【新聞連載】第3回 職場の生産性を向上させる規範づくり 『自動車ディーラーの人と組織づくり』

”お客さまから選ばれる組織づくり、人づくり”について、4月19日からスタートした日刊自動車新聞の連載も3回目となりました。株式会社ビジネスコンサルタント(BCon)が持つテクノロジー、ノウハウやお客さまの声をもとに情報発信をしておりますので、ぜひご覧ください。

第3回のテーマは、「職場の生産性を向上させる規範づくり」です。内容をご覧になりたい方は、5月10日付の日刊自動車新聞最終面、もしくは下記をご覧ください。

※過去の記事をご覧になりたい方は下記からご覧ください

 

新聞記事では、職場環境の中にある「暗黙のルールや慣習」を表す「規範」が人間の行動に大きく影響していることをメッセージしましたが、もう少し詳しくこの「規範」について解説してみたいと思います。以下の「生産性のカギを握る『規範』をご覧ください。

日刊自動車新聞への掲載内容(オリジナル版)

第3回「職場の生産性を向上させる規範づくり」

朝は「おはよう」と挨拶し合い、何かをしてもらったら「ありがとう」とお礼を言います。こうした行動は人として当たり前となっている社会的ルールですが、集団の中ではその構成員のみで共有されるルールがあります。これを「規範」と言います。

例えば、店舗では「ここでは納車取引は○○することになっている」「ここでは営業は○○し、○○はしないものだ」など、なんとなくそういうことになっているルールが規範として存在しています。これらの規範は、毎月の有効面談件数、サービス入庫、平準化の進捗度、ミーティングなど、あらゆる面で店舗ごと、部門ごと、職場ごとに形成されていて、個々人の行動、ひいては業績や生産性に強く影響を及ぼします。

人は社会的な生き物なので、誰しも仲間外れになることを恐れ、同調行動をとるものです。たとえ心の中に疑問を感じたり、ほかにもいいアイデアがあると思ったりしても、とりあえず周りに従っておくことを優先します。そのため環境が変わり、変化しなければならない局面でも現在の規範に従うことを優先し、変革が進まない可能性を秘めています。人の行動変容をねらうのであれば、個人のスキルや意欲喚起とあわせて、良い規範を形成し、定着させる取り組みが必要です(下図参照)。

「規範」を変えるためには、職場単位で本音を言い合う場を設け、「見える化」する取り組みが必要です。CS向上にしろ、総合営業推進にしろ、その活動に付随する規範を「見える化」し、生産的規範に切り替え変えることで、成果が変わります。この規範に関して「生産性のカギを握る規範」でさらに解説をしていますので、合わせてご覧ください。次回5月17日掲載予定のテーマは「柔軟な行動を支えるセルフエスティーム(自己肯定感)」です。

生産性のカギを握る「規範」

社員が研修を受けることで、一人ひとりの能力や意識を高めることはできますが、集団の変革にはつながりづらいと言われています。なぜならば、下図のモデルのように人の行動は、職場環境(上司のマネジメント行動や職場の暗黙のルール)に影響を受けるからです。この職場環境の中で、良い悪いに関係なく個人の行動に影響を与え、制約する慣習を「規範」と言います。

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環境に合い、成果に繋がる良い規範が根付いているときには、規範の力は個人の力を後押しする追い風になります。しかし環境に合わない昔からの慣習を引きずっている場合、個人の力を押しとどめてしまう結果を生み出すことになります。

それでは、実際にディーラー店舗でお聞きする課題と規範を見直すための職場ミーティングの展開方法についてご紹介します。

参考例:ディーラー店舗でよくお聞きする課題と規範変革のステップ

変革が進まない背景にあるのは……

ディーラー店舗の課題としてよくお聞きするのは「月末に集中しやすいサービス入庫(車検、点検の受け入れ業務)の平準化」や「引き取り納車(お客様の車を引き取りに営業が出向く、或いは納車する際に自宅まで持っていくこと)の削減」がなかなか進まないというものです。改善の必要性を皆が認識しているのになかなか進まないのはなぜでしょうか。

これには、個人の意識レベルの課題と、それに影響を与えている「規範」に原因があります。

個人の意識レベルの課題:ベテラン社員(とくに営業スタッフ)の意識
「サービス入庫負荷の平準化」や「引き取り納車の削減」を目標として店舗に掲げても、ベテラン社員の中には、自分自身のやり方に固執して、店全体でやろうとしていることを後回しにしてしまうというケースが多く見られます。月末にサービス入庫が集中しないように、月初にお客様を促進しなくてはと頭では分かっているけれど、これまでの自分の行動パターンをとってしまいがちです。

また「昔から引き取り納車で車検をだしてもらってるから、今さら来店をお願いしたらお客さんが離れていってしまう……」と理由づけして、店舗が示す方針よりもこれまでの慣習や安定したお客様との関係を壊したくないという個人の気持ちを優先し、意図的に行動しないというケースが多いようです。

 

「行動を変えない」ことを許す規範の課題

たとえ店全体が目標を掲げていても、それに合わせた行動にならないのはなぜか。

それには、個々人の意識の中に「別に行動を変えないのは自分だけじゃない。みんなそうしているじゃないか」という認識がベースにあり、その“変えない”という意識がその場を構成しているメンバー全体に共有された行動になっている=規範化しているということが挙げられます。「わかっているけど、変えない、やめない」という行動が職場に定着してしまっているとも言えます。

規範を改善するための一歩 改善に必要な新しい規範を皆の合意でつくる!

改善の妨げになる規範を見直し、切り替えていくには、その場を構成しているメンバー、一人ひとりが本音で議論し、合意納得の下で新たな行動ルールを設定し、お互いに律し合うことが欠かせません。メーカーで決めたこと、本社が決めたルールには所有感を持てず、他人事になってしまいがちです。行動を変革するためには、自分たちのための行動ルールを自分たちで設定することが重要です。

 

変革に見合う行動ルールを自分たちで設定し、定着させるための進め方

1.自分たちで新しい行動ルール(ガイドライン)を作る

皆が納得する行動ルール(ガイドライン)を設定するには、まずは一人ひとりが本音で語っても安全だと感じられる場づくりと、本気で変革に取り組む姿勢を互いに示すことがポイントです。そのためには時間をかけて議論する必要があります。店長を含めた幹部をはじめ、営業スタッフとサービススタッフの全員が参画して、納得づくのルールを設定することで改善がすすみます。

例:以下のようなことを本音で話し合い、変革したい課題に対して影響を及ぼす行動が何か議論し、行動ルールを決めます。

・「サービス入庫負荷の平準化」「引き取り納車の削減」が本当に必要と思うか、その理由は何か

・ それらを実現したときのメリット・デメリット

・ 今実現できていない理由はないか、本当はどうしたいか など

 

2.出来上がったガイドライン(5~7項目)をみんなが見えるところに張り出す

ガイドラインは5~7項目を想定して作成します。皆で納得したガイドラインを常に意識できるように、みんなが見えるところに張り出します。作って終わりではなく、意識して行動するためのものだからです。

 

3.常にお互いで意識し、できているか、いないかをチェックし合う

自分を含め職場メンバーが選択している行動がガイドラインに沿っているかを意識することはとても重要です。

そして後輩であっても、先輩がガイドラインを守らない行動をしていたら、その時、その場で指摘することが大切です。お互いがお互いを律することが常になり、規範変革が始まっていきます。

 

4.1ヵ月後には、誰がそのルールに則って行動しているか全員で投票し、明らかにする

実行度合が1カ月すると如実に現れます。こうしたフィードバックを通じ、最初は様子うかがいで見ていた人も本気で取り組まなければ…という意識になり、行動変容が期待できます。そして職場の大多数の行動が変わってきていれば規範変革が起こっている証拠です。この流れを作ることが重要です。

 

5.1ヵ月に1度、全員チェックを行い、3か月後くらいにはガイドラインの見直しを行う

ガイドラインは、不変ではありません。望ましいルールを追加したり、定着した行動を省いたりして、常に組織を前進させていきます。

こうした行動の繰り返しの中で、変革を阻害する規範が排除され、促進する規範が定着していきます。その場は主体性ある行動に溢れ出し、お互いの声かけも活発になっていきます。なかなか変革が進まないなと感じたら、職場で行動ルールの見直しをしてみてはいかがでしょうか。

 

もし自社内でこの変革を推進していくことが難しいと感じた場合は、弊社までご相談ください。変革のご支援をさせていただきます。

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