オムロン株式会社技術本部

鉄は熱いうちに打て ! ~ 入社後3年間の「人間力向上プログラム」

“われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう”という社憲を掲げるオムロン株式会社(以下オムロン)。それまで無かった自動改札機やATM(現金自動預金支払機)を創り出し、それらが今では私たちの生活に深く根づいていることが、その実践の結果といえます。

技術本部はオムロンのコアコンピタンスである「センシング&コントロール」技術の最強化と次世代コア技術の創出に取り組んでいます。技術本部にお ける人財育成方法は特徴的で、採用後の3年間はラインではなく技術人財開発室に所属するという体制をとっています。同体制をとっているのはオムロンの中で も技術本部だけであり、他社でもあまり例が無いといえるでしょう。
BConはその3年間を通じて人財育成の基軸となる「人間力向上プログラム」のお手伝いをさせていただいています。今回、ご担当の技術本部 技術人財開発室 室長 福島 善彦様にお話をお伺いしました。

なぜ技術本部では採用後の3年間、社員を技術人財開発室に所属させることにしているのでしょうか

技術本部では、複雑性・多様性が増す時代の中でグローバリゼーションの波に対応できる技術人財の育成が急務と考え、2008年に技術人財開発室を設立いたしました。
当時の技術人財に対する課題認識は以下の通りでした。

  1. 企業人としての基礎力が低下しているのではないか
  2. チャレンジ精神の低下や個人の成長にバラツキがあるのではないか
  3. 複数の専門領域や高度のマネジメントが出来る技術者が必要になってきているのではないか

お客さまから要求される期待値も非常に高くなってきており、これから迎えるオムロンの100周年を支える技術人財を育成するためには、技術者といえども、今まで大切にしていた「技術力」に加えて「事業化力」、「人間力」の更なる強化が必要です。そこで、それらを強化するための、きちんとしたプラットフォームを造ろうと考えました。

ラインに所属すると業務が主になる(業務を遂行する力をつけるための育成は従になる)ことは当然です。そこで、あえて所属は技術人財開発室とし、入社してから3年間は育成のための手段として業務(テーマJOB)を与えているという図式にしました。
 

もちろん体制だけではなく、テーマJOBを担当するラインのマネージャとの連携と協力は欠かせません。ラインのマネージャは各メンバが担当するテーマJOBを通して、メンバの「技術力」をOJTで強化三位一体します。 同時に、技術人財開発室のマネージャと連携し、「事業化力」や「人間力」の研修での気づきを「テーマJOB」で実践を通して身につける指導も行います。メンバ本人とテーマJOB担当マネージャ、人財担当マネージャの3者を結ぶのが「研修実践活動シート」です。 研修受講後にメンバが設定した実践目標や、その実践結果に対して、両マネージャがそれぞれの視点からアドバイスし、三位一体で「協育」しています。育成プログラムというOff-JTと「テー マJOB」というOJTの実戦的なPDCAサイクルで、技術人財としての基本的な能力を向上させていくという仕組みです。
これらのプロセスが、メンバが人財として芽を出す3年間となります。

「人間力向上プログラム」の内容についてお聞かせください

「人間力向上プログラム」は技術本部のみで実施している研修で、3年間を3つのステージに分けています。
ステージ1. 基礎修得期
ステージ2. 基本動作確立期
ステージ3. 業務遂行能力基礎確立期
メンバは基本的に毎月一回、金曜日を「人間力向上プログラム」の日として研修を受講します。
 
各ステージには到達レベル(テーマ)があり、毎月の研修がそのテーマに即した人財レベルに到達するためのステップになっています。どのステージも自己理解→他者理解→集団理解と自己への気づきというステップで進み、ステージが上がるごとにその難易度も上がります。

「技術力」は、日常の業務に取り組むことで自ずと鍛えられるので特に心配はしていません。「事業化力」は入社して3年くらいでは本当の「力」として発揮す ることは難しいので、実用レベルに達するというよりは、その基礎を身につけてくれたら良いと思っています。基礎があれば、困った時にどうすればよいか、が わかるからです。
 

しかし「人間力」は芽が出るだけではなく、成長することまでを期待しています。例えば本人が力不足であってもそれを補うために周りの力を借りられる、言い換えれば人とのつ成長ステージながりや関わりが持てる、ネットワークを張ることができるという力は、業務的な知識や経験に関係なく修得・発揮できるからです。
また、人によっては集団の中でリーダーシップを発揮することが得意な人もいれば参謀的な役割を発揮するほうが向いている人もいるでしょう。大切なのは自分の特性を理解し、チームや組織の生産性を上げるために何ができるか、何をすべきかを考え、行動できることです。
メンバそれぞれにどのような芽が出るかは、各自の個性や置かれた環境で変わってくるでしょうが、早いうちに自分の特性を把握してもらえれば、と思っています。

研修を受講しているメンバの反応を教えてください

メンバは入社した時から研修を受講しています。人間力を含め、学習した内容について「あたり前」のことと思っているでしょうから、自分にどれだけの力がつ いているか、を認識するのは難しいと思います。しかし、日常的に接する機会の無かった方がご覧になると、例えば議論の際に相手の話をきちんと聞き(受 信)、自分と異なった意見であってもそれを認めた上で、自分の意見・言いたいことを相手に伝える(発信)ことができている、またそういったプロセスを通じ て横の連携がとれていることから、メンバ同士の一体感を感じられるようです。技術本部技術人財開発室室長 福島善彦様

3年間の中で上下の世代をまたいだ合同研修も実施しています。私たちの目から見ても同期とその上下2年くらいのメンバ同士は非常に仲が良く、コミュニケー ションがとれています。技術本部にいる人間は真剣に仕事をすればするほど、どうしても自分/自部門の領域を深く掘り下げ、視野が偏ってしまう恐れがあるの ですが、このメンバは3年間かけてお互いに知り合っていきますので、部門間の人的連携のための起爆剤となると思います。
また、メンバも人間ですから働いているうちに行き詰まりや悩みが出てきます。その際にお互いが良い相談相手になっているようです。メンバには海外の人もい るためランゲージバリアや文化の違いによる誤解もあるようです。しかし、きちんとしたコミュニケーションを取る事によってその違いを知ることができるた め、より深い相互理解につなげられているようです。

BCon、コンサルタントへの評価・期待することを教えてください

我々はオムロンの社員ですので、オムロンという枠の中でものを見て、考えています。
BConは職業柄、いろいろな業種・会社とおつきあいがありますので、オムロンがどのように見えるか、他社はどうしているのか、といった比較や情報をいた だければと思っています。当然、その中にはオムロンにはフィットしないものもあるでしょうが、選択するのはこちらの仕事ですので、クールにいろいろぶつけ ていただければと思います。
また、技術人財開発室のスタッフはもともと技術職であり、人財開発のエキスパートではありません。どうすればメンバにより効果的な研修を提供できるのかを考えていますが、BConにはプロとして実際にメンバが育つための提案とメニュー及びサービスを期待しています。

 

※オムロン株式会社ではManager, Memberなど“er”で終わる英語の普通名詞をカタカナ表記する場合、末尾の長音符「ー」を省略するルールを採用されているため、本文においてもそのルールを適用しています。
ex. 「メンバー」→「メンバ」

※「技術本部」は2012年4月より「技術・知財本部」に名称変更しました。本原稿は2012年3月のインタビューに基づいて作成されました。

オムロン株式会社(京都府)
オムロン株式会社PLC(programmable logic controller/制御装置)などのFA(システム)機器、制御(システム)機器、電子部品を中心とする大手メーカー。一般消費者には体重体組成計 (体脂肪計)の「カラダスキャン」や体温計「けんおんくん」などの健康医療機器で知られる。アメリカ(北米・中米・南米)、ヨーロッパ、アジア・パシフィック、中華圏、アフリカの5エリアを拠点に世界中の都市でグローバルなビジネス活動を展開している。
HP : http://www.omron.co.jp/

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