福岡県花卉農業協同組合 ~人材開発から組織開発へ~

福岡県花卉農業協同組合

  • 組織開発
  • 人材開発

2017年7月掲載

福岡県花卉農業協同組合

福岡県花卉農業協同組合

本所:
福岡県福岡市
事業内容:
花の販売・指導・購買事業
職員:
88名(2016年4月時点)
HP:
http://www.fukuhana.jp/company

[Photo]福岡県花卉農業協同組合 組合旗

福岡県花卉(かき)農業協同組合は花の流通を担う専門農業協同組合です。
福岡県内のみならず沖縄など県外やアジア、ヨーロッパなど世界中の生産者から届く花を一手に引き受け、競り(せり)やインターネット取引によって買い手に届ける卸売機能を果たしているユニークな農協です。しかし若手の育成がうまくいかない、受動的な職員の姿勢にも悩みを抱えていました。そのため福岡県花卉農業協同組合は3年にわたりBConとともに大きく2つの課題に取り組みました。

一つ目は管理職の育成スタイルの変更です。俺の背中をみて学べの親方スタイルから問いかけ、学び促すスタイルへの変更に取り組みました。

二つ目は組織風土の変革です。部署間の交流が無く、受動的な姿勢で都合の悪いことは他責にしがちな組織風土から、部門を超えて協力し、職員自らが組織状況に関心を持って、能動的に自身の行動を変える風土へ移行することにチャレンジしました。

総務部長の櫻木様にBConを活用するに至った経緯や、BConとの取り組み内容、その成果についてお伺いしました。

BConとのご縁のきっかけ

「頼むならBConしかない」と思い連絡を取りました

総務企画部 部長 櫻木 稔洋様

BConとは10年以上前からお付き合いがありました。当時1年がかりで長期戦略の策定を手伝ってもらいました。この時の長期戦略は非常に素晴らしい内容だったと記憶しています。

その後、景気の悪化やリーマンショックなどの環境変化が続き、花の流通量は減少し、市場規模は一気にしぼみました。福岡県花卉農業協同組合は市況をふまえて新規採用を見合わせた結果、自然減により正職員は130人から90人になりました。研修の時間や予算も縮小し、実務を重視する方向に舵を切りました。

2011年度から新卒採用を再開しましたが、職員の多くは50歳前後で、世代間のコミュニケーションスタイルの違いから発生するマネジメント上の課題を感じていました。もともと福岡県花卉農業協同組合の職員は職人気質の人が多く、管理職と部下は親方と弟子のような関係でした。管理職は部下に対して「仕事は見て覚えろ!」「なんでできないんだ!」という姿勢で接していました。

昔の職員は「それも修行のうち」と辛抱していたかもしれませんが、今どきそのようなマネジメントスタイルで関わると特に若い職員は辞めてしまいます。このままでは人が育たないという危機感を持ちました。

福岡県花卉農業協同組合はたたき上げで管理職になった人が多く、実務や現場に精通していても「マネジメント」の学習や実践には問題意識を持っていました。
「当組織の持続と成長のためにはマネジメント人材を育てる必要がある」と組合長をはじめとする役員陣が合意し、予算を確保しました。そしてどこの会社と一緒に取り組むかと考えたとき、一番にBConが浮かびました。10年前の戦略策定を手伝ってもらったときの印象が強かったからです。力になってくれるのはあそこしかないとピンと来たのです。BConへ「相談に乗ってほしい」とこちらから連絡しました。

人材開発を始めるにあたり、まず私自身が公開講座「リーディング・エッジ・マネジメント・セミナー(LEMS*)」を受講しました。そこでBConの考え方やマネジメントについて再確認するとともに最新の知見を学びました。ものすごい情報量と迫力で、率直に言って度肝を抜かれました。そしてマネジメント人材を育成するには、彼らを取り巻く部下や組織そのものの開発も必要だと理解しました。この場で組織開発や人材開発について、どこから着手すべきか、課題を明確にするヒントを得て帰りました。

※参考※ リーディング・エッジ・マネジメント・セミナー(LEMS)詳細はこちら

お取り組み

「研修→組織診断→フィードバック→研修」のサイクルを繰り返しました

LEMS受講後、すぐに着手したのは管理職一歩手前およびなりたて30代、40代職員の研修でした。2013年のことです。

将来の福岡県花卉農業協同組合を背負って立つ人材を育てることが最も大切で組織が変わる肝になると考えたからです。

親方気質の先輩からは教えられなかった管理職の基礎を学ぶために「対人関係」「チーム活性化」「OJTスキル」「創造力」「プレゼンテーション力」などをカリキュラムに盛り込みました。
こうして管理職としての基礎を一年かけて染みこませていきました。

同時に現在の組織状況を把握するため組織診断を取り始めました。職員全員に対して「目標」「仕事の進め方や分担」「上司への評価」「上司や職場の人間関係」「報酬」「支援」「変化への対応」について答えてもらいました。

組織診断では職員が自組織や自職場をどのように見ているか、上司をどのように思っているかが表れます。これは管理職や役員にとっての通信簿となり、今後この組織をどうしていくのかを話し合うための貴重な情報源となりました。組織診断は2013年から毎年実施し年を経るごとの変化を定点観測しています。


競りが行われる市場内 前方に価格などが表示されます

さて、初めての組織診断データが揃ったタイミングで実施したのが、管理職のマネジメントスタイルの変革です。

先ほど親方・弟子のような関わり方だったと表現したように、当時上司のマネジメントスタイルがうまく機能していないという問題がありました。管理職の意識や接し方から変える必要があると思いました。

まず管理職に対してBConコンサルタントからデータを用いたフィードバックとコーチングを行いました。と言うのも、管理職からは慣れたやり方を変えることに反発が予想されたからです。診断結果という事実に基づいて一人ひとりに丁寧に関わることが効果的と考えました。

具体的には組織診断をふまえて「今売り上げはこうなっています」「組織診断の結果〇〇と出ました」「現状に対してあなたのどのような行動が影響していると思いますか?」などBConコンサルタントが問いを投げかけます。

また「管理職として自分の行動を変える必要がありますか・ないですか」「もし行動を変えたらどのような変化があると思いますか」と少しずつ行動変容に向けて管理職を導いてもらいました。このコーチングによって深い気づきを得た人の中には涙を見せて部屋から出てくる人もいました。

部下側の一般職員には逆境においても折れないマインドを養うレジリエンス研修を実施しました。

レジリエンス研修の中ではさまざまな実習を行い、思考の幅を広げようとしました。日常的な例でいうと管理職に何か厳しいことを言われてもふて腐れるのではなく、「今日の上司は体調が悪いのかもしれない」など幅をもった見方ができるようになってほしいと期待しました。

ただ、人間はそう簡単に変わらないのも事実です。人材開発に取り組んだ1年目の終わりには「これは無理じゃないか」「いくら研修しても変わらないのではないか」とBConコンサルタントと相談したことを覚えています。
それでも管理職研修会を継続し、職員全員を対象としたLIFO研修*の導入など年単位で研修を実施しました。3年目を迎えるころ、ようやく管理職や職員全体の意識が変わってきたと実感できました。

※参考※ LIFO:個人の指向性や行動スタイルの強みを把握し、効果的な対人関係を築くためのプログラム 詳細はこちら

成果

“指示”から“問いかけ”へと管理職のマネジメントスタイルが変化しました

人材開発と診断を活用した組織開発に取り組み始めて3年目くらいから手ごたえを感じました。個人的な感覚ですが人と人の関係がギスギスせず、風土もまろやかになったと感じます。

BConコンサルタントとの面談を経た管理職は、言葉の使い方や部下に対する姿勢に相当気をつけるようになったと思います。以前であれば部下が失敗したときに「何をやっているんだ!」と大きな声を出し、有無を言わさず指示を出していた管理職が、まず相手の考えを聞いた上で「こうした方が良いのではないか?」「理由はこうだ」と接するようになりました。

職員全体を見渡しても、以前は「あの部門が悪い」「上司が悪い」と他責にしがちな職員が散見されました。現在ではミーティングの中で交わされる会話もずいぶん変わりました。それぞれの立場を理解したうえで自分たちの主張をするという姿勢が出てきました。他責文化から能動的な文化へと組織風土も変わり始めていると感じます。

研修で職員が顔を合わせたことで部門間の交流が生まれました

福岡と北九州に事業所があり、今までやり取りはほとんどありませんでした。研修で両事業所の同じ階層の職員が集まった結果、打ち解けて話しやすくなり、仕事上のコミュニケーションが生まれました。

福岡と北九州の事業所間で花をやり取りするなどの協働も生まれました。福岡と北九州の組織診断結果を比較すると、大きく異なる結果が出ている項目がありました。ほぼ同じ仕事をしているにも関わらずなぜだろう?と管理職が自職場を振り返るための良い材料になりました。

人が意識や行動を変えるためには、多少の衝撃が必要だと思います。BConのような外部の人に指摘をもらい、診断結果から気づきをもらい、自分の内部を見つめる一連の取り組みは意識や行動を変える良いきっかけになったと思います。

今後への期待

BConは厳しいことも言ってくれる相談相手として信頼しています

この数年でBConに手伝ってもらう領域が、人材育成や組織開発中心から事業に対するアドバイスまでと幅が広がってきました。今は中期販売計画の策定を手伝ってもらっています。未来の事業を考えるためには組織の土台をしっかり作らないといけない。約3年を費やした数々の取り組みは土壌整備の段階だったと思っています。

現在、「花」のマーケットは厳しい時代を迎えています。端的に言うと人々が花を使わなくなっています。

例えば結婚式は盛大な披露宴ではなく、家族だけ、あるいは写真だけといった簡単な挙式スタイルが一般的になり花の使用が減りました。

生け花も50-60代の方々が現役を引退し先細りの傾向があります。
お墓にそなえる花も、片づけや掃除をする人がいないという理由で生花は遠慮して欲しいというお寺がある時代です。

こういった冠婚葬祭のあり方の変化や、消費者の生活スタイルの変化は避けられないものです。

その中で私たち「福岡県花卉農業協同組合」が提供する価値は何なのか、組織の構造や販売戦略は今のままで良いのかといったことを議論する必要があります。

BConにはときに厳しいことも言ってくれる「よき相談相手」として引き続き協力してもらいたいと思います。

担当コンサルタントより

現在ほとんどの取引が電子化されている「市場」はシステムを入れるなど効率重視になりがちですが、福岡県花卉農業協同組合様は効率アップや売上拡大の施策に取り組みながら、ソフト面での関係性を大切にしている組織です。生産者と花の販売店をつなぐコミュニケーションを重視してきました。その努力は、花の流通高が下げ止まらない状況下で、堅調に売り上げを維持するという結果に表れています。
持続的な成長を支える人材と組織を作りたい、とご依頼いただき一般職員・中堅・管理職研修や組織開発などを実施してきました。当初職員の中には受け身な姿勢で、指示されたことを実直に遂行するにとどまる人もいましたが、最近では未来を見すえて組織に対する提言が出るなど徐々に成果が出てきました。

福岡県花卉農業協同組合様は現組合長以下全員の管理職がBConの公開講座を受講しています。管理職全員が共有できるマネジメント観があることが、組織としての学習を進める上でとても有効に働いたと言えます。ある時、福岡県花卉農業協同組合様の重要なステークホルダーである出資者から「福岡県花卉農業協同組合は良い方向に変わってきている」との言葉を頂いたと聞き大変うれしく思いました。

組織開発は何か一つを変えれば全てうまくいくというものではありません。戦略や組織構造や管理職の価値観、振る舞いなど主要要素が相互に関係しているからです。そういった意味では取り組みに終わりはないと言えます。一層変革の道を歩む福岡県花卉農業協同組合様を引き続き支援させていただきたいと思います。

編集後記

数年がかりの人材開発研修や組織診断の取り組みが実を結び、管理職のマネジメントスタイルや組織の風土が変わってきている様子をお聞かせいただきました。

櫻木部長のお話を通じて、事業環境が変化する中、組織は常に変化が求められること、人材開発と組織開発は数年がかりの取り組みであることを改めて感じました。

また、変化は避けられないものですが、必要以上に恐れたり仕方ないとあきらめたりする必要はないのだと学びました。BConはお客さまと一緒に「働く喜び・生きる幸せを創り出す組織作り」という姿勢を大切にして、未来を創っていけるマネジメント人材の育成をお手伝いしています。


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