BCon Info 2月号 働く人を支えるサステイナビリティ視点のマネジメント

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2016/2/23━━━┓
 ◆働く人を支えるサステイナビリティ視点のマネジメント◆
┗━━━━━━━━━━━━━ BCon Information ━━━┛

 

2月3日にストックホルムでThe Natural Step主催のサステイナビリティとリーダー
シップに関する国際会議が開催されました。
会議には、カナダやイスラエル、中国など世界各国から企業のCEOなどリーダー
167名が参加しており、驚いたことにノーベル賞の授与式にTVでお見かけしていた
スウェーデン国王も列席されていました。
スウェーデンは国として「サステイナビリティ」や「リーダーシップ」への関心が高く
CEO自ら、またリーダーシップを発揮する立場の方々が積極的に議論する場があるん
ですね。

その時の写真はこちらから↓
http://www.bcon.jp/news/news_news/report_sweden/

 

今回はThe Natural Stepと一緒にサステイナビリティに取り組んでいるスウェーデンの
不動産会社「VASAKRONAN(ヴァーサクローナン)」のオフィスを見学して学んだ
サステイナビリティを支えるオフィスデザインとリーダーシップについて書いてみたいと
思います。

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  ◆ 新しいオフィス空間の形とは ◆
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VASAKRONANはスウェーデンだけで事業展開している不動産会社で、スウェーデン人
なら知らない人はいないくらい有名な企業だそうです。
事業規模としては、2,500,000㎡(東京ドームだと50個分)のオフィスを扱い、
1040億スウェーデンクローナ(1兆4560億円)の売上を上げていてヨーロッパの
不動産業界の中でも大きい部類に入ります。

今回はBConと提携しているNGO団体のThe Natural Stepの紹介で広報兼IT担当役員の
Peter Ostmanさんの案内でオフィスを見学する機会を頂きました。

オフィスに入った瞬間から、開放的で明るい雰囲気が感じられます。
案内されて歩き回ってみると、部屋や空間のバリエーションの多さに驚きました。
なんと、部屋のバリエーションは35種類もあるそうで目的によって、縦横無尽に
使い分けられています。
そんなオフィスですが、CEOですら個室を持たないスタイルで仕事をしていると
言うので部屋がないのに、CEOの居場所をどうやって知るのかな?と思って
質問してみると、オフィスの中心近くにある大きな電子ディスプレイに案内
されました。
そこには、オフィス全体の見取り図が描かれていて、誰がどこにいるのか一目瞭然で、
さらにはその人が話しかけたり相談したりできる状態なのかそのステイタスが色で
表現されています。
もちろんCEOもすぐに見つけられ、ご挨拶することが出来ました。

見学では、とても活気があり、生産性も高く、多様な働き方に応える職場環境が提供
されていることが分かりました。

では自分の会社がこんなオフィスやシステムだったらどうだろう?とちょっと想像して
みましたが、あちこちから様々理由をつけて反対の声が出そうだな・・・と容易に
予想できました。
かくいう私も、書類が山積みの机なので、フリーアドレスに変えると言われたら
相当な抵抗感があるのです。
見学するだけなら楽しくて良いのですが、実際このオフィスを実現するためには
オフィス家具を変えたり、レイアウトを変えるといったハード面のことだけではなく、
沢山乗り越えないといけない壁がありそうです。

それでは、このようなオフィス環境を実現できた戦略とリーダーシップとは
どのようなものなのでしょうか?

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  ◆ 秘訣は働く場所のデザイン戦略 ◆
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見学しながら担当の方のお話を聞いていくうちに、様々なことが分かってきました。
これまでに15,000人もの企業幹部クラスの方々が見学されていると聞いていたのですが、
その人気の秘密は、「働く人々のサステイナビリティ」を戦略的に実現させるような
マネジメントをしているからだったのです。

まず、VASAKRONANは働く場所のデザイン戦略が明確です。
それは、「リーダーシップ」「ITソリューション」「ワークプレイスデザイン」の
3つの領域を変革する戦略です。
これらが三位一体となって初めて仕事とビジネスを効果的に発展させ、人が生産性を
高められるといいます。

そして、これを実現させるために大切にしている5つのポイントを教えて頂きました。

1.リソースのシェア(Shared resources)
  空間やモノや人の透明性を高め、リソースをお互いにシェアして活用しあう文化
  をつくる

2.バリエーション(Variation)
  空間の種類のバリエーションは、“仕事の種類と生産性”を考えて必要な種類を
  用意する

3.いつでもどこでも(Mobility)
  オフィスのどの空間にいても、自宅でも、ITを使って自分のPCにアクセスできる
  ようにして、PCを持ち歩かずに仕事ができる環境を創る

4.雰囲気(Ambience)
  職種ごとに違う雰囲気や、仕事環境を大切にする

5.信頼(Trust)
  従業員を信頼して、自由な環境を作ってもサボらずに生産性を上げると信じる
  ことができるリーダーシップの発揮

VASAKRONANはこの5つのどれが欠けても上手く機能しないので、進化させながら、
100%実践できるように努めているそうです。
そして顧客がワークプレイスのデザインをどうするか考える時に、これが実現される
ようにチェンジマネジメントのコンサルテーションも事業の1つとして行うように
なっています。

「サステイナビリティ」というと、地球環境の側面に配慮するといったイメージが強い
と思いますが、The Natural Stepの考えでは、「人間社会」に対するサステイナビリティ
も欠かせないとメッセージしています。
まさに、この働く人の生産性や働き方を考慮したマネジメントは人間社会に対する
サステイナビリティの取り組みだと感じました。

組織や集団といった社会システムが持続可能な状態になるには、「信頼」が欠かせません。
信頼がないと本来の機能が果たされなくなったり、余計な精神的ストレスがかかったり
して弱体化していくことが最新の研究でも分かっています。

そして、組織が存続するためには次の要素が担保されるようなマネジメントが求められます。

・人の健康が維持されていること
・お互いに影響力を与え合えていること
・自らの能力が発揮される機会があること
・公正、公平さが担保されていること
・仕事やその組織、集団にいることの意味や意義を感じられていること

ダイバーシティや働き方の多様性が求められている今、組織の戦略や人材育成などの
意思決定において、それが働く人のサステイナビリティの観点からどのような意味を
もつのか、上記の要素を充実させることになるのか見直すポイントとして有効な考え
だと思います。

今回の見学では、単に制度を創ったり、オフィスのデザインだけで解決できることは
少なく、前提にあるマネジメントの考え方や組織文化の全体をみて変革していく
チェンジマネジメントがこれからの競争力を高める大切な要素になっていくと学習する
機会となりました。

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