※BCon おむすび通信は、JAグループのお客さま向けにご案内している内容です。JAグループ以外の方もご覧いただけますので、ご興味がおありでしたらぜひご覧ください。
JAグループの皆さまに「組織と人」の観点から旬な情報をお届けします。
ここ数年でJAの再編を計画している都道府県が多いとお聞きします。
昨年の記事になりますが「農協、23道県再編で4割減計画 『県に1つ』12県に」(日本経済新聞 2016年1月10日)と報じられました。記事は、各都道府県の中央会への聞き取り調査により、まとめられたもので47都道府県の半分にあたる、23道県で再編を計画していると書かれていました。
これまでもJAの合併は行われてきましたが、行政区域を超えた広域合併がさらに進み、県内1JAの体制に再編予定の県もあるようです。全国のJAの数が、2016年1月時点から約4割減るようです。
弊社では、JAを含めて多くの合併組織の融合のお手伝いをしてきました。JAグループに限らず、同じ業界であっても異なる複数の組織が1つになることは、容易なことではありません。実際、合併後に相談を頂くケースが多々あります。
JAグループの組織から合併直後によくいただくご相談は以下のようなものです。
・合併の相乗効果が生まれない
合併して財務的には健全化したが、経営や事業に対する方針が一元化されず、相乗効果が産み出せていない。
・方針が徹底されず、連携が取れない
本所の方針が支所に徹底せず、連携がとれない。本所と支所が物理的、心理的に遠くなってしまった。
関わりが事務的になり、各部門間の調整も難しくなった。
・制度や組織構造は変えたが、人の意識や文化が変わらない
合併に伴って事業部制にしたり、人事制度を変更したりして、組織構造や制度を見直したが、職員の意識や行動がこれまでと変わっていない。合併前の組織それぞれの考え方や文化があり、合わないために摩擦が起きてしまっている。
上記の課題を持つ、合併組織の組織の課題を整理していくと、多くの場合、合併が決まってから新組織の「戦略」や「組織デザイン(組織構造)」「情報システム」を構築することを優先して取り組んでいる反面、「組織文化」や「働く人の感情やモチベーション」については、あまり力点をおいていなかったため、合併後(新組織発足後)に様々な不具合を生じてしまっています。
目には見えない「働く人びとの気持ち」、「組織文化」についても着目し、融合を図ることで、効果的な組織運営や相乗効果を生み出すことが可能になります。戦略やシステム、制度といった、組織のハード面を整えることはもちろん重要ですが、「組織は人なり」というように決めた戦略や業務を実行するのは「人」であることを忘れずに、融合計画を立たられるとよいですね。
合併後うまくいっている組織は、合併をチャンスととらえ、これまでなかなか変えることができなかった風土や慣習を変え、一から組織づくりに取り組んでいます。
BConでは、各組織の状況や課題に合わせて合併組織の「融合」をサポートしていますが、以下のような取り組みが合併組織をお手伝いする際の多い取り組みです。
※セルフエスティームとは、自分を誇りに思い、他者からも充分に認められるであろうという自負心・自尊心のこと。
セルフエスティームの向上により、防衛的行動が少なくなり、活き活きとした個人になるととも、他者とも効果的なコミュニケーションもとれるようになります。
これから合併を控えている組織、そして合併したものの、なかなか組織の融合や相乗効果が図れないという組織の方は、あらためて「人」「組織文化」の観点に配慮した組織づくりができているか、見直してみてはいかがでしょうか。