キャリア・ポテンシャル診断とは
キャリア・ポテンシャル診断
キャリア・ポテンシャル診断は、高い成果を出していくために必要とされるコンピテンシー(個人的属性)の現在の発現レベルを理解するための診断です。高い成果を出していくためには、どのようなコンピテンシーを啓発する必要があるかを理解することに役立ちます
キャリア・ポテンシャル診断の2つの側面
「キャリア・ポテンシャル診断」は、他の個人診断と違い、個人の特性を明らかにするだけでなく、その会社に所属する人材の全体像を明らかにする組織の人材傾向を診断する側面も持っています。
個人診断の3つの焦点
個人診断では、何を診断するかについて大きく3つの焦点を当てています。
(1)「行動パターン」
(2)「思考様式や好み・価値観」
(3)「無意識の自己イメージや性格・気質」
一般的な個人診断は、この3つの内2つの組み合わせで作られています。
LIFO診断の焦点
例にあげると、LIFO診断は(1)「行動パターン」と(2)「思考様式や好み・価値観」の組み合わせからなっています。
(1)「行動パターン」の診断とは、その人がどのような行動を繰り返しているか、具体的な行動を類型化・一般化したものです。
それだけではなく、特定の状況に直面した時、どのように考え、思考するかという(2)「思考様式や好み・価値観」を組み合わせ、診断の精度を高めています。
(LIFOでは、思考様式や好み・価値観を「人生に対する構えや重要と考える価値観」として4つのスタイルに分類しています。)
キャリア・ポテンシャル診断の焦点
キャリア・ポテンシャル診断の焦点は、(2)「思考様式や好み・価値観と(3)「無意識の自己イメージや性格・気質」の2つに焦点を当てています。
(3)「無意識の自己イメージや性格・気質」は、行動や思考に対して大きな影響を与えますが、普段は意識化されないものです。「無意識が自分の行動や思考にどのような影響を与えているか」ということは考えられないし、自分で認識することもできません。そのため、「無意識だから、質問しても応えられないのではないか」という疑問が沸きますが、ある特定の状況において、本人がどのような気持ちを抱くかを聞くことで、医者の問診のように心の内面を推測しています。
「性格や気質が、行動に影響を与えるのは理解できるが、自己イメージ(自分のことをどのように捉えているかということ)がどのように行動に影響を与えるのですか?」という疑問を良く聞きます。
人は、動機や欲求があれば、即座に行動に移るほど単純ではありません。「行動した結果、自分の希望する成果が得られる」と考えれば行動に移るでしょうが、「行動しても、希望する成果は得られないだろう」と考えれば、行動には至りません。
この考えの違いは「動機」研究の期待理論にある「本人の主観的確率」の違いといえます。主観的確率とは「本人が成果を得られると思う確率」にたいしての思い込みです。これには「自己イメージ」が大きく影響を及ぼしています。
例えば、「自分は今までどんなに厳しい条件でも成果を出してきた。だから、自分はやれると思ったことは大抵できる人間だ」という自己イメージ(一般的に『自信がある』といいます)を持っていると、行動に移る可能性が高くなります。
逆に、「できると思っていても結果として上手くいかないことが多い。だから、自分は運がない人間で、うまくいく確率はきわめて低い」という自己イメージを持っていると、行動に移そうとはしません。
このように自己イメージは、思考の基礎となり、思考そのものに影響を与えるため、「性格、気質」と同様に扱っています。
キャリア・ポテンシャル診断では、(2)「思考様式や好み・価値観」を「知的属性」と「対人関係属性」に、(3)無意識の自己イメージや性格、気質を「自己内面属性」と「基本動機」とに分類し、これら4つを総称して「属性」と呼んでいます。(「属性」については後述」)
キャリア・ポテンシャル診断とコンピテンシー研究との関連
キャリア・ポテンシャル診断は、「ハイパフォーマーをどうやって育てるか」、そのためには「何を啓発する必要があるか」を明らかにするという目的で開発しました。
そこで注目したのが、デビッド・マクレランドの1973年の論文「コンピテンスをテストする」を皮切りとしたハイパフォーマーのコンピテンシーの研究です。
「知識やスキルがあれば高いパフォーマンスが生み出されるという仮説は成立しない」「(達成指向のような)基本動機がハイパフォーマンスを生む出す重要なファクターである」というコンセプトを基礎にキャリア・ポテンシャル診断を設計しました。
コンピテンシー研究
マクレランドは、1960年代に10年かけて当時のインドにおける小企業の成功者と非成功者の違いをTAT(絵画統覚テスト)により調査しました。TATは、「対象者にある絵を見せて、その人の頭に浮かぶストーリーを語ってもらう」という心理テストです。その結果、成功者は非成功者と随分異なる物語をつくりました。(この研究結果は、『The Achieving Society』の表題で出版されている)
起業家で成功した人達にある絵画をみせてストーリーを作らせると、次のような要素が共通に見られました。
| ストーリーの中にあるもの | ストーリーの中に無いもの |
|---|---|
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ここからハイパフォーマーは目標を成し遂げることにモチベートされると結論づけ、それを「達成指向」とネーミングしました。(マクレランドは、もともと人間の「動機」について研究をしていました)
これをきっかけとして、どのような属性があるかという研究が盛んになり、現在も諸説が発表されています。
スキルと属性の関係
トップマネジメントや組織の長のハイパフォーマーは、「ビジョンを設定して方向性を示す」という事を実務的におこなっています。
高いパフォーマンスを上げるためには、単にビジョンを設定するだけでなく、「ビジョンそのものが戦略的に優れていて、同時に社員にとって魅力あるものである」ことが重要で、それを社員に説明し、納得させ、その気にさせる必要があります。
そのためには、事業戦略立案のスキルだけでなく、ビジュアル的に表現し、説明するプレゼンテーションスキルも求められます。
しかし、「戦略を効果的に策定できるか」「プレゼンテーションの組み立て方が上手いか」等の細かなスキルを診断しようとすると、具体的に業界や企業ごとの個別性を考慮する必要があるため、その項目数は莫大なものとなります。
キャリア・ポテンシャル診断では、これらのスキルの推進力や土台となる行動の特性(属性)に焦点をあてます。たとえば、複雑なことを分かりやすく表現する「概念的思考」や、人々の好みや関心事を即座に理解できる「対人感受性」などです。
知識やスキルの開発期間と属性開発の期間
知識やスキルは短期間に身につけることが可能ですが、土台となる基礎的な能力(属性)は、身につけるのに時間がかかります。属性の開発はキャリアステージの早い段階から始めることと、様々な仕事を通して開発することが重要になります。
個人は、今後期待される役割やキャリアの方向を定め、啓発すべき属性を明確にし、開発することが求められます。
また、今すぐに特定の属性を持つハイパフォーマー予備軍が必要な場合は、その属性を持っている人を探す(判断する)ためのアセスメントとして本診断を使うことができます。
セルフアセスメントなので、あくまでもサブツールとしての位置づけですが、診断の信頼度を上げるために、「ライスケール(lie scale)」というデータ記入の信頼性を示した数値を出すようにしています。
~ハイパフォーマーモデルと自分のスコアーを比較することで啓発ポイントを発見~
ハイパフォーマーを育成すると言ってもいろいろな役割やパフォーマンスの上げ方があります。そこで、具体的なケースとしてハイパフォーマーの典型モデルを6つ準備し、そのハイパフォーマー人材像モデルと自分のスコアーを比較します。
そうすることで、自分が目指す具体的なハイパフォーマーになるためにどのような属性を啓発すべきかを明らかすることができるようになります。
6つの人材像モデルの設定
1999年~2004年にかけてお客様の依頼を受けて作ったハイパフォーマーのコンピテンシーモデルの中から延べ約50モデルを抽出し、分析の結果、6つの人材像を設定しました。
この6つの人材像は、組織の中で実際に高い成果を出している人達の典型的な役割やタスク、活動やそのスタイルを要素に用いて分類しました。
基礎となったデータは、組織の中で継続的に高い業績を出し続けている上位3%~5%以内の人々を調査して作られています。よって通常95%の人々は目指す人材像の要件を全て満たすことなく、不足要素が明確になります。
人材像を定めることにより、目標とする人材像とのギャップを埋める能力啓発に活用することができます。

組織全体の人材を診断する
本来は企業ごとに事業戦略や外部環境、組織の状況によって求められる人材像は異なります。しかし、これを各企業単位で固有に定義し、それに基づいて該当人材を調査するのは非常に手間と時間がかかります。
そこでキャリア・ポテンシャル診断で設定している6つの人材像モデルを汎用版として活用すると、自社の求める人材像イメージが設定できます。また、診断で人材の実態を年齢別や職種別、階層別等に分析していくと、人事戦略や人材開発戦略の基礎データとして活用することができます。
6つの人材像には優劣はありません
6つのそれぞれの人材像は、全てハイパフォーマーなので優劣はありません。自社として6つの人材像の中で「どの人材が不足しているか」あるいは、「今後不足してくるか」を明らかにし、不足人材を育成していくことに活用できます。
参考
「診断」と「アンケート」の違いは?
診断は、自分で記入する際にその結果が「良い結果になるか」「悪い結果になるか」を簡単に予測できません。そして、他者の診断結果から影響を受けないのが特徴です。
360度フィードバックなどのアンケートは、個人の特定の行動について「実施しているか」「実施してないか」ということを明らかにするので、自分が記入した結果は予測できるものです。しかし、自分の記入したスコアーが相対的に全体の結果から高いか低いかと判断されるので(他者の診断結果から影響を受ける)、自分のスコアーが同じであっても、その意味が変わり、全体の結果は予測できないものです。そういう意味で、アンケートはその結果に基づいた診断が可能になるといえます。
「ライスケール」とは
意図的なスコアー操作を牽制するためと、不注意や誤入力による診断結果の信頼性警告のために「ライスケール」を0点~100点の範囲で算出するようにしています(55点以上はスコアーの信頼性が乏しい可能性あり)。
ライスケールの計算方式は、1つは診断のための質問とは別にライスケール判定用の質問を複数準備(分からないように混入)し、その回答間の結果に矛盾があるような場合に点数を加点する方式です。もう1つは、各質問のスコアーの数値変化の異常値(相関関係のある質問間の異常乖離)を過去データ解析から得られた基準に照らし合わせて判断し、点数を加算する方式です。キャリア・ポテンシャル診断では2つの結果を合算し、ライスケールの点数として算出しています。

