2013年5月発行 BCon Info 5月号 見えないものをみる力、気づく力、変わる力


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2013/ 5/27━┓
   ◆ 見えないものをみる力、気づく力、変わる力 ◆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━ BCon Information ┛
 
 
先日、あるオーナー企業の三代目社長のお話を聞く機会がありました。
その企業は、長年トップダウンで、経営者が組織を引っ張ってきた企業で
す。
 
社長自身は子供の頃から、両親はもちろんのこと、会社の従業員も自分が
経営者になることを望んでいるし、それが当たり前だと思って育ってきた
と言います。
 
しかし、社長になってみて自分の思い描いていた会社とはあまりにも違う
矛盾だらけの同族経営会社だと感じ、なんとかトップダウンの文化から、
ボトムアップ型の文化に変えようと努力されたそうです。
 
始めに制度を変えました。そこを変えれば体質が変わると思ったといいま
す。同業種のリーダー的企業が導入していた職務資格制度が素晴らしいと
思い、導入しました。
しかし実態はモノマネでしかなく、制度資料の企業名を自社の名前に付け
替えただけのハートの入っていないものだったと、振り返っていました。
つまり「俺が組織を変えてやる」という考えが強すぎたのです。
 
社長は、その後長年にわたる試行錯誤の上で「自分が変わる」「社員と
自分の関係性が変わる」「社員同士の関係が構築される」、そこから協働
する組織文化が構築されるという変革を経験されました。
 
この社長のお話を伺って、“組織文化を変える、協働する組織をつくる”
と号令をかけるのは簡単ですが、本当に気づく必要があるのは「まず自分
から変わっていく」ということだと改めて気づかされました。
 
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   ◆ 見えないけれど大きく影響しているもの ◆
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組織文化や職場の規範を変えようと思った時に、おさえるべき観点は2つ
あると言われています。
 
1つは「コンテント」です。
今、この職場メンバーは何をやっているのか、何について話し合っている
のかということです。会議での議題やテーマ、内容など目に見えるもの
で、環境の変化に合わせて変えやすいものと言われています。
 
もう1つは「ヒューマンプロセス」です。
職場メンバーはどのような状況か、どのようなことが起きているかという
ことです。これは人と人との関係で、コンテントとは違い、目に見えにく
いものです。目に見えにくいために、変えにくいものでもあります。
 
冒頭の社長のお話しを例にすると、“職務資格制度を変えた”というのは、
「コンテント」を変えたということです。
目に見えるものは変えたけれど、そこに“ハートが入っていなかった”と
社長は言っていました。
つまり「ヒューマンプロセス」の面に目を向けられていなかったのです。
 
そこで何が起こったかというと、社員からの「また、社長が何かやってい
るよ」「社長がやっているんだから、文句は言わないけれど、現場は違う
よな・・・」という反応です。
 
会議など で、「何が起こったか」と聞かれれば、話された内容や決定事
項などを答えるのが通常です。
しかし、そのような内容面とは別に、実はその職場メンバーの成長と将来
に大きな影響を与えるもう1つの大切な面について答えることもできます。
 
その会議でのメンバーの満足度や、参加する姿勢、他のメンバーとの関わ
り合いなどです。気づいていても、気づかなくても、意識していても、意
識していなくても、「ヒューマンプロセス」は存在しています。
 
組織文化や職場の規範を変えるには、この「ヒューマンプロセス」に気づ
いて、状況を判断し、効果的な関わり方をするにはどうしたら良いかを考
慮して自分の役割を定める必要があります。
 
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   ◆ 一番気づきにくい自分の影響 ◆
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思ったように変わっていかない組織に対して、もどかしい思いをした社長
ですが、ある異業種交流に参加して、気づいたことが2つあるそうです。
 
1つは、「私はサラリーマンですが、真剣に会社を良い会社にしたいと考
えているんです!」という発言を聞き、もしかしたら我が社にもそのよう
な社員がいるんじゃないか?自分はそのような社員の声を聴いたことが
あったか?信じたことがあったか?ということです。
 
もう1つは「上司が悪い、社長が悪い、他部門が悪い」と言っているサラ
リーマンも沢山いたことです。
もしかすると、自分自身がそうなっているのではないか?どうやって社員
を変えようかと、その手段ばかりを考えていたという気づきです。
 
ここで社長はこれまでの、なぜ「会社」は変われないのか?なぜ「社員」
は変われないのか?という問いからなぜ「私」は変われないのか?に思い
至ったそうです。
 
ここから本当の意味での風土変革が始まったといいます。
 
社長は、社員から意見があがってくるまで待とうと決めました。
そしてまずは、ヒューマンプロセスを大事にした取組みとしてオフサイト・
ミーティングから始めたそうです。
 
最初は会社への不平不満、愚痴ばかりが出てきて、聞くのも嫌になったそ
うですが、そのうち「話を聞いてもらえた」「他部署の話がきけて新鮮だっ
た」という意見が出始め、変化が現れてきました。
その後、そのオフサイト・ミーティングから出てきた自主的なカイゼン・
ミーティングが始まりました。
社長が「ありがとう」と声をかけると、社員から「社長に言われてやって
いるわけではないですから。自分たちが自分たちのためにやっています。正
直疲れますけど」と笑って答えたそうです。
 
「変えてやる」ではなく、「自分を変える」ことから生まれる変化は、劇
的な変化は生みません。しかし、短期的に変えることができない変化であ
るからこそ、他社には真似できない競争優位につながるのだと思います。
 
BConの提供している組織開発は、このプロセスをサポートするサービスで
す。自分自身、そして、組織、集団を緩やかに、しかし競争優位高い状態
に導く変革をこれからも支援していくサービスを提供していきます。
 

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