三菱化学ハイテクニカ株式会社

安全文化形成のためにマネジメント転換を図った「セーフティウェイ」の取り組み

三菱化学ハイテクニカ株式会社は、三菱ケミカルホールディングスグループの事業会社である三菱化学株式会社と三菱樹脂株式会社の生産機能を独立させた会社として、2009年に各地域の4社を合併し誕生しました。エレクトロニクス材料、アルミナ繊維、記憶メディアなどの機能商品を生産しています。

ものづくり企業としての基盤である「安全文化の形成」を目的とした「セーフティウェイ」に取り組んでいます。この取り組みは「一人ひとりが考え、行動することによるゼロ災害」をめざした大きなマネジメント改革でもありました。

この改革の取り組みの発案者であり責任者の常務取締役 生産技術部部長 岸川啓二様にお話をお聞きいたしました。

セーフティウェイとはどのような取り組みでしょうか

jirei_mcht1.pngこの「安全理念」の浸透、体現する取り組みを「セーフティウェイ」と呼んでいます。

「セーフティウェイ」とは、社員の総意である「安全原則」として行動基準を明示化し、さらに個々の決意である「行動則」を職場で共有するプロセスを通じ、安全理念が一人ひとりの意識と行動まで具現化されている一連のつながりです。トップダウンではなく、社員一人ひとりが考えてやることを決める方法で取り組んでいます。

セーフティウェイに取り組まれた背景やきっかけはどのようなことがありましたか?

合併の一体感の醸成と 真の労働災害ゼロへ

合併から4年目の2012年、合併後の融合を進めるために組織診断を行い、診断結果を踏まえながら経営活動の重要成果領域を検討しました。成果領域の1つが「安全文化の形成」です。合併から4年が経つ中で課題がありました。それは労働災害事故が発生していたことです。

ものづくりの会社として安全は基本であり、また大切な仲間を守りたいという思いが強くありました。マネジメント層からの指示で安全管理の徹底を行い、現場からのヒヤリハットを報告させる仕組みなどもありました。従業員もまじめに取り組んでいました。

しかし、いくらマネジメント層が旗振りをしても、現場が受け身では事故ゼロにはなりません。当社はマテハン(マテリアルハンドリング)職場であり、個々の意識や行動が事故発生に大きく影響する。よって、「いくらトップダウンで管理しても、個々の意識変容までにはいたらないかもしれない。マネジメント層からの管理を強化するだけでは、現場を全く信じていないということではないだろうか」と疑問を持ち続けていました。

jirei_mcht3.jpg従業員一人ひとりが安全について考え、自ら行動できる組織体質にするために「管理から支援マネジメントへの転換」の必要性を社内に問題提起しました。 幹部で議論を重ね、「現場の底力を信じてこれまでの管理というマネジメントをやめよう」とマネジメントの在り方、枠組みをそれまでと“真逆”にした取り組みを始める決意をしたのです。大きなマネジメント転換です。現場を一番知っている現場の第一線の従業員が自ら安全について考え、ルールを決め、自分たちで管理することで安全を作り出せないだろうかと考えました。

具体的にはどのような取り組み内容でしょうか

思いをこめた安全理念の策定

合併融合後の幹部会議には組織診断をお願いしたBConのコンサルタントに入ってもらいましたが、その際、幹部で3つの重要成果領域を決めました。その1つが「安全文化の形成」です。その後、幹部で議論を重ね「安全理念」を明文化しました。

言葉にはこだわりました。「安全を創造する」には、ものづくりをするのは機械や装置ではなく、一人ひとりであるという意味合いを込めています。ものづくりのノウハウの間にある暗黙知を熟知している現場から「安全」を「生産」するという思いを含んだ理念にしました。

トップダウンから支援型マネジメント(エンパワーメント)への転換

jirei_mcht2.jpgマネジメントの前提・枠組みを「支援型マネジメント」に転換するために、 社長含め幹部層で議論し、徹底的に意識改革を行いました。次に、第一線の責任者クラスを各部署から集めた″クロスファンクショナルチーム”を作り、合宿研修を行いました。

「安全理念」を自分たちの言葉で解釈し、多種多様な意見を出し合い、現場に一度持ち帰り「安全原則」の検討を重ねました。その結果、ゼロ則から五則までの″社員の総意″ともいえる「安全原則」を作り上げました。 BConにはチームづくりのファシリテーションやパラダイムチェンジの情報・事例提供を通じての意識づけをお願いしました。

その後、セーフティウェイの推進リーダーを第一線のスタッフ中心に100名養成しました。私もBConのコンサルタントと 一緒に各地を行脚し、一緒になって「安全理念」「安全原則」の意図を伝え、安全文化が現場から湧き上がるには何が必要かを議論しました。
推進リーダーを中心に、全従業員一人ひとりが守る「個人の行動則」を作りました。”個人の決意”です。この「行動則」を 考える過程で、個々がこれまでのものづくりへの姿勢、安全への意識や行動を振り返る大きなきっかけになったと思います。

現在、この「行動則」は、各センター内で共有しています。全員の行動則を職場に貼りだす、集まって宣言する、ポータル サイトに掲載するなど、一人ひとりが発信し、お互いに意見を出し合えるような環境が整いつつあります。 行動則は作った内容も大事ですが、それよりも議論するプロセス(過程)に重きを置いています。このプロセスがあることで自分たちで考え、新しい職場規範を創り出すことにつながっていると思います。

また、ゼロ災害を達成したことや、各自ががんばっていることを賞賛できるよう、報奨制度も新たに設けました。 一日一日の積み重ねが、結果として自分たちの報酬にも加点されることを実感することができます。

取り組みの成果と今後に向けてのお考えをお聞かせください

Safety Way by Innovation
 ~ ゼロ災害の達成 現場からの発信 ~

前述までが「セーフティウェイ」の準備期間でした。2014年度からは本格的な活動に入ります。 ただ、この準備段階で既に「無災害日数」の記録を更新しています。一人ひとりが考え、行動した成果ではないかと思います。また、従業員からは「会社の雰囲気が変わりましたね」「言いたかったことが言えるようになりました」などの声を多く聞くようになりました。現場から主体的な提案が挙がってくるようになりました。 まだ「セーフティウェイ」はスタートラインに立ったばかりですが、従業員の意識が変わることで、職場が変わることの手ごたえを感じています。

安全を基軸に「創造」へ

2014年からは実践フェーズに移ります。実践フェーズでは、仕事を楽しむ個人、職場を作りたいと考えています。安全を創造することは「ものづくりの創造」につながります。

  1. 仕事は楽しくしなくてはならない
  2. 自分で考え、自分で決める
  3. 自分、仲間、会社をあなたが支える

特に、仕事を楽しむことで、達成感、充実感、成長感を得ることができます。 仕事を楽しみ、自分で考え、自分が決めることで参画が高まり、考え続ける文化が生まれます。
これらの考え方の浸透を通じ、更なるパラダイムチェンジの深化を遂げたいと考えています。
そしていずれ組織文化として「安全を創る」組織となれることをめざし続けます。

BConを選んだきっかけと、今後の期待をお聞かせください

jirei_mcht_kishikawa.jpg以前からご縁がありましたが、悩みを雑談から聞いてくれるところから始まり、結果的には期待に応える問題解決提案を持ってきてくれます。

今後への期待ですが、この活動を一緒に見守ってくれることと、さらに私たちが飛びつくようなピッタリとする提案を期待しています。研修形式が多いためラインを集めることには限界があります。現場まで行ってもらったり、「仕事を楽しむ」考え方の浸透を現場が主体的にコーチングできるようなプログラムを一緒に作ったりするなどをしていただきたいと期待しています。
(取材日:2014年3月31日)
(写真:三菱化学ハイテクニカ株式会社 常務取締役 生産技術部部長 岸川啓二様)

三菱化学ハイテクニカ株式会社(東京都)
pic22648.gif機能商品の生産受託事業並びに工場サービス事業
従業員数1,230名
HP:http://www.mcht.co.jp/

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