2013年2月発行 BCon Info2月号 日本型コミュニティ経営をバージョンアップせよ 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2013/ 2/26━┓
 ◆ 日本的コミュニティ経営をバージョンアップせよ ◆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━ BCon Information ┛

おはようございます。

おかげさまで、BConは2014年2月に設立50周年を迎えます。
2013年は、節目に向けた大事な年「50周年イヤー」として、様々なことに
チャレンジする年と位置づけております。
お客様への感謝をあらわすとともに、共に学びあう場づくりを企画して
います。
その第1弾のイベントとして、「ヘンリー・ミンツバーグ教授特別セミナー」
を開催しました。

ミンツバーグ教授の経営論の特徴は、戦略、分析やリーダーシップを重視
しすぎるマネジメントを批判し、現場で培われた経験、学習や直観などを
大切にしているところです。

今回はヘンリー・ミンツバーグ教授に教えて頂いたことと、セミナーを通
じて感じたことをご紹介します。

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   ◆ 日本の経営スタイルの本質とは ◆
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「私は1980年代に成長を続けた日本企業の経営のファンです」

ミンツバーグ教授のセミナーはこのような発言からスタートしました。

日本のいわゆる「失われた10年」(20年?)は、アメリカ型の経営を導入
したことによるものではないかとミンツバーグ教授はいいます。
短期的な利益追求、トップダウンの戦略、成果主義、賃金格差・・・こん
なことでは、日本も米国同様にマネジメントも経済も崩壊する!!と語気
を強めて危機感を示しました。

そして、かつてHondaが北米のモーターサイクル市場で大きなシェアを獲
得し、成功した時の事例を引き合いに出しながら、日本の経営スタイルの
本質について語られました。

ボストン コンサルティング グループ社(以下BCG)が英国政府から依頼
され、Hondaの成功の秘訣を調査分析したところ
 ・成長性とマーケットシェアを獲得する緻密なマーケティング戦略が功
  を奏した。
 ・コスト競争力のあるポジションにあった。
といったものが列挙されたそうです。

これこそ、アメリカ型経営に特有の見方が反映されているといいます。

『ジャパニーズ・マネジメント』(講談社刊、1981年)を執筆した経営学
者のリチャード・パスカルは、BCGの調査報告に疑問を抱き、Hondaの幹部
や社員にインタビューをしたそうです。

そこで明らかになったのは、

 ・明確な戦略もなく
 ・暗中模索の中
 ・選択の余地がない状況で
 ・試行錯誤を重ね
 ・現場で起こっていることを学習して、売るものを変えた

その結果として成功したという、日本型経営の姿でした。
これは素晴らしい戦略を描けるトップがいたからではなく、現場での暗黙
知や直観が共有され、戦略に反映させられるように日本の組織がコミュニ
ティとして機能していたことが本質だということです。

しかし、ミンツバーグ教授は「1980年代の日本型経営に戻れ」とはいいま
せんでした。
むしろ参加者に対し問いかけながら、アメリカ型の経営を真似するのでは
なく、「新しい日本型コミュニティ経営を追求してほしい」と言っている
ように私には感じられました。

それは、どのように考えたら良いのでしょうか?
新しい日本型コミュニティ経営を考えるには2つの鍵があるように思います。

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 ◆ 組織は「人」なり ってどういうこと? ◆
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1つは、「人と組織」の捉え方です。

セミナー中、ミンツバーグ教授から投げかけられたとても印象的な言葉が
ありました。

「People are human resources」
「I am a human being. Are you a human resource?」

「人」が組織そのものであるとはよく言われることですが、「人」と聞い
てイメージされることは様々なのかもしれません。

”資源としての人” なのか ”人間としての人” なのか?

「The organization as a collection of human resources」
「The organization as a community of human beings」

組織は ”人的資源の集積” なのか ”人間のコミュニティ” なのか?

皆さんはどちらをイメージされますか?

ついつい「人的資源の効果的活用とは?」という議論をしてしまいがちに
なりますが、このように考えた時点で、本来の人間のいくつかの側面を切
り落として考えてしまうことになります。

組織をコミュニティとして捉えるとどうでしょうか?
そこは生活の場であり、学習する場であり、いろいろなことが政治的にも
絡み合っていて、人間活動のあらゆる営みが渾然一体となった場です。
そのため「組織図」という1つの見方からだけでは、組織を把握することは
できません。

コミュニティとしての組織とは、価値を創造する個人同士のネットワーク
で、情報や知識や感情が流れています。
そこでのマネジャーの役割は当然、機械を管理するようなものではなく、
生身の人間への働きかけそのものだと言えそうです。

マネジメントは論理の側面ももちろん大事なのですが、同じくらいに感性
も大事になります。
感情などの人間性の部分を一切無視して、論理的な部分だけで何かを考え
ても、人やコミュニティを動かすことは到底できないでしょう。

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    ◆ コミュニティを創る核とは? ◆
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もう1つは”コミュニティ”はどうやって創られるのか?ということです。

バブルが崩壊するまでの日本の組織には、意図せずに機能していたコミュ
ニティがあったように思います。
右肩上がりの経済成長に支えられ、長期雇用/年功序列に守られた中で、
分かりやすい一様の価値観に基づき、意図的に創らなくてもそこにはコミュ
ニティが存在していました。

今の日本は、組織のフラット化や成果主義の導入により、職場の社会的関
係が失われ、仕事が個人につき、IT化により直接経験することで得られる
学習機会が喪失されたと言われています。
つまり、コミュニティが成立する要素が「効率化」の大義名分のもと失わ
れたのです。
これは、日本でビジネスをしている私たちの方がミンツバーグ教授よりも
体感しているところですね。

それでは、日本の組織にコミュニティを取り戻すにはどうしたら良いので
しょうか?
その答えはミンツバーグ教授にもありません。

ミドル層の厚い組織体を復活させるという過去と同じ組織状況に戻すこと
はすぐには難しいですし、組織図をどう描くかという問題でもないと感じ
ます。

以前、職場の先輩からあるメーカーの研究所の話を聞いたことを思い出し
ました。
先輩は「現場から創発的にアイデアが出なくなった」という問題意識をも
つ研究所に対して、アイディア出しの会議を部門横断的に実施するファシ
リテーションを担当したそうです。
創発(改善提案 現場から提案)を生み出すには通常のラインマネジメント
とは別のコミュニティ(組織図にはない、アイデアと熱意を持った集まり、
場)が必要であることをその研究所の方は理解されて実施していたとい
います。

ここで大事なことは「部門横断的」で「熱意をもった」「場」があるとい
うことではないでしょうか。

現代は、組織図に捉われず、もしくは、会社という単位にさえ捉われず、
目的に応じて柔軟にコミュニティを作ることができます。
そのコミュニティはテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その
分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人の集団です。

そのようなコミュニティ成立に必要な核としては次のようなものが考えら
れます。

 1.テーマ(人々が参画したくなるテーマ)
 2.熱意のあるリーダー
 3.Face to Faceでコミュニケーションする場

人を惹きつける、参画したいと思えるテーマ設定はコミュニティが成立す
るかどうかの大きな要素の1つです。
そのテーマに取組み、解決できた時に、一人ひとりが喜ぶ顔が想像できる
ようなテーマをどう設定するかが重要です。

さらに、そのテーマに熱意をもって、自分事として解決したいと真剣に考
えるリーダー(役職問わず)によってそのコミュニティが自律的に持続す
ることが可能となります。

そして、お互いに対する信頼感、連帯感を生むためのFace to Faceのコミュ
ニケーションの場を設計することが必要です。加えて掲示板のようなバー
チャルな仕組みと関係づける仕掛けをします。

このようなコミュニティを創るマネジメントとは、現場に近いところにい
る熱意あふれるリーダーを見つけ、そのリーダーの持つテーマを中心とし
たコミュニティづくりの支援と、短期的にあれやこれや成果を求めすぎず
に自律的にコミュニティが動けるようにすることではないでしょうか。

BConでは、引き続き「新日本型コミュニティ経営」の実践に必要なマネジ
メントについて研究していきたいと思います。

ヘンリーミンツバーグ教授セミナーレポートはこちらからご覧ください。
http://www.bcon.jp50th/20130218seminar.html

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