日本ハム株式会社

「日本で一番誠実」といわれる企業グループを目指して

日本ハム株式会社(以下日本ハム)ではコンプライアンス経営の浸透化に向けて様々な活動を展開しています。1年に1度アンケートを実施し、活動の効果性や企業倫理違反の背景にあるさまざまな要因を可視化しています。

法令違反を「しない風土」「させない仕組み」づくり

日本ハムグループではコンプライアンス経営の徹底を最重要課題と位置づけ、2002年より大幅な組織改革を行なっています。食に携わる一員として、法の遵守はもちろん、高い倫理観に基づ執行役員コンプライアンス推進部長経営倫理室長 宮地敏道様いた公正な経営を実践し、お客さまからの揺るぎない信頼の獲得・維持に取り組んでいます。今回はその推進役である経営倫理室長 宮地 敏道にお話をお伺いしました。宮地は 2002年8月の不祥事発覚直後に立ち上がった社内調査チームリーダーや経営改革室長などを務め、現在に至っています。「コンプライアンス経営は全従業員 で取り組むもので、その基本は各本部で自分たちの手で進めるものです。私はそれを黒子的にサポートするだけです。社長をはじめとする経営幹部の強い思いと 励ましがあって、ここまで進んできました」と語っています。

同グループでは、下記のような独自の「コンプライアンスシステム」を構築し、方針を定め、周知活動を行い、結果をモニタリングして改善していくといったサイクルで展開しています。コンプライアンスシステム

コンプライアンス違反の背景を数値化する アンケート調査

「3.モニタリング」は、翌期の取り組みを検討するにあたって重要なポイントとなります。日本ハムグループでは、1年に1度、パート・アルバイトを含めた全従業員を対象にアンケート調査を実施しています。本調査は岡本 浩一(東 洋英和女学院大学教授)が企画・監修し、BConがパートナーとして実施を担当しています。岡本教授は、JCO臨界事故やJR福知山線事故などで政府の調 査委員を務めた社会心理学者です。違反行為をなくすためには、ルールやマニュアルの整備と併せて組織風土へのアプローチの必要性があることを説いていらっ しゃます。

 

一般的なアンケート調査は従業員の意識や知識のみを質問するため、傾向は分かったとしても何が原因なのかが分かりにくいものが多いものです。原因が明確にならなければ、介入策も有効性に欠けてしまいます。岡本教授はコンプライアンス違反を起こしやすい組織風土を世界で初めて概念として確立し、統 計的に数値化できるツールを開発しました。組織風土やコンプライアンス違反行為、セクハラの発生状況、これまでの活動などを問う質問項目を設定することに より、我が社の傾向と数あるコンプライアンス違反の要因の影響度合いを明らかにすることができます。さらに、高度な統計手法を活用して、それぞれの要因が どの程度コンプライアンス違反行為に起因しているのかを数値で捉えることを可能にしました。


宮地は 「会社を良くしたいと思って答える人の気持ちに応えたい」という思いでモニタリングツールを探していて、岡本教授の考え方を知ったとき「感動を覚えた」と 語っています。「組織が起こす行動の背景にあるものを数値で捉えるということが大変画期的です。一番助かったのは、コンプライアンス違反の未然防止策で す。これまでの活動は、違反につながりそうな現象をいち早くキャッチしてそれをつぶしていくものでした。
 

しかし岡本教授から『それも重要だが、コンプライ アンス経営を浸透させるには、他にも有効な介入策があります。例えば、日本ハムグループブランドが浸透して従業員が我が社に誇りを強く感じるようになる と、コンプライアンス違反の防止にX%影響を与える』とのアドバイスがあり、従来のコンプライアンス活動は押しつけになっていたのではないかと反省しまし た。ルールを作ってそれで縛るよりももっと有効な介入策があることがわかり、さらにその度合いが数値で示されることに感動しました」

アンケート結果をコミュニケーションツールとして活用

アンケート結果の分析により、これまで曖昧だった組織風土やその他の要因が数値で表せる ようになり、コンプライアンス浸透策に反映できるのはもちろんのこと、研修会での討議も具体性が増したと言われています。役員に対しては岡本教授と BConから報告し、その他の層については社内報や職場ミーティングを設けて社内で共有化しています。アンケート結果を題材に職種別・階層別の両方で討議 をするのです。雇用形態は関係なく、一緒に働いている人達で自分の職場や会社について話をします。そのような場でコミュニケーションツールとしてアンケー ト結果を活用しています。

隠し事のない会社をめざして

「コンプライアンス経営を浸透させていくには、規制や行事を数多くすることではありません。大切なのはコミュニケーションの場を作ることと隠し事をしないことである」と宮地は 語っています。「問題のない企業はありません。どんなに防止策を講じていても、勘違いや知らないでうっかりやってしまったりすることは人間誰しもありま す。しかし、利益と天秤にかけることや、社会に隠さなければならないようなことは決してあってはなりません。
 

マイナス情報を一元管理して共有化することが 大事です。マイナス情報を集めて叱るのではなく、再発防止のためにどうするのか、それについて考えることが重要です。皆で情報を共有化し隠し事をしない、 それが第一歩です。今後もアンケート調査で経年変化を見ながら、タテとヨコのコミュニケーションをより密にし、違反をさせない仕組みづくりを展開していき ます。」

日本ハム株式会社(東京都)
日本ハム株式会社ハ ム、ソーセージ、食肉、乳製品、水産、調理食品などを取り扱う食品メーカー。生産飼育、製造加工、物流、販売をグループ内でカバーする。事業所は113工 場(93拠点)、営業所:460ヶ所、研究所:2ヶ所、海外、112カ国32拠点(2006年現在・グループ合計)。従業員数28,104名(2006年 現在・グループ合計、平均臨時雇用者数含む)http://www.nipponham.co.jp/
岡本 浩一
岡本浩一東洋英和女学院大学人間科学部教授。専門分野はリスク認知心理学、行動計量学、社会心理学。JCO臨界事故、JR西日本福知山線脱線事故などで、政府の調査委員をつとめる。主な職歴は内閣府原子力委員会専門委員、国土交通省公共交通に係るヒューマンエラー事故防止対策検討委員会(独)社会技術振興機構社会技術研究システム社会心理学研究グループリーダーなど。

主著に『リスク・マネジメントの心理学』『属人思考の心理学』『職業的使命感のマネジメント』(編著,新曜社)、『無責任の構造』(PHP新書)などがある。

関連ソリューション

「リスク予応型組織風土診断」

コンプライアンス違反の根本原因として考えられる組織風土を中心にした幅広い要因について測定し、診断します

「コンプライアンス推進プログラム」

経営倫理・コンプライアンスを実践するには、各職場での判断力が必要です。グレーゾーン領域における判断力の啓発を目指します


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