2013年4月発行 BCon Info4月号 リーダーとフォロワーの響きあう関係


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2013/ 4/23━┓
    ◆ リーダーとフォロワーの響きあう関係 ◆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━ BCon Information ┛

もうすぐゴールデンウィークに入ります。今年は東京が賑わうとニュースになって
いました。
東京駅舎のリニューアルや、新しい商業施設の開業など、次々にリニューアルして
いく都心は、リピーターを獲得するエンターテイメント施設に必要な3要素を満た
しているそうです。

 1.立地の良さ
 2.知名度
 3.ユニークな施設とその新陳代謝

東京は巨大なエンターテイメント空間になっているのかもしれませんね。

私は今、「人を活かす再生」をすることで有名な星野リゾートに、休暇を利用して
一度行ってみたいなと夢想しています。

『星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?』
 (中沢康彦、日経BP社、2009)
 
を読んでいると、ドキュメンタリーを見ているように鮮やかにスタッフの顔が浮か
んできて、「行ってみたい!」という思いが強くなりました。

この本を通じて感じるのは、星野社長の経営手腕はもちろんですが、際立っている
のは現場で働く社員・スタッフたちが本気を出すと、次から次へアイディアが生ま
れ、対話の場が創造と実現の場へと変わっていくということです。

今回は、コミュニティ経営に必要な
「スタッフの本気を引き出すリーダーシップ」と「強いフォロワーシップ」につい
てご紹介したいと思います。

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     ◆ 本気を引き出すリーダーシップ ◆
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星野リゾートに「リゾナーレ八ヶ岳」(旧リゾナーレ小淵沢)という施設がありま
す。
“RISONARE”とは「響きあう」という意味を持つそうですが、私にはこの施設の再
生の過程そのものを表すように感じました。

星野社長が再生スタート時にまず実施するのは「コンセプトづくり」です。破綻を
経験したスタッフからメンバーを募り、「コンセプト委員会」として組織化し、一
緒に作り上げます。

会議の中で浮彫りになったのは、スタッフが感じていた違和感でした。
破綻前には、「若いカップル」をメインターゲットにしていましたが、ファミリー
層の宿泊客が増えているというスタッフの実感がありました。
しかし、市場調査の結果は「若いカップル」をメインとするのが正しいと示してい
ます。

この矛盾する意見が出てきた時に、星野社長は何を見たのでしょうか?

 「ファミリー層をターゲットにするプランを語るときのほうが、メンバーの表情
 が明らかに生き生きしている」

スタッフは心の中で、ファミリーを大事にしないといけないと思っていたのです。

星野社長の会議に臨む姿勢はこのように前述の本に記述されています。

 「星野は何より議論をじっくり聞く姿勢を取った。そしてメンバーに対してと
 きどき、「それって本当?」と尋ねたり、「もっと具体的にしてみよう」「では、
 どうしますか」と促したりした。星野はメンバーが自分たちでコンセプトを考え
 るための手助け役に徹していた。「こういうコンセプトで行け」と指示すること
 はなかった。
   あくまで議論の主役となって考えるのは、リゾナーレのスタッフ自身だった」 

星野社長は一人ひとりの人間としての表情や感情を読み取り、ファシリテーター役
に徹していたようです。
これがスタッフの本気を引き出すリーダーシップ(サーバントリーダーシップ)だっ
たのではないでしょうか。

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       ◆ 強いフォロワーシップ ◆
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こうして経営の軸となるメインターゲットは、ファミリーに決まりました。
そこからさらに、対話を重ね「大人のためのファミリーリゾート」という際立った
コンセプトが実現されました。

しかし、どれだけ立派なコンセプトができても具現化されなければ意味がありませ
ん。この再生を成功させたのは、星野社長のリーダーシップだけではないようです。

星野社長が反対したのにも関わらず、スタッフが押し切って実現したサービスがあ
ります。
冬場に落ち込む売上げをなんとかしようと現場のスタッフが考えたのが「キッズ・
スキーレンタル無料」というサービスです。

結果的に、これが冬場の売り上げ回復の起爆剤となりました。

ここから見えるのは、「大事だと思ったことは自分たちで担う」というフォロワー
の能力です。

このような場面をよく見かけませんか?
リーダーの提示する案を批判しながらも、自分たちも代替案が提案できない。「代
替案が提案できない」時に自分たちの無力さを思い知ることになります。
実際には、自分の弱さを受け入れられず「リーダーに能力がない」と批判者になっ
てしまいます。

そのようなフォロワーだと星野社長のサーバントリーダーシップに対して、「リー
ダーにはビジョンがない」という批判で終わっていたかもしれません。

「大事だと思ったことは、自分たちで責任を持って担う」という覚悟をもったフォ
ロワーがいてはじめて、良いコミュニティができるのだと思います。

前回のメールマガジンで、メンバーの共感を呼ぶ「思いのレベルが高くなる」魅力
あるテーマ創りには、メンバーとともに「これしかない」と思えるまで話し合う場
づくりが必要だとメッセージしました。
前回のメールマガジンはこちら↓
http://www.bcon.jp/mailmagazine/2013-03-27-12-00.html

そのような場づくりは、リーダーだけでは到底できないものです。そこには、フォ
ロワーの存在が欠かせません。
リーダーと共鳴し、響きあう関係になるフォロワーとしての能力が求められます。

人生の中でリーダーの役割を担う時間よりも、圧倒的にフォロワーとしての役割を
担う時間が長いという現実があります。
65歳までの雇用延長の時代になり、役職定年後には賢いフォロワーになってほしい
と考えている組織も多いと思います。

これからは、フォロワーとしての能力や能力啓発にも注目が集まる時代になりそう
です。
 

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