BConの50周年に寄せて 〜W.ウォーナー・バーク〜

 今から50年前の1964年はまさに記念すべき年だった。アメリカでは公民権法が成立し、ニュージャージーのベル研究所の2人の科学者が宇宙の起源に関するビッグバン説を世に認めさせる研究成果を発表した。またこの年は、組織開発(OD)ネットワークが生まれた年であり、初代フォード・マスタング、今日でもフォード車の中で変わらない人気を誇る車が初めて市場に出た年でもある。そしてそのちょうど同じ年に、日本ではBConが設立された。まさに新しい始まりにふさわしい年であったといえよう。

 私がBConと仕事をするようになったのは、1972年、まだ設立から8年目で、会社は若く、活力に満ち、才能もあり、目的意識を持った社員で満ちあふれていたときだった。当時で、BConが8年も営業し続けていたということ自体が、意義深く素晴らしいことであった。少なくともアメリカ国内においてはほとんどの会社が、5年も続けば大したものだといわれていたのだから。このBConがいまや50周年を迎えたということは、世の中でたった1〜2パーセントの企業にしかできないことを成し遂げたといえよう。創業初期の頃、そして今にいたるまでBConが成し遂げてきた成功の多くは、創業者の1人である吉田輝生氏のリーダーシップ、そして会社の存続にとって鍵となる要所に、適切な人材を選び据えてきた彼の能力によるものだと思う。

 BConと仕事を始めた頃、この仕事が長期にわたるものになりそうだとわかり、私は日本語を勉強しようかと思うと吉田氏に言ったことがある。その私に吉田氏は「必要ない」と即答した。彼の私への期待は明確だった。そしてこう続けた。私の役割は、BConに組織開発の最新の理論や専門性を授けることであり、そのためにこそ時間と労力を費やしてほしいのだと。私が日本語など学ばなくても、翻訳ぐらいはBConでできる、と吉田氏は言った。このようにして、私たちの関係は築かれていった。私とBConとの仕事は大きく二つの時期に分けて説明できるように思う。第一期には私が日本を訪れて、BConの組織開発プログラムを実施した。あの頃はだいたい年に2回日本を訪れていただろうか。プログラムに参加するのは、BConの顧客と、BConのコンサルタントを務める社員たちであった。そのうちにBConのコンサルタントがこのプログラムを実施できるようになり、私の支援を必要とせずに実施できるようにするのが、第一期の私の仕事だった。BConがODプログラムを独自に実施できるようなり、私たちの関係は新たな段階、第二期へと進んだ。

 私はBConの顧客に対してODコンサルティングの最新の理論や技法について教える2日から3日間のセミナーをやらせてもらうことになった。もちろんこのセミナーにはBConのコンサルタントも参加したが、ときに100名にも上る参加者の大半は、BConの顧客であった。これらのセミナーを行う際に、私は組織開発の分野で様々な経験と専門性を持つ学者仲間を伴うようになった。数多くいるそれらの同僚の中には、組織開発という分野を切り開いた一人であるリチャード・ベックハード、「アビリーン・パラドックス」で有名なジェリー・ハービィ、私と同じくコロンビア大学の教授でMBTIを世に送りだしたロジャー・マイヤーズ、深い自己理解の重要性を教えていたハービィ・ホーンスタイン、それからずっと後にはリーダーシップ研究の第一人者であるウォーレン・ベニスなどもいた。

 この第二期の関係の中で、私はLIFOやFIRO-Bなどといった競争優位性ある「武器」もBConに紹介した。私の開発したバーク・リットウィン・モデルももちろん、BConが顧客組織を診断しデータを収集するやり方を学ぶ上で役立ててもらった。吉田氏は、コンサルタントたちがこれらのツールやテクニックを顧客先で使う前に、まずは自分自身に応用し、体験することを常に主張した。

 BConの会社名に「ビジネス」という言葉が入っていることからもわかるとおり、BConのコンサルタントたちは、私や他の組織開発の専門家から学んだツールやテクニックを何よりもビジネスの実践に役立てることを使命として取り組んでいた。それでいて、私がこれまで教えてきた数多くの人よりも深い関心を持ってこれらのツールやテクニックの背景にある理論や研究を学ぼうとしてくれたことがうれしかった。私は科学と実践の両方を信奉してきたからだ。

 市場ニーズと製品やサービスの不一致、長期的な将来視点にそぐわないテクノロジー、あるいは不適切な資金の運用ということによって多くの事業体が失敗してきたことは事実である。しかし、事業失敗の最も大きな要因は、むしろ経営能力の欠如や、必要なときに発揮されなかった強いリーダーシップにあるのではないか。会社を危機にさらすこの後者の要素こそ、BConが最も得意とする事業領域、つまり、組織が成功するための人的要因──人間の側面(ヒューマン エレメント)の改善と向上である。どんな事業であれそこに人が介在するかぎり、人の問題は存在する。だからこそ、BCon自体も常に変革し機敏であり、才能ある社員を採用し、長期的視点で彼らを育成しようとしている。この取り組みが、次の半世紀も継続していく会社の将来の礎を築いていくのである。

 BConの新たなる門出を祝して…乾杯!

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