BCon Info 9月号  国際ポジティブ心理学の大会にみる「幸せ」の作り方(1)

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 ◆国際ポジティブ心理学の大会にみる「幸せ」の作り方(1)◆
┗━━━━━━━━━━━━━  BCon Information  ━━━┛

おはようございます。BCon萩原です。
ポジティブ心理学。マインドフルネスなどとともに、最近目にする情報が増えて
きたとお感じの方も多いのではないかと思います。
そこで、ビジネスパーソンのためのポジティブ心理学の基礎と最新動向をご紹介
します。

7月13日~16日にカナダのケベック州モントリオールで開催された
国際ポジティブ心理学の学術団体、
International Positive Psychology Association(IPPA)の2年に1度開催される
大会に参加してきました。
IPPAの大会は、今年で5回目の開催でした。私自身、3回目の参加でしたが、
年々進化しているように感じます。
今年は約1400名、50か国から参加されていました。参加者は私のように
人材育成に活用しようと考えている人もいれば、個人でコーチングを
されている方、「幸せ」を科学的に研究している研究者、そして、健康にも
影響を与えることが分かってきたので、循環器系の医師の方など多様な方が
いらっしゃいます。

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      ポジティブ心理学とは
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今回どのような発表があったかをご紹介する前に、もしかするとまだなじみの
ない言葉かもしれませんので、「ポジティブ心理学」とはどういった学問なのか
簡単にご説明したいと思います。

これは1998年にマーティン・セリグマン博士(当時アメリカ心理学会会長)に
よって提唱された心理学研究の新しいアプローチです。心理学には大きく
基礎心理学と応用心理学とがあり、それぞれがまた特定分野へと枝分かれして
いきました。私たちがよく聞く発達心理学や認知心理学、社会心理学などは
基礎心理学に、臨床心理学は応用心理学に属します。いずれも人間の心の
はたらきを研究するものですが、中でも臨床心理学は「うつ病」や
「うつ状態」の治療や予防を主な研究テーマとして発展してきました。

しかし、セリグマン博士は次のように考えたのです。

「どのようにすれば、幸せでよりよい人生を送ることができるのか」に焦点を
あて科学的にアプローチすることで、心理学が貢献できることがあるのでは
ないか?

セリグマン博士は「学習性無力感」の研究で有名な研究者でした。これは、
犬を使った実験で明らかになったものです。電気刺激から逃れられない状況に
置かれた犬は、逃れられる状況になっても逃げようとはしないそうです。
ここから「無力感や無気力は生まれつきのものではなく、学習されたものだと」
という知見が導かれました。無気力が学習できるならば、その学習の棄却や
「ポジティブさ」も学習できるのではないかという希望が出てきます。

ネガティブなことばかりの世の中だと思い、将来を悲観していると人生に
対する満足度や充実度は上がりません。近年では、「一瞬の幸せ」ではなく
「長い時間での幸せ」を意味する”Well-being”という概念が注目されています。
ポジティブ心理学は将来に希望を見出し、今に集中することで”Well-being”へと
近づくための科学的アプローチを提供します。

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    日本でもポジティブ心理学が注目される背景
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私は7年前にポジティブ心理学に出会いましたが、その頃日本ではまだあまり
有名ではありませんでした。
ですが、ここ数年でポジティブ心理学に関する書籍も数多く出版され、翻訳本
だけでなく日本人の研究者や実践者による書籍も出てきました。このように
注目されるようになったのには3つの背景があるのではないでしょうか?

社会的背景:物質的な豊かさよりも心理的な豊かさを求める人が増えてきた。
3.11以降特にこの傾向が強まったと感じますが、人とのつながりを大事にする
方が多くなっています。震災後、結婚する人が増えたといった記事をみたことも
あります。

組織的背景:不確実・不連続の事態が起こる経営環境下、組織が持続的に発展
するために、一人ひとりが充足感を得て、自らの幸せを満たす組織作りが求め
られている。人材不足の中、優秀な人を引きつけるための組織の条件として
働きがいや充実感を得られる組織が注目されています。それと共に、幸せや
ポジティブさを感じる組織の方がイノベーションが起こりやすい、あるいは
組織の変革が迅速に進むことも分かっています。

個人的背景:「健康で長生きしたい」「ストレスを軽減したい」「人とよい
関係を築きたい」といった、よりよい人生を送るためのアプローチや「失敗から
素早く立ち直りたい」「やり抜く力を身につけたい」といった業績成果に影響を
与えるアプローチが注目されている

リンダ・グラットン著の「LIFE SHIFT」(2016 東洋経済新報社)で2107年には
先進国の半数以上が100歳よりも長生きするという話があります。もしかすると、
80歳まで働くことが求められる時代がきてしまうかもしれないのです。
そうした時にやはり気になるのは、健康寿命です。ポジティブさが健康に与える
影響は今年のカンファレンスでもトピックス的なテーマでした。

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  発見!「幸せ」はがん予防・アルツハイマー予防に効く
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「エピジェネティクス」ということばをお聞きになられたことはありますか?
私は今回のカンファレンスで初めて聞いた言葉でしたが、これは遺伝子の
発現パターンが環境によって変化するということを表しているそうです。

遺伝子と言えば、親から受け継がれた「変化しないもの」と信じていたのですが、
その発現パターンは分子レベルで変化し、人間の健康状態に影響を与えているの
だそうです。

カリフォルニア大学ロサンジェルス校の医学・血液腫瘍学が専門のスティーブン・
コール博士は「幸せ」も遺伝子に影響を与える環境要因になるという発表を
されていました。

これまで博士は「ストレス」が高い人を研究し、遺伝子の発現について研究を
されていたそうです。その結果、社会的に孤立している人は炎症を生じさせる
遺伝子が活性化し、免疫やウィルス抗体の産出に関する遺伝子が不活性化する
ことが分かったそうです。
この遺伝子はCTRA遺伝子群と呼ばれていて、慢性的な炎症を引き起こす特徴を
持っています。アルツハイマーや動脈硬化を引き起こしたり、免疫力や
ウィルスへの抵抗を低下させたりする遺伝子群です。

この遺伝子群が活性化してしまうストレスが高い人は病気になりやすいという
ことになります。それでは、「幸せ」はこの遺伝子群にどのように影響するので
しょうか?驚きの研究結果が紹介されましたので、次回ご案内いたします。

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