2014年6月発行 BCon Info6月号 変わりたいのに変われない、本当の理由(1)

5月の初旬から下旬にかけて、アメリカで開催された2つの会議に参加
してきました。
ワシントンD.C.では「ASTD」というトレーニングや組織開発に携わる
各国のプロフェッショナルが集まる会議、ミシガン大学ではポジティブ・
ビジネスをどのように実践していくかを研究する大学教授や経営者の集ま
りでした。

私自身が2つの会議で感じたメッセージは

「potential(潜在力)」

です。

人や組織、ビジネスがもつ潜在力を引き出して、よりよい未来を築こうと
いうポジティブなメッセージを受け取りました。

まだまだ限界なんかじゃない。
これからも人や組織はよりよい世界・社会を創り出すことができる。
その能力が人間にはまだ眠っている。
組織もビジネスももっと変わることができる。

そんな勇気が湧いてくるような会議でした。

今回は、その会議の中で話を聞いた、アメリカ滞在中に参加した「ハフィン
トンポスト」のCEOで編集長であるアリアナ・ハフィントン氏の講演をきっ
かけに人間学習や成長について感じたことをご紹介したいと思います。

【参考】ハフィントンポスト 日本語版
http://www.huffingtonpost.jp/news/hafintonposutonipponban/

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   ◆ 一生懸命になる行動に隠された罠  ◆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

一般的に「成功している人」は、

・睡眠時間を削ってでも一生懸命働いている
・ワークとライフはトレードオフ関係だと信じている
・タスクを同時にこなすタフさがある

と信じられているとハフィントン氏は講演の冒頭で語りました。
皆さんは如何でしょうか?

私は、一生懸命働いて、とにかく忙しくしていることが
“良い”ことだとなんとなく思っていることに気付きました。
一方で、これだけ忙しく頑張っているんだから、いつかは報われる(成長
した自分がいる)だろうと心のどこかで思っています。

本当にそうなのでしょうか?

ハフィントン氏は、科学的な実験のデータを元に、これを否定しました。

 ■睡眠不足の状態では、まっとうな判断ができない
 ■仕事ばかりしていると、本当に自分がしたいことを考えられない
 ■人生と仕事に遊びの要素を取り入れると生産性があがる

つまり、ハードワークする人が成功すると思われているが実はそうではなく、
人間らしく、人生を充実させることも成功の要素の1つであると言っていま
した。

とはいっても、科学的データを示されても、なかなかいつもの仕事の
パターンは変えられないものです。
実際に睡眠時間を増やそうと思っても、どうしたら時間が捻出できるのか想
像もつかないな・・と思ってしまいました。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
   ◆ 実は気付いていない本当の目標  ◆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

30年間大人の学習や行動とマインドの変容を研究しているハーバード大学の
ロバート・ケーガン博士は、自書の中でこのような研究を紹介しています。

生命の危険にさらされるような生活習慣病の改善を専門医から警告された時
実際に自分を変えられる人はなんと、7人に1人(たった15%)だという研究
です。

私の先輩も生活習慣病だと指摘されているのですが、ある日一緒に食事した
時にこんな事を言っていました。

「痩せないといけないことは分かってるよ。
 だから、これまでも沢山の流行のダイエットを試してみた。
 これだけ色んなダイエットをしたことがあるのは自分くらいだろう。
 ここまで来ると、ダイエットは趣味の領域だね。」

それなのに一向に体型が変わる様子がないので、またさらに尋ねてみました。
「なぜ、ダイエットしているのに変わらないんですか?」

「毎回、リバウンドしちゃうんだよね。
 だって、食事をすることが人生の楽しみだから。ついつい目の前の幸せに
 飛びついちゃうんだよね・・・
 みんなと食事してると楽しいし」

「・・・・」

この先輩のような状況は一見意思が弱い人だからということで片づけられな
いと、ケーガン博士は言っています。
そして、以下の4つの観点で状況を整理することを勧めています。

(1)改善目標 (2)阻害行動 (3)裏の目標 (4)強固な固定概念

たとえば、先輩の状況はこのように表現できそうです。

(1)改善目標:体重を○○KGまでおとす
(2)阻害行動:外食が中心
(3)裏の目標:皆と楽しく食事をして過ごしたい
(4)強固な固定概念:楽しくなくちゃ人生じゃない

変わりたいのに変われないのは、意志力の問題ではなく、(3)の裏の目標を満
足させている(2)阻害行動が原因という風にみることもできます。
そして、その背後には(4)強固な固定概念が潜んでいるのです。

たとえば、私の睡眠不足が改善されない状況は次のように表現できるかもしれ
ません。

(1)改善目標:睡眠時間を増やす
(2)阻害行動:仕事と勉強と友人と会う時間を減らせない
(3)裏の目標:忙しくしている自分を褒めたい
(4)強固な固定概念:忙しい人こそが頑張っている人

本当は睡眠時間をとって休んだ方が、仕事の生産性があがると知ってもなかな
か変えられない。
本当は痩せないと病気になるとわかっていても痩せられない。

どちらにも、強固な固定概念が邪魔をしてなかなか変わりたくても変われない
という状況は共通したものでした。

目標に掲げた行動をとるように一生懸命頑張ることも大事ですが、その裏にあ
る、裏の目標と強固な固定概念の存在に気付くことが、学習し成長するための
第一歩だということですね。

次回はどのようにしたら、行動そのものを変えて、自己成長につなげられるの
か、そのポイントをご紹介したいと思います。

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