動を正せるかどうかです。また営業や工事の部署で「お客さまの言うとおりにしました」「設計通りに施工しました」という態度を示す社員に対して、「もし自分の家だったらどう思うか」「自分の家だといろいろ気になりさらに良い提案が出てくるのではないか」と問いかける働きかけです。部の統括をしている社員には気づく、言う、正すという振る舞いを通して価値観を体現し、さらには後進を指導できる人材としての意識を持ってもらっています。

大手住宅会社との競争が激しくなるなか、強みを生かしていこうとすると、大手にはないかゆいところに手が届くサービスや金沢の地場企業ならではの提案力が重要です。そして社員1人1人の人格が問われます。オリジナルの家づくりは、顧客の生活スタイルに合わせた動線のシミュレーションから、家具の配置、あるいは金沢の四季と調和した陰影を意識した軒先の設計など、細やかで丁寧なやり取りが続く「対話の積み重ね」です。相手の立場にたって考えられる人材や、協働する中でプラスのシナジーを発揮できる人材、変革を実現できる幹部を育てていく必要があると思っています。

今後への期待

BConには気づきを与える役割を期待します。

3つの価値観「お客様大事」「ものづくりの心」「地域貢献」を大切に実践していけば60周年、70周年は万全だと思っています。そのため創業からのDNA継承の支援をBConに期待しています。戦略は都度変わったとしても大切にしている価値観は変わりません。社員全員がこの価値観を心底理解していることが望ましいのですが、理想と現実がイコールということはありません。日々朝礼で「一寸上げ」を読んでも、ことあるごとに会長・社長が伝えても頭で分かっているだけということもあります。

株式会社玉家建設 代表取締役社長 神 和成様よくオリンピックやメジャーリーグで活躍する選手をみて、「素晴らしい偉業だ」とか、「大きな感動をもらった」と言う社員がいますが、仕事も同じことです。お客さまに感動していただける経験をしているはずなのに、意外と身近な感動には気づかない。舞台が異なるだけで、コツコツ地道な努力をしていることが偉業につながっていることに気づいてもらいたい。そこで、外部からの刺激が重要になります。BConには外部から気づきを与える役割を果たしてもらいたいです。第3者が関わって気づく体験にはインパクトがありますから。

2012年に社長も創業者から2代目に代わりました。今後の組織の在り方としては社員全員が自律・創発・協働を理解している組織、一人のリーダーが引っ張るというより、一人一人が推進力を持つような新幹線型の組織を目指しています。創業のDNAを大切にしながら仲間と一緒になって地域に愛される会社になっていきたいという思いがあります。BConには人と組織の専門家として、引き続きタイミング良い支援をよろしくお願いします。

担当コンサルタントより

 玉家建設様とBConは30年以上のお付き合いになります。特に2000年以降は創業精神、理念の実践化を大目的として、人材育成、組織開発のお手伝いをさせて頂いています。
社員の皆さんは、会社の理念や価値観(お客様大事、地域貢献、ものづくりの心)をとても大切にされています。まさに自律・創発・協働の組織運営を実践されていると思います。「自分は理念や価値観を理解できているかどうか、行動できているか」といったことに関心を持って日々仕事をされているのが玉家建設様の強みです。そういった想いがお客様や協力会社の皆様に伝わり、地域から支持され続けているのだと思います。こういった価値観を時代に合わせて継承していくのは簡単なことではありませんが、皆さんが一丸となり懸命に組織運営にあたっておられます。

 私どもがお手伝いする時は「何を大切にされているのか」「何を目指されているのか」「何に関心を持っておられるのか」といったことに心を寄せています。その上でBConのテクノロジーを組み合わせて人材育成や組織開発を展開しています。時には厳しいことも指摘させていただきますが、お互いオープンな関係を築けていることが組織の変化に繋がっているのだと実感します。
今後60周年、70周年に向けてさらなる成長に寄与できるよう尽力させて頂きます。

編集後記

取材時に最も心に残ったことは、「家族との時間や自宅の庭先にある木を眺めるなど身近に感じられる豊かさ、そのための住まいづくり」という会長・社長のお言葉でした。家を作る先にある豊かさや幸せづくりを実現している素敵な会社を取材させて頂きました。
現状に満足せず高みを目指す社員の方々の挑戦は決して簡単なものではないと思います。理念や価値観を分かっているからこそ可能なチャレンジがあるのだと思いました。
BConは講義だけではなく、グループでの実習や、体験的に気づきを得るエクササイズまた実際の事業を題材に理念浸透や価値観の共有を展開する取り組みを多く提供しています。ハイレベルな目的やビジョンに向かって理念や価値観を浸透したい、そのような課題をお持ちのお客様、ぜひご相談ください。

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